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World Truth  作者: フォー
4/5

長男 グレン・アルシュテイン

「ま、まぁ・・・今日はこの辺で終わりにしましょうか」


そう焦った様子の講師の先生。

その様子を見ていた後ろのシオンも吃驚している様子だった。


どうやらこの世界は日本と同じ言語の用で、数学、国語、英語、理科などは全

て同じだった。

これは俺にとってラッキーだ。

ただ一つ違うのは社会。

歴史も経済も地理も全てが違う。

例え前世で俺が大学生だったとはいえ、流石に知らない世界の社会は全く知ら

ない。


しかし、色々と出された課題を早めに終わらせると、先生も次が無かったらし

く、帰ることになってしまった。


「お疲れ様です、レン様。流石ですね」


「あ、ありがとう」


どうにもまだまだ時間がある。

今度は先生もたくさんの課題を持ってくるだろう。


「歌の先生が来ていらっしゃいますし、お呼びしましょうか?」


「い、いや、ちょっと休憩・・・」


流石に連続で勉強・・・みたいなのは疲れる。

あまりに基礎的な問題ばかり解きすぎて、逆に疲れてしまった。

復習にはなったが、これは量的な問題だ。


「でしたら、紅茶を淹れてきましょうか」


「うん!お願い」


シオンが淹れてくれた紅茶はとても美味しい。

そんじょそこらの紅茶とは格別だ。


・・・しかしまぁ、自分が転生した、という事実をもう既に受け入れかけてる

自分に驚きだ。

何故、とは思わない。

死んだら、生まれ変わるという言葉が本当だったというだけだ。

ならば、この世界で、この家族たちと生きていこう。


「・・・よし」


自分はいつだって、切り替えや開き直りが早いと言われる。

”一条 カズマ”はそういう人間だった。

だったら、”レン・アルシュテイン”はどうだろう。

・・・馬鹿は死んでも治らないという。

ならば、今まで通りの中から、ちょっと頑張ってみればいいと思う。


「失礼します」


「あ、はい」


そう返事をして、シオンがやってきたのを見た。

シオンはその手でワゴンを押してきていた。

そこには美味しそうなクッキーと、ポットなどが乗っていた。


「今日は勉強を頑張られたので、クッキーは秘密です」


そう言って、人差し指を口元に持ってきて、しー・・・と言うシオン。

俺はそれをありがたく思い、うん!と頷いた。


しばらくシオンと談話しながら、お茶を楽しんでいると、扉がノックされる音

が響いてきた。


「どうぞ」


「失礼致します。レン様、グレン様がお呼びです」


入ってきた女性のメイドらしき人が、一つ礼をすると、俺にそう声をかける。


「兄様が?」


シオンが兄様というので、兄様と言ってみたが、どうにも呼びなれない。

しかし、俺もそれになれておかなければならないだろうし、ちょっと頑張って

みよう。

しかし、何故急にグレンが・・・?


「では、食器は片付けて置きますので、あの使用人について行って下さい」


シオンが丁寧に片付けながら、そう告げる。

俺はそれに頷くと、女性の後に続いて、廊下を歩き始めた。


「こちらです」


案内された先は、グレンの書斎らしかった。

メイドは部屋の前まで案内すると、著しく礼をし、去っていく。

僕はそれをノックすると、グレンの返事を待った。


「入れ」


「は、はい!」


低いその声は自分を竦み上がらせるには十分な声で。

俺は少しビクビクしながらその扉を開けた。


はたしてグレンは、そこにいた。

随分とやつれた様子で、その椅子に腰掛けている。


「よく来たな」


「は、はい・・・えっと、兄様、お疲れの、ご様子で」


「無理に敬語は遣わなくていいといったはずだ。私たちは家族なのだから」


そう言われて、俺は少しキョトンとすると、シオンの前でのように、うん!と

元気よく頷いた。


「講師が与えた課題を、一気に終わらせたらしいな」


「あ、えっと、うん」


「前から思っていたが、お前は昔から何でもこなす奴だった。幼いながらに、

 身の丈に合わないことばかりしていたが・・・大体の過程もこなしてしまう

 とはな」


どうやら褒められているらしい。

・・・どうなんだろう、この人になら、話してもいい気がする。


「その、兄様、言っておきたいことがあるんだ」


「なんだ?」


暖かい笑みを崩さずに、そう問い返してくるグレン。

俺は少し逡巡しながらも、口を開いた。


「兄様は、転生って信じる?」


「・・・どういうことだ?」


キョトンとした様子を見せたグレンだったが、次に真剣な表情になって話を真

剣に聞いてくれた。

俺はそのまま全部話したわけだが、大丈夫だっただろうか。


「・・・・・」


「・・・信じて、くれる?」


そう聞くと、しばらく考え込んでいる様子を見せていたが、やがて顔を上げる

と、顔を上げた。


「・・・お前は昔から、嘘は嫌いだったしな」


「!・・・それじゃあ」


「あぁ、信じよう。それなら、何でも出来る理由が分かった気もするしな」


そう言って、クスクスと笑うグレン。

見た目に合わず、という感じの性格だ。


「出来ればその話、たまに聞かせてはくれないか?」


「うん!いいよ!」


「ありがとう。そういえば、昼食の時間だろう?一緒にどうだ?」


それにも元気よく頷く。

それを見ると、グレンは不思議そうにこちらを見ていた。


「精神年齢は下がるみたいだな?」


「あ・・・」


そう言われればそうだよな。

思考回路まで子供に戻ってしまったということなのだろうが、知識だけは無駄

にあるようだ。

それから、俺はグレンと色々な話しをしながら昼食を共にした。

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