プロローグ
ある日、俺は交通事故に遭って死亡した。
あっという間の出来事だった。
あの時に分かったことと言ったら、あぁ、俺死んだな、ぐらいのことで。
人は死の間際になると、走馬灯を見るというが、そういうものもあった気がする。
だけど、そんな俺が次に目にした光景は、驚きのものだった。
自身の目を疑った。
目の前にあったのは、まるで病院の天井のようで。
俺は、まだ生きていられたのかとホッとした。
自分はどうやら、質が良すぎるベットの上に寝ていたみたいだ。
病院にしては豪華な物(しかも天蓋付き)だと思ったが、それから降りると、辺りを見回す。
・・・いや、病院じゃない?
他に病人のベットがあるわけでもない。
個室、というわけでもなさそうだ。
だとしたら、一体ここはどこなのか。
一抹の不安を感じながらも、そこにあった扉に手を掛ける。
やけに扉のドアノブが高く感じたのは、気のせいではない。
俺は不思議に思い、自身の姿を確認した。
・・・その姿は、4、5歳程の少年になっていた。
自身の髪をとって見れば、その髪は炎のような真っ赤な色に染まっていた。
・・・いや、そこまで素行が良かったかどうかと言われれば、悪い方だったとは思う。
だが、それなりに真面目にはやってきて、ピアスをあける所か、髪を染めるなんてことはしたことが生まれてからこの一生したことが無かった。
一体何がどうなってこうなった。
一人で混乱していると、扉をコンコンと叩く音が聞こえた。
それに思わず、はい!と返事を返す俺。
誰かも分からないのに、勝手に声を上げて大丈夫だろうか。
しかし、そんな逡巡の間もなく、扉がゆっくりと開けられた。
はたしてそこにいたのは、漫画などで出てきそうな執事だった。