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月夜の☆じゃむパニック!~YUMESAKIMORI外伝~  作者: 夢☆来渡
第二夜【戦士とチカラ】
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【戦士とチカラ・3】

 

 人間が使っていたリンゴ木箱の一部を拝借して改良した受付台にその日の成果を並べる。大きさを大・中・小の三段階に分け数量を記録して、倒した邪夢の数や様子を報告する。毎朝行なわれる【夜の部】の日課だ。

 また、人間の生活に合わせた【昼の部】も存在する。だが諸条件が悪く、回収率は夜の部より低い。


 栗色の長い髪、大きな藍色の瞳をした肉付きのよい女性、マリベルは二人が提出した夢珠を見て感嘆する。


「小玉が四つに中玉がニつ、それに上等な特大サイズが一つね。さすがはレン君とジン君のコンビね、今日で一番の成果だわ。ご苦労様」


 横で見ていたサムがジンの頭をわしわしと撫で回しながら言う。


「北東部の若きエースだからな!この調子で頑張ってくれよ!」


 サムの男くさい、体躯の良い太い腕がレンの頭にも伸びたが、レンは両手でガードした。

 レンとサムが小競り合いをする横で、ジンとマリベルがささやかな交渉をする。


「小玉もらっていい?」

「いいよ、四つとも持ってきな」

「やった!」


 ジンは持って来た時と同じように、小さな夢珠を手早く荷袋に入れて背負う。

 夢珠を食べると力が湧き、満腹感も得られる。また小さなケガならたちどころに治ってしまう。小さな夢珠は食料であり、万能薬でもある。

 狩りの前に必要ならば配給されるのだが、時にはこうしてご褒美にもなっていた。

 中玉から大きなサイズの物は、そこに秘められた力が大きく、特殊な効果が表れるので不用意に口にする事は出来ない。一度集められ、鑑定士によって力を鑑定された後、必要な部署にて使用されるか保管される。

 特大サイズに至っては保管場所も秘密にされ、厳重に管理される事になる。

 また、小さ過ぎる物は回収してはならず、乱獲も厳禁とされている。

 邪夢たちは形成される直前の光に寄っては来るが、形成されて光らなくなったタマゴ状態の夢珠にはあまり興味を示さない。

 部屋のどこかに隠れている邪夢を全て倒せば、別の部屋で新たに産まれでもしない限り安全が確保される。

 ジンとレンはその家で先に眠った方、主に子供部屋の邪夢を先に処理した後、別の部屋で眠る両親を警護する事で成果を上げている。

 邪夢に対する攻撃力、処理能力の高さが可能にしており、通常三人~四人で行う作業を二人でこなしているのはジンとレンだけであった。


 しばらくして集められた夢珠が、人間仕様の『積み木を入れていた木の車』に積み込まれると、【夜の部】の集会は解散となった。

 皆、自分の寝ぐらに戻るべく、バラバラと歩き始める。


「中島さんの家の近くに学校があるでしょ?……もぐもぐ、ヤツはそこで産まれたんだよ、もぐもぐ」


 小玉をパクつきながら歩き始めたジンは、口を開いたついでなのか、当然のように話し始める。


「学校で寝泊まりするなんて珍しいって思うでしょ?」


 レンは舌の根というものがあるなら見てみたいと思っている。


「なんとサッカー部が合宿をしてたんだなー、高校生だけど他校からも参加してて全部で50人余りさ。想像つく?体育館に布団を敷いて、凄い状況だったみたい」


 レンは舌の根というのは常に川に浸かってびしょびしょで乾く事などないのだろうと想像していた。


「そんな大人数だと眠り魔法かけても全員がちゃんと寝るわけないし、回収や討伐なんて完全に出来るわけないから、もう殆ど様子を見守るしか出来なかったみたい。体育館の外に出てくる邪夢や、外から寄って来たのを狩るのが唯一の仕事さ」


「でも【サッカー部】の人間が本体だったから……」


「そう、中で産まれた邪夢が凄く足の速いヤツだったんだ。逃げたそいつは他の邪夢や夢珠を食いまくって大きくなった」


「それが今、中島家に住み着いたんだろうって事か」


「そゆこと」


 ソファーに寝ている白猫の前まで来て、立ち止まる二人。

 考え込むようにレンは体の前で腕組みをし、しきりに足を動かしている。


「レン、行ってみたいんでしょ」

「うん。ぶった斬りてぇ」

「でも既に応援頼んでるし、明日も自分達の持ち場があるんだよ」


 そう言うジンに向かって苛ついた声でレンが返す。


「最悪、戦わなくてもいいからさ、そんな邪夢(ヤツ)が居るなら見てみたいし、西南部の夢防人(やつら)がどうやって倒すのか知りたいじゃねーか」


 レンの眼と言葉に熱いものを感じて、ジンは少し言葉を失う。

 すぐに(うなず)く。


「……うん、そう……そうだね。見てみたい。僕も知りたいよ」


 二人は見つめ合い、同時に頷くと、

 レンの突き出した(こぶし)に、ジンの拳をガツンと合わせ鳴らした。


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