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月夜の☆じゃむパニック!~YUMESAKIMORI外伝~  作者: 夢☆来渡
第四夜【言葉の魔術師】
26/54

【言葉の魔術師・8】

 


「あれ?二人って聞いてたんだけどなぁ」


「あはっあはははは、さっき武器屋でも言われた、に、二回目っぷぷぷ」

「いやぁ、実は先ほど増員になりまして」

「……すいません」


 pm7:30 エントランスホールで組織の三戦士と合流したレン、ジン、モーリス。

 テスの取り計らいで武器と防具を組織内の武器屋で新調し、出発の準備を整えていざ、という所で三戦士達が首をひねって困り顔をした所だ。


 組織から選出された護衛組の三人、ジュン、チョウサク、ハルオ。白い和風の戦装束をお揃いで身につけ、それぞれ剣、槍、鉄扇を装備している。レン達よりも少し歳上、それぞれがっしりとした体格でとても頼りになりそうだ。

 ジュンが少し考えて、二人と何やら相談し、振り返るとレン達に言う。

「五人乗りの用意をしていたのですが、六人はちょっとそのままではキツくなりますので……今からもう一騎増やして、三人ずつの二騎に切り替えます。我々が先導しますので御三方は後方から着いて来ていただけますか」

「わかりました。レン、笑いすぎ!」

 ジンが応えながら転がる赤帽子にツッコミを入れる。

「じゃあもう10分ほどしたら出発出来ますので、もう少々こちらでお待ち頂けますか」

 チョウサクとハルオが慌てるように準備のために走り去り、その後をジュンが追う。

 エントランスに残された三人は顔を見合わせると、先ずモーリスが口を開いた。

「何だか申し訳ないわ。予定外でバタバタさせて」

 少し落ち込むモーリスの左肩をジンが軽く叩く。

「まあまあ、気にしなくていいんじゃない?もう言われる事ないだろうし」

 あとにレンが続く。

「もう一回言われたら俺が笑い死ぬだろう」

 右隣でレンが予言した。

 モーリスは顔を上げると、ジンに尋ねる。

「本当に良かったの?私なんか着いて来て」

 ジンは頷く。

「いいんだよ、元はと言えば割り込んだのは僕たちの方なんだから。それより、夢珠も報酬も無しなんてモーリスの方こそ大丈夫なの?」

 ジンが問いで返すと、モーリスは微笑しながら自分の手をじっと見る。

「私は、別に報酬目当てで行くわけじゃないから。漆原めぐみに会えればいいのよ」

「でも、彼女の夢珠はみんなも欲しがってるくらいだよ」

 と、ジン。

「いいのよ。そのチカラなら私はもうとっくに持ってるから」

 モーリスは自分の掌を見つめながら、拳を握り、少し遠い目をした。

「ああ、なるほど」

 ジンが頷く。レンも一緒に納得している。

「じゃあ中玉以上の夢珠がもし出来たら予定通りレンが先に使って」

「おう、了解」

「ジン君はあとでいいの?もしかすると、一つだけしか取れない可能性あるわよ?」

「別にいいさ。レンがチカラを持ってくれれば、僕はそのサポートに回る。レンだっていきなり使えるか分からないし、よく分からない状態のチカラを二人で同時に持つより、レンに試してもらって、しばらく慣れてからの方がリスクだって少ない」

「実験代ってわけね」

 モーリスが笑みを見せる。

「レンがチカラを得たら、それ以降の夢珠は選定して持ち帰る。基本的に邪夢はあの三人に任せるけど、必要なら僕とレンも戦闘に参加する。その時は夢珠の回収をモーリスに頼めるかな?」

「イヤよ。私は無理だから戦闘に参加するわ」

 即答で断ったモーリスは当然といった顔を向ける。が、目を丸くしたレンとジンを見てすぐに眉根を寄せて身体を縮めてブルブルと震わせる。

「ワタシニンゲン恐いカラ近寄りたクナイのよほー」

 少しワザとらしい声を出して尚も拒否する。

 ジンはレンと顔を見合わせ、仕方ないとばかりにため息を一つ。

「じゃあ、戦闘にはまず僕とモーリスが後方から援護に入ろう。レンが回収をして、その流れで先に夢珠を使えそうなら使って。その後の回収は臨機応変に出来る者がしていこう」

「ん、わかった」

「オーケーよ」

「じゃあそろそろ行こうか、準備出来てるかもしれないし」

 建物の入口に向かって歩き始めたレン、ジン、モーリス。

 その前方から護衛組の1人、ジュンが走って来るのが見えた。

「ジン様~!ネコバスの準備が出来ました~!」

 叫びながら走り寄って来る。

「え?ネコバス?」

 固まるジンとレン。

 モーリスが当然な顔をしながら言った。

「あら、知らないの?都会じゃポピュラーな乗り物よ。酔わないでよね、けっこう揺れるから」

 先を歩くモーリス。

 後に続くレン。それからジン。


 ……

 ……

 ……


 酔った。


挿絵(By みてみん)

ジン/ キャラクターデザイン・ラフ/キャラクター原案・夢☆来渡/ 絵・緋川和臣


10年以上前に、最初に私が描いた落書きみたいな絵を、当時の緋川君がキレイに描いてくれた時のものです。私の中でのジン達のイメージはこの時のイメージが強く、今でも忘れられませんね。

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