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月夜の☆じゃむパニック!~YUMESAKIMORI外伝~  作者: 夢☆来渡
第四夜【言葉の魔術師】
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【言葉の魔術師・2】

「ジン様!来てくれたのですね!嬉しいですわ!嬉しいですわ!」

 ベッドの上でオードリーが目をキラキラさせていた。

「俺も居るんだがな」

「アンタは嬉しかないのよ!」

 レンとオードリーが火花を散らした。

 横でジンが苦笑して見守っていた。


 オードリーは自分の寝ぐらに戻っており、一応安静にしているようだった。

 夢珠の効力で回復した体は、特に異常が見られないが、そのチカラは全て解析されたわけではない。使った夢珠が予定外の副作用をみせないか、その様子見の期間だ。少なくとも丸一日、安静にしていなければならない。

「暇だろうと思ってね、話し相手になりに来たよ」

 ジンが言う。

 当初の目的の一つには間違いなく予定されていた事だ。だが、昼の部リーダーのスタローンとの会話を経て、今はもう一つの目的を生じている。


「オードリー、そーいえば昨日の夜、漆原さんの話をしてたじゃない?あの時に、声に魂を込めるとか言ってたよね」


「そうですわよ。声に魂を込めているっていうのは、本人もたまにだけど、基本的には私達ファンやリスナーがよく言っている事ですのよ。それにおいてはめぐさんは神よ、神」


「声っていうか言葉に?チカラを込めることが出来る?」


「そうよ。めぐさんの言葉には魂が宿るの。あらやだ、アンタも私と漆原談義がしたかったの?」


「違う!いや、違わないか……」


「結果的にはそうなるよねー」


「コトダマって知ってっか?」


「知ってるわよ。コトダマと言えばめぐさんよ。声優界じゃ当たり前の話よ。知らないの?アンタ遅れてるー」


「知らねーよ!俺は声優界じゃねーんだよ!」


「めぐさんのまたの名を『言葉の魔術師』とか『声の魔術師』って言うのよ。覚えときなさい」


「なんで俺に対してだけは態度が違うんだよ」


「当然でしょ。元はと言えばアンタの所為なんだから」


「それはそーなんだが」


「でも他にも声優さんって居るよね。他の人じゃダメなの?」


「まぁ、他にも新しい声優さん出て来てるし、好きな人は好きなんじゃないですかねぇ?でも顔だけだったり、歌手のまねごとみたいに歌ばっかりやってるのも居るし。その点めぐさんは演技も神ですよね。歌は歌唱力に疑問が残るけどいやいやいや、その妖しい歌唱力を差し引いたとしてもね、やっぱり魂というか、やっぱり言霊(ことだま)ってやつ?それが感じられるかどうかだと思うのデスよ。だいたい今のアイドル声優にろくなの居ないじゃない。田中まゆみんに一目置かれてんのよあの人は。あの人だけは!やっぱり演技がしっかり出来てないと上には上がれないわよね。そのうちアイドル声優って言葉も廃れて来るんだろうけど、いざそれが無くなった時に何が残るのかって事よ。声優が声のお仕事しなくてどうするのよ?いくら流行だ声優ブームだって言っても、いつか波が去る時が来るの。その時に歌ってる場合?違うでしょー、まぁ、私は歌がやりたかったんです!ってハッキリと転向したヒトも居るけどね。あははは、ある意味、(いさぎよ)いわ」



「……始まったな」

「ああ。」




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