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【夢珠・1】

 ヒトは一夜にして数多の夢を見る。

 それこそ全てのヒトの夢を数えるならば、星の数に比類なく、また様々に異なる姿で現れては……はかなく消える。見知らぬ星の生涯にも似た輝き。

 純粋な夢達は光を伴い、愛に満ちた姿はより輝く。逆に悪夢やヨコシマな夢は暗く、ドロのように黒い闇を放つ。

 ヒトの……『想いの力』とも言える、夢に対する想い。その強さは稀に、夢の光を結晶化させる。

 光が集まり、凝縮した塊を彼らは『夢珠』~ ユメダマ~と呼んだ。


 赤い帽子の小人は、頭上に輝く夢珠を見上げながら声を上げる。

「そこそこの大きさあるぜ!回収するか?」

 青い帽子の小人もそれを見ながら、

「一個目から回収するのも可哀相だけど……」

 申し訳なさそうな顔をする。寝ているヒト……それは満面の笑顔の青年に向けられた。


 夢珠は形成されると浮力を失い落下する。

 それはヒトの肉体に触れると溶け込むように再びヒトの肉体へと還る。

 だが途中で回収、落ちて来るのを受け止めたり……奪われたり、破壊されたりした場合、今まさに見ていた夢は還る事なく失われてしまう。

 そして失われたヒトは、


『良い夢を見ていたはずなのに内容を覚えていない』


 という経験をする事になる。


「大丈夫だよ、夜はまだ始まったばかりだ、またすぐに次を見るさ」

 赤帽子が言った。

 力を持った夢珠は、彼ら小人達にとって、生活の一部を担う大切な糧だ。彼ら小人は夢珠を吸収して力を得たり、形を変えて武器や便利な道具を生み出す事が出来た。だが乱雑に回収するわけにはいかない。それはやはりヒトの夢を奪うのだから。

 だから夢珠の小さい物は回収してはならない掟があった。逆に大きな夢珠はある危険も含むために、回収、時にはその場で破壊する場合もある。それは悪夢と言ったようなヒトに悪影響を及ぼすモノが主な対象だ。

 あなたも……


『悪い夢を見ていたはずなのに……』


 ……という経験があると思う。

 まさに彼らは悪い夢から生まれる・悪い夢珠をも回収・破壊する役割を担っている。

 彼らのような夢珠の管理人を、『夢防人』~ユメサキモリ~と呼んだ。


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