冒険者の卵
「あるからにして、今の我が国があるのは!前の大戦で我らが先人達が決死の勝利を、、、、、、」
小さな教室で、廊下まで響き渡るほどの大きな声で歴史学の教師は熱弁していた。
生徒達はその威圧と迫力に皆萎縮していた。
しかし、、、、、、
「我々は!この先人達が修めた勝利を、、、、、、って貴様聞いているのか!!」
萎縮していた生徒達の中に一人だけ、机に伏せて寝息をたてている者がいた。
「また貴様か!ヴェント!」
教師は教壇から降り、ヴェントと呼ばれた生徒の前に立った。
生徒達はくすくすと笑う者、またかと呆れるもと様々だ。
教師は手にした教本を高く振り上げ、ヴェントの頭目掛けて降り下ろした。鈍い音と共に教師の怒号が響いた。
「いってえな!」
「私の授業はそんなに退屈かね?」
教師はフルフルと怒りに震えながら聞いた。
「うーん、、、、、、退屈っていうか、その歴史絶対に確かとうい確証がないんすよね、戦争があったのは知ってますけど本当に勝ったんですかね?」
教師の顔がみるみる赤くなっていく。
「文献も残っている!」
「その文献だって捏造された可能性は? 俺は自分の目で見て確かめないと気がすまないんですよ、他人から聞かされた事を素直に信じるなんては安直だと思うんですが」
教師は怒りで理性をなくし、再び教本を振り上げ一気に降ろした。また鈍い音が響いたが今度は少し違う音だった。
教師の降り下ろした教本はヴェントの頭ではなく机を叩いていた。
「すぐ暴力を振るう癖、やめたほうがいいですよ、んじゃ!」
ヴェントは教師の肩を軽く叩くと颯爽と教室から消えた。教室内がざわつく中、教師が力一杯教本を黒板に投げつけた。