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アンコモン  作者: 蛙屋
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渡り

「一番の希望は?魔法ですか。魔法なら魔物ですね。魔物にも渡れますよ。人には魔力はありますが、あなたが想像するような魔法は使えません。運がよければ術が使えるかもしれません。が、そこまで指定は出来かねます。でも魔力の強さは選べますよ。

最近の渡りの人たちは、チート、ハーレム、貴族、王族、鑑定、自分の経験値が見える、ステータスなんとか、言語取得とか出来ない注文が多くって困りますよ。え、言葉ですか?ハイハイ大丈夫ですよ。そのうち覚えます、これまでの方々もどうにかなってます。

魔物は念での会話なので、言葉は覚えなくて大丈夫ですよ。条件がありますが、人とも念で会話できますよ。基本魔物は人の言葉は覚えたくても理解できない様になってます。

念ですか?魔力の事ですよ。こちらでは念という、言い方が一般的なんですよ。魔力でも通じなくはないですけど。いろいろ違いはありますが、郷に入れば郷に従えって奴ですよ。言葉と一緒で渡った先で新しく覚えて要ってください。

そうそう、記憶の引き継ぎどうなさいますか?選択できすよ。殆どの方が、引き継ぎ希望ですね。

人だと2割程度の方が赤ちゃんの時、精神に支障がでちゃいます。支障が無くても、結構大変そうですよ。出来れば、渡りの皆さんには、引き継ぎお願いしたいんですよ。文明の発展に大いに貢献して頂きたい。渡りだからと言って、迫害等は無いので、安心してください。秘密にしても自然に知れていく仕様になってます。無駄に広めると面倒事に巻き込まれやすいですよ。幼い時は特に注意して下さいね。

魔物には親は居るんですけど、基本子育てはないですね。種族によりけりです。蜘蛛が巣を作る様に本能でいろいろ引き継いでるので生活に問題は少ないですよ。記憶があると環境に馴染めない場合もありますけど。魔物だと渡りでも、あんまり関係ないですね。魔物は種族は選べませんけど、人よりはご希望に近い感じにできますよ。

で、あなたはどうしますか?大丈夫ですか?たまに、死亡時のショックが大きいと説明も受けないで勝手に渡ってしまう方も居られるんですよ。説明を聞いてもおまかせで渡りをする、奇特な方もチラホラいますね。ドキドキしたいならおまかせお奨めですよ。こちらの手続きも簡単ですし。」


突然の説明に、思った事をどんどん読まれて、話が進んでいくからよく考える時間がなかったのと、前世で人間関係で大変な時期だったから・・


「魔物ですね。記憶は引き継ぎで、希望はレア?強くて珍しいですね。大丈夫ですよ。ほのぼのは選べませんね。ほのぼのしてる種族は居るんですけど、種族の選択になってしまって無理なんですよ。魔物は基本弱肉強食の世界です。他の魔物があまり近づかない・・は。ギリギリ大丈夫です。それでは第28回目の渡りを・・・。回数ですか、渡る世界によって記憶の引き継ぎが不可になると、すべてリセットされてしまって、覚えてないんですよ。地球は引き継ぎ不可ですね。次の世界は発展希望なんで、ちょうど良い文明社会の地球からの渡りの方が多いですよ。たまにすごい高度文明の方が渡っているので、地球より発展してる所も在りますよ。世界の選択ですか、残念ですが。出来ません。希望に追加変更は?魔力は強め、了解です。それでは、改めまして第28回目の渡り頑張ってください。」


希望通りだが、僕が考えていた、強くて誰も近づけないのではなく、忌み嫌われて誰も近づいてこない魔物に、転生させられた。見た目の事も希望すればよかった。牛の体に人の顔だった。顔自体は前世よりかなり良くなっているが、体が牛ではギャグですよね。


しかし、そんなに悪くない。魔物は基本避けて行ってくれるし、草食なので狩りもしなくていい。ある意味ほのぼのだ。人には魔物の比じゃないぐらい厭われてるので、下手に接近すると軍隊で攻撃され、追い払われる。

たまに軍隊の中に魔物がいた,従魔と言って従魔術師の使い魔らしい。従魔されると、人と念で会話できるし、稀に擬人化できる従魔も居るらしい。擬人化良いな。さすがに、会話もなくずっと一人は寂しい。でも僕は、厄災の魔物らしいので誰も従魔にはしてもらえないだろうな。

何で、1人なのにそんなこと知ってるか?魔法です。盗聴が出来る魔法が生まれた時から出来ました、本能です。たしかにこの魔物には必要な魔法ですね。あと、予言もできるけどこれは絶対使わない。理由は、秘密です。攻撃魔法も使えるけど使う機会がありません。

ある日、魔物たちが移動し始めました。かなりの数です。どうも、絶対に擬人化できる従魔師が生まれるそうです。擬人化は魅力的だけど人のために働くのは面倒なので僕は、不参加です。







不参加の予定でしたが、いまキャレチャー家の屋敷前に居ます。ここまでの道のりは言葉にできないぐらい大変でした。結界のせいで儀式には参加できないのは分かっていましたが、どうしても来たかったのです。


『渡りの御子』渡りです、転生者です。同じ渡りなら、従魔されても対等に扱われるかもしれません。


何かあったみたいです、キャレチャー家の従魔が、箱を僕に持ってきました。使えなかったら、明らかに安堵していました。そして、不吉だと、追い払われました。会う事は出来ませんでした。結界のせいで盗聴も出来ないので、諦めて帰りました。すごく残念です。



儀式から多分半年ほど経ったある日、僕の目の前に赤ちゃんと桃色のカエルが表れました。



『件さん、従魔になりませんか?』



『もちろん』涙が流れました。









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