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アンコモン  作者: 蛙屋
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世界が壊れる時

絶食1日目。たまごを拒むと、カエルが困ってました。ごめんね。




絶食三日目ぐらいです。死にません。カエルが少し変です。




絶食多分5日目、幻聴が聞こえはじめた。『・・・・・、ワタリ・・・・』『・・ワタリ・・・・ワタリ・』頭に響きます。認識できるのが「ワタリ」、でも何も考えられません。





絶食七日目、死にません。ドアの向こうが・・・。でももうどうでもいいです。カエルも変です。でもクルクルしてます。幻聴もします。





絶食・・・。でっかいダンゴ虫が六年絶食したニュースを見た事を、思い出しました。





ずっと目を閉じてます。時間を感じません。幻聴はあります。カエルはいるけど、カラカラ聴こえません。





目を閉じてます。家族の事を・・・・。歯があれば死ねるのに・・・・。




3か月前、


リレションが初めて意見を言った。

『この方法は間違っている。あいつに必要なのは名無しの俺ではない。多分、人だ。あいつは普通の赤子ではない。やり方を変えるべきだ、人がダメなら、他の従魔を試した方がいい。』

『普通の赤子でないのに、なぜ普通の赤子と同じ育て方をするのだ、おかしいだろ。』

『・・・・。なら好きにしろ。』



2か月前

リレションがまた言った。

『あいつの行動に変化が表れた。睡眠時間がまた増えていってる。あいつの頭の中は赤子ではない。俺は人の言葉が念がなくとも理解できる。あいつの言葉と此処の言葉は多分異なる。それに俺は名無しで、完全に絡め取られていない。違う従魔に担当されろ。当主に相談しろ。まだ間に合う。』

『・・・・・検討する。』『しかし体の成長は順調です。食事の量も問題ありません。』

リレションが蔑んだ声で呟く。

『どんなに優秀な従魔でも、人じゃない。お前ら、違いしてるぞ。今回、異例な事ばっかりだ。しきたりに縛られてる場合じゃない。よく考えろ。』



1か月前、リレションは、もう語らない。からくり人形になってしまった。渡りの御子も何も食べなくなってしまった。



私とカエルだけの世界に何かが起る。


『渡りの御子様、申し訳ありません。しきたりに囚われるあまり、状況を見違え、判断を誤っておりました。お体がもう限界です。どうか、お食事をお召し上がりください。』


な・・に・・?幻聴に幻覚か。


『幻覚、幻聴では御座いません。念でございます。すべての事を、わたくしが渡り様にご説・・・・』


ふふふ・・ははははぁ・・顔がニヤニヤするウェヒヒヒ・・笑いが止まらない。閉じた思考が蘇る。奴らは固まった。1,2,3,4,5体の・・・・魔物?


『大丈夫で・・・』

「黙れ。」


苦しい、なんだこれ、胸が締め付けられる。抑えられない理性が効かない。手足の感覚がなくなる。


『わた・・』


「うわぁーーーーーー!!!!黙れーーーー!!!今更なんだ、おまえら、殺す、殺す・・殺す。判断を誤っただと、ふざけるなよ。お前ら絶対殺してやる。絶望の淵まで追いつめて切り刻んでやる。」力の限り睨みつける。奴らの体を纏うオーラが見えた。


「餌だけ与えてれば、大丈夫と思ったのか。カエルを見ろ、こいつまで狂ってしまった。新生児が寝返りするまで放置とは、飯も食わずに何日生きるかの実験か?素晴らしいしきたりだ。そうだ、そんなしきたりから、子を守らない親も必要ないな探して、殺す。殺してやる。私を捨てた報いを受ければいい。」オーラに怒気が含まれた。「おお。なんだ。赤子の言うことが聞き流せないぐらい、そいつらが大事なのか?おまえらの主人か?そうか分かった。絶対、殺すからな。おまえら以上に苦しめてやる。」体から、何かが溢れ出す。止まらない。憎しみか、悲しみか、絶望か、その全てだろう・・・。止まらないトマラナイ・・とまらない。奴らの目つきが変わった。戸惑いから絶望、絶望から怒り、そして殺意だ。


「はははh・・。殺したいなら殺せ。知ってるか、私は転生者だ。また生まれ変わってお前らも、お前らの大事な人も殺してやる。オーラを覚えたからな、お前らが転生しても殺してやる。してやるぞ。ファハハh・・・・・・・・」


とっくに狂ってたんだ。もちろん気付いていた。知っていた。だから、死にたかったんだ。カエルには悪いことをした。わたしはもう死ぬ。どうか、正気に戻ってくれ。こんな場所から抜け出してくれ。


『儀式は失敗だな』『ああ、残念だ。』『念を遮断しろよ、旦那様たちに知らせることはない』『せめて苦しまぬように。』『あいつはどうする。』『リレションも一緒だ。共に旅立ってもらおう。』


リレション・・?、と・もに・・?、カエルの事か。あああああAAAAあぁぁぁぁああAaaああああ

あああああAAあぁぁぁぁああAaaあああああああAAAあぁぁぁAaaあああああああAAAあぁぁああAaaあああああああああAAAAあぁぁぁぁああAaaああああ・・・・・・・・・、止まらないトマラナイ、止まらない、トマラナイ、止まらない、トマラナイ。


『おい、念が暴走し始めたぞ。』『俺に任せろ』『早くしろ…』




一滴の雫だった。雨になり。河になって、流れ込んでくる。すごい。心地いい。流れ込んでくる。幾らでも、受け止めてやる。これが従魔か。


ああ、そんなに悲しまないでくれ。俺の後悔なんて、今、吹っ飛んじまった。二人でお前の願いを叶えよう。俺の名は、・・・・サット、・・そうサットだ。カエル、なんだそれ?さあ、心配しなくていい、俺は弱くないアンコモンだ。知能はマスターレア並だ。あいつ等なんかには捕まらないよ。力はコモン並だけど、二つ合わせて、アンコモンだった。でもこれから力はお前が俺に与えてくれる。さあ、旅に出ようお前の願いを叶えるために。


楽しい旅にしようじゃないか。



眩い光に包まれる。誰もが目を閉じた。リレションが、本当のリレションが、渡りの御子のリレションが、御子を抱きかかえ、微笑んでいる。擬人化・・・


出遅れた。非常事態だ。すぐに殺さなくては・・・・。キャレチャー家に禍が・・・


リレションがニヤッと笑い、念を飛ばす。手当たり次第、結界内に念を飛ばす。


『従魔が渡りの御子を殺そうとしてますよ。奥様、旦那様』


やられた。体が拘束される。



「カエルは悪どいな。」

『褒めてくれてありがとう。名はサットですよ。カエルじゃないです。もう旅立ちましょう。ここはウンザリです。』

「そうだな。早く行こう。お前ら待ってろよ。かならず殺しに来るからな。あばよ」

『女の子が、言葉使い悪いですよ。』

「やっぱり、女か。男の方がよかったのに・・・。」


リレションが何かを唱える、結界が砕ける。そして輝きと共に消えていった。



















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