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アンコモン  作者: 蛙屋
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名はまだナイ

キャレチャー家で次期当主の最初の者(リレション)が選ばれると魔の物達が浮足立ってる。別に従魔術師は、珍しくない。100人集まれば5人は従魔術師がいる。


しかしキャレチャー家は別格だ。


待遇が良いとか、そんな馬鹿げた理由じゃない。同種の者とは、全く違う何かに変化するそうだ。何かって、何?そんなのは従魔されないと分かるわけない。でも、明らかにキャレチャー家の従魔が特別だと分かる事がある。


擬人化だ。


魔人、魔獣、聖獣が一万いても、擬人化する者は現れないかもしれない。従魔されると千に一つは擬人化が可能になる。だがキャレチャー家の従魔は三割が擬人化が可能で桁違いである。


しかもキャレチャー家の当主の最初の者(リレション)は、念で繋がった瞬間擬人化できるようになる。それ以外もいろいろ凄いらしいが詳しくは分からん。選ばれれば、ものすごい成功者だ、成り上がりだ。


だがしかし、そんな上手い話があるわけない。


頑丈な結界が屋敷全体を覆い尽くしていて、キャレチャー家の従魔以外の魔の物は

どんな強者でも立ち入ることが出来なくなっている。特に今回は、特別だと噂が出回っていて、(くだん)も表れた、あんな厄災の元まで来るなんて。素性のしれない魔の物が当主の最初の者(リレション)に成れるわけがないのに。


でも俺は屋敷の中庭の池の中から、水の従魔たちとドキドキしながら待っている。

キャレチャーの儀式を、見逃す理由がない。


結界?関係ない俺は名が無き魔の物だからだ。もちろん従魔でもない。


いくらキャレチャー家でも、何でもかんでも従えるわけではない。魔の物は生まれ落ちた時、親から念で名を伝えられる。魔の物には名が絶対にあるのだ。従魔術は名を持つ魔の物を従える術で、犬猫ウサギカブトムシ鶏、名称であって名ではないので従える事はない。


ここの結界は魔の物の名に作用する術なのだ。


俺が生まれ落ちた時、『親が死ぬ時に名を得る』と、『好奇心は龍を殺す』との言葉を念で伝えられた。名が無くても何にも問題ないし、俺の好奇心では犬一匹を仕留める事も出来ないだろう。名が無くて得することがある。親の生死が分かる。結界が効かない。従魔にならない。俺の容姿は特定の人間に非常に好感を与えるらしく、よく術師に狙われるが捕まった事はない。自由って最高である。


現当主のリレションがベランダに現れた。


中庭の空気が変わった。すごい体験だ。忍び込んで正解だ。渡りの御子なんだそれ・・・。一か八かじゃないか。選ばれる奴は大変だな。みんな目がマジだね。がんばれ~。擬人化すごい。ワイバーン、ユニコーン、聖狼、強い魔の物が勢ぞろい。吸血鬼は擬人化辞めてもあんまり変わらないね。でもなんでそんな端っこに?太陽対策かな。裏庭も気になるぞ~。リレションは・・・ワニ?いや違うぞ。竜種じゃん。スゲー初めて見た。


黒い玉、綺麗だー。念が鎖に。あんな複雑な鎖すげー。舞上がっていく。花火みたいだ。おっ。こっちに降りて来たぞ。近くで契約見れるかも。ラッキー。


あれ、なんか。あれれr・・。


体が変だ。なんだこれ。ヤバ・・い。逃・・・げ・・・。


気持ちいい。


俺は意識を手放した。



















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