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アンコモン  作者: 蛙屋
17/24

チート

好んで読んだネット小説は頑張って内政とか、頑張って商品開発とかの話が好き。俺TUEEEEなチートは好きではなく、強いけど最強ではないぐらいが好きだった。



4歳ぐらいに、川に遊びに行くってみんなとランチをした。深くない川の中を覗き込み石に付いた藻を見て鮎がいそうな川だ。串焼きにして食べたい。スイカみたいな匂いが嗅ぎたい。と妄想していると。


『『「アッ!!」』』


と、みんなが叫んだ時には、大空高く舞い上がっていた。ヤベ~。スゲ~タカ~ィ。


なんだコイツ・・?顔を上げ魔の物を見る。アー・・ガルーダ?なんで聖魔がこんな最初の村のスライム原産地みたいな場所に?でも従魔じゃないな、あいつ等は関係なさそうだ。どうしよう?サット達が魔法で攻撃すると私にも当たるし、落ちる。ルー〇は人には移動できなかったはず。もしかして結構ヤバい?従魔術・・。使いたくない。こんな大物、食事の準備が大変そうじゃん。


『術使え。かなり離れたぞ。念がヤバイ。迷子になるぞ。』


もしかして、真面目に練習しないからサット達の作戦?運が悪いと死んじゃうから違うか。それにしてもデカい3メートル。・・・・・空の散歩か。アリです。


ブチ・・ビリ


嫌な音が聞こえてきたよ。ガルーラが掴んでる上着のボタンが・・。


従魔術、従魔術、従・・魔・・従・・鎖、鎖、くさり・・く・さ・く・・り・・ダメだ!!


無理でしょ。3年ぶりだし、練習?なんですかそれ状態だし、集中出来ねーよ。・・ブチ・。ヤバい、やばいやばいやばい


『早・・・。なに・・。バカ!!!』『ち・・ゆめ・・・しょ』

途切れ途切れにサットの罵声と、ナンディーの呻き声が聞こえてくる。伝わらないかもしれないが懸命に念じる。

「ごめんね!!最後まで頑張るよ。」


どうせ死ぬなら最後まで頑張ることにしました。鎖鎖鎖鎖鎖鎖鎖


ガッサ。背中の違和感がなくなります・・・。


お、おちる?


ドスン。


「「「「「従え」」」」」


叫んだ瞬間、光が弾けた。意識が・・・。久々のかんか・・・・・く。




フアフア、暖かい。気持ちいい。


『ざわ・・。起こ…ぼくが・・なんで・・っ』


ツン、ツン・・・ツン、顔を突かれる。ウ~ン。約束は・・・。休みの日ぐらい寝かせてよ。なんで休日は6時半に起きる?7時半までは起こさない約束してるのに。私が子供の時はずっと寝てたぞ。ツンツン・・ツンツン、しょうがないなぁー。


「約束~。まだ寝るよ。かーさ・・・・・ん???」


子供の手を払いのけ・・・・フサッモフ?


『『『『『ごしゅじんしゃま?だいじょうぶ?』』』』』


体を起こす。生きてる。目の前には、翼は赤く全身は黄金に輝くデカい鳥が睨んでいる。私の体の周りをサットぐらいの大きさの赤い鷲?が5羽、跳ね回る、踊ってる?


ハァ~、もしかしてガルーダの雛を従魔したのか?こんなの有り得ない。一度に5羽なんて。


「ギャ。グギャヤ。ギギギ!!」


ガルーダがなにか語り掛けてくる。分かんないけどわかる。親ならそうなるよね。

踊る雛を1羽捕まえ話しかける。


「お母さんは君たちの代わりに自分を従魔しろって言ってる?」

『ごじゅじんしゃま、すごね。ことばわかる。でも、ぼくたち、イヤーなのね。このままがイーのよ。ネ。』

『『『『 ネ!! 』』』』

「なんで?」

『スゴクちゅよくなたのよー。ネ』

『『『『 ネ!! 』』』』

5羽が並んで首を傾げる。・・・・かわいい。連れて帰りたい。でも


「お母さんに伝えてくれる?君たちの従魔術を解除するって」

『『『『『ヤーなのよー!!』』』』』


巣の中で雛たちが解除されまいと散らばっていく。ああ、4歳児にはこいつらの捕獲は無理。


「グルゥー。」


ため息を付くガルータ、状況をなんとなく察したのだろう。ガルータと視線を交わし、語り掛ける。


「少しの間、従魔するね。受け入れて。」


通じた?ガルータは頭を下げ、私の前に差し出す。


雛を心配する親鳥のために・・。鎖を・・。


心が・・物凄く、逢いたい、逢いたい、逢いたい。念が溢れ出す。念を鎖に・・悲しい気持ちが紡がれていく。


黄金?違う光る橙色だ。優しい色。光は雛からも発せられ、ひとつに纏まって親鳥を絡める。鎖が文字を浮かべた時、一段と強く光り輝いた。


『感謝する。』


一瞬倒れそうになるが、太い腕が体を支える。剛毛親父が全裸でニッコリ笑っていた。〇グリット・・。違う意味で気が遠のきそうだ。


「お父さんだった・・。」

「ピーピーキキー。」

雛たちが猛烈に多分抗議している。なんだか解除もしたみたいだ。


(ヌシ)は渡りの御子かい?ワシはとんでもない餌を捕まえたみたいだ。名はバックだ。ワシの願いを受けてくれて感謝する。』

「正解、渡り。まずは擬人化を辞めて魔の物に戻ってもらえる?」

『どうした。人の方が気楽だろう?』

「そうでもないのよ。マジでお願い。」

『了解した。』


擬人化を解いたバックに寄り掛かる。

「疲れた。家に帰りたい。捕まえた所に戻してくれる?着いたら、解除するし。」

『雛の言う通り、凄い力だ。ワシは従魔で構わんぞ。』

「ちょっと、事情があって私の従魔は危険なの。バックは大丈夫そうだけど雛が心配だから、解除するよ。」

『キャレチャーか?確かに面倒だな。』

「あいつ等知ってるの?」

『魔の物はみんな知っとるよ。彼らは特別だ。でも、主はもっとすごい。ワシは一度、従魔された事があるが、主は桁違いだ。それと念が心地いい、魔の物を惑わす。願うだけで弱き物を従魔するほどに。』

「願うだけ・・・。それ本当なの?」

『間違いない。鎖はなかった。鎖の無い術など有り得ん。ただ主の願いが辺りに散った。ワシも引きずられそうになったぞ。子供なのに君は恐ろし。』

「・・・・・・。」


チート・・。なんにもしてない。ずっと愚痴ってただけなのに。


『嬉しくないのか。キャレチャーなんて問題にならんぞ。主ならもしかしたら龍でも従える事が、可能かもしれんぞ。』

「お願いがあるの。」

『なんだ言ってくれ。』

「今日の事は他言無用でお願い。解除後も守ってくれる?」

『・・・。了解した。人とは不可解だな。』

「きっとみんな心配してる。帰りたい。」

『従魔によって移動術が可能の様だ。すぐ元の場に戻れるぞ。すまんが、擬人化する。魔法が使いやすい。』

また、ハグリッ〇だ。

「雛たち、バイバイ。」

「ピ~。ピピ。」

雛たちが尻を振る。それは、あいさつなのか?



「キャーーーーー!!!変態!」


元の場所にはメラニーがいた。サット達は探しているのだろう。


「大丈夫。イロイロヤバいけど、大丈夫だから、落ち着いて。」


バックはムッとする。


『なんじゃ失礼な小娘だの。・・念整師か?』

「そうだよ。なんか治療する?頼んであげるよ。」

『必要ない。主の従魔が怒っとる。さっさとオサラバしよう。』


解除だ。念じる。バットに繋がる鎖が見える。見える?あれ、なんで鎖が見えるの、そういえばさっきも、橙色の鎖が見えてた。なんで、なんでなの。


『主も念整師の素質ありじゃの。フォフォ。10年で子育ては終わる、従魔しに来てくれ。』


ハグ〇ットが尻を振る。


鎖が切れた。


背を向けるガルーダが一度尻を振り飛び立った。


「カーリー様、大丈夫ですか、心配しましたよ。エーーーン。」


メラニーが泣き始める。後ろにはサットとナンディーが大きなため息と共に現れる。


『『心配したぞ。』』


ナンディーが私を抱き上げる。


『僕の声聞こえました?いろいろ喋ったんですけど。』

「途切れて、呻き声にしか聞こえなかった。心配かけてゴメンね。」


青ざめた表情が少し緩んでいくナンディーにしがみつく。


ゴチン。「痛い!」


サットが真っ赤になって怒っている。


『普段から修行しないからこんな事になる。反省しろ。』

「ウゥ。ごめんなさい。」

『でも無事でよかった・・。』


ゴメンね。心配かけて。ごめんなさい。



秘密ができた。



分かってた、簡単だって。あいつ等なんて吹けば飛ぶゴミだって・・・。

でもこの力、使っちゃダメだ。何で、ダメなんだろう。不思議だ。体中から拒否反応だ。そのまま気持ちが見えない糸になって念を変化させる。みんなに気付かれる前に、早く速くと体が震える。


ゴメンね。これからも気が休まらない日々が続くけど、奴らは憎いけど・・・。


駄目なんだ。理屈じゃない。本能だ。


お約束なんて関係ない。最強チート・・のチープな物語の主人公に成れば、簡単なのに・・。







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