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スレナス物語(アンスロポスシリーズ)  作者: 緒方 敬
第03章 チャンピオン
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チャンピオン-6

●アレクシアスの仲間

 ルブリン掃討戦・ドナレア侵攻・蛮族侵攻阻止…。

 せがむままに語ってくれるフェザント家のいさおは、良い意味での貴族の家の伝統を

 感じさせる。

 それは丁度、マルボロー伯の勲を土台として成立したチャーチルの働きの如きもの。

 伝統の重みは彼の血に確りと息づいている。


「おっと。流石に話し込み過ぎてしまったな。スレナス。送って行くか?」

 気が付けばもう夕方。僕の隣で、ルリも拳を握り締め聞き入っていた。

「折角ですから、お言葉に甘えます」

 僕の返事を聞くや否や、

「そーら」

 ひょいとルリを担ぎ上げ、左の肩に座らせた。

「え? いいの?」

 ルリの目は恋する乙女の様に潤んでいる。

 アレクシアスはそのまま彼女を左手で支えつつ、僕に伸ばした利き腕を預けた。


 途中、冒険者ギルドの横を通った時、

「…アレクシアスさん。…また厄介事に巻き込まれたんですか~?」

 建物から出て来た、赤い瞳で長身の金髪の女の子が間延びした感じで話し掛けて来た。

「ヒール。そういつも巻き込まれては居ないぞ。それより、この子の傷、直せるか?」

「ちょっと見せてください?」

 ヒールと呼ばれた女の子は、ハンカチを解いて傷を改める。

「…あ、この程度でしたら直せますよ~」

 ぶつぶつと呪文を唱え、掌を傷口に当てた。

 もう殆ど痛みは引いては居たが、じんじんしていたのがまるっきり消え失せた。

「は~い。…これで大丈夫ですよ。ぼく、いったいどんな、おイタをしたのかしら」

「ヒール。からかうな。女の子を庇ったナイト様の名誉の負傷だ。

 しかも警邏隊長のクレマンを、剣を抜くほど動転させた器量だぞ」

「あらまあ。そうでしたか。アレクシアスの推薦なら、直ぐ登録されるわよ。

 小さなナイト様。ヒール・アンドンと申します。宜しくね」

「登録?」

 僕が問い返すと、アレクシアスは、

「ヒールは冒険者ギルドにスカウトして来たのかと思ったようだ」

 と僕に説明し、ヒールには

「器量的に登録する資格はあるが、今日はたまたま通っただけだぞ」

 と答えた。


 その時後から、

「アレクシアスさん。その子は?」

 司祭の服を着た豊満な女性。

「ねー。その子。新しいメンバーなのかな?」

 そしてシュートボゥを持った小柄な女の子。

 いちどにどっと話しかけられてたアレクシアスは、

「シャルロッテ、ガレット。この子達は送って行く途中だ」

 と答えるが、

「ふーん只者じゃない匂いがするよ。この子」

 ガレットと呼ばれた子が僕の顔を覗きこむ。背は、今の僕と同じくらいだ。

「あたし、ガレット・ヴィルルノワ。弓の使い手よ。あなたは?」

 自己紹介して、僕の名前を聞いて来る。

「僕はスレナス。そこの女の子はルリです」

 僕が名乗ったので司祭の服を着た豊満な女性も

「私はシャルロッテ・ブルームハルト。アンデット研究家で、学者を遣っています」

 と名乗りを上げた。

 アレクシアスは冒険者ギルドでも、かなり名の知られた人物らしい。

 そして、いつの間にか、

「あたし、スレナスさんのいいとこ見て見たい」

 ガレットの音頭で、僕の腕前を披露する事になっていた。なぜだ?


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