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つらい時は飲めばいい



リザンカ:もぅ、ヤケ飲みだー!!







つらい時は飲めばいい♪




地獄。

血の池海前にて。


「閻魔のクショが、ヒグッ、私がどれだけ、ッ、クリョウしてるかわかってんのかゃー!」

「まぁまぁ、リザンカもヤケ飲みは明日が辛くなるよ?」

「いいの! 今日は飲みまくって仕事してやるぅ!!」


と、言ってゴクゴクとアルコール度最強の酒を飲む地獄の番人ことケルベロス・リザンカ。


隣には地獄の仕置き仕事を任された鬼女。

長い黒髪に二つの角を頭に生やした、二十代前半ともいえる体つきをした、アンちゃんことアンヨ・カリンが苦笑いを浮かべていた。



今、彼女たちは血の池海前で建てられている居酒屋。

やけ酒の真っ只中である。

(おもに、リザンカが)



「まぁ、確かにひどいよね。私たちなんか睡眠時間すら三時間あっていいほどなのに」

「私ィ何て、睡眠一時間だよ! 人間どもが呻きだしたら三十分しかないしゅい! ヒクッ」

「でも、たまには休みをほしいなぁ」

「あにょ閻魔は絶対にいつか叩き切ってやる!! ヒグッ………(ゴクゴク)」

「いや、それはダメでしょ。ってどれだけ飲んでるの!?」


アンヨはリザンカが瓶三本も飲んでいる事にやっと気づく。

一方で、ベランベランのリザンカは顔を真っ赤にさせた状態で席から立ち上がり、


「うへへ………それじゃ、私。ちょっと仕事してくりゅね」

「リザンカ、もう少し酔いが覚めてから」

「アンちゃん、いってきぃまーす♪」


鎌を振り回しながらご機嫌なリザンカ。

酒の力で気分がハイになったのだろう。


リザンカはフラフラとした動きで仕事に戻っていく。

アンヨはその時、思った。






地獄に落ちた人間たち…………ガンバ。










地獄。

地上境道。



「リ、リザンカ様。その手にあるのは」

「ん? にゃにって生命の源じゃんか♪」

「い、いえ、そっちの手じゃなくて片方の」


そう言いながら、手首に手錠がつけられた人間の魂は後ずさる。

さらにいえば、周りにいた他の人間たちも同様に後退する。


「んにゃ? 片方って、こりぇの事?」


リザンカは首を傾げながら片方の手に持つソレを一振り。

直後。


「ぎゃあああああああああああああああ!!」


離れていた所で真面目に仕事に励んでいた数人の人間が吹き飛ばされた。


「んにゃ?」


彼女の手に持つソレは、普段背中に納められた鎌。


『ケルベロスの爪』



名前の通り、地獄の門番ケルベロスの爪を刃にした物。

しかし、その鎌にはある形態変化が備わっていた。



それが、今リザンカが手に持つ。




ゴミクズを振り払う毛皮の尻尾。




『ケルベロスの尾』



普通なら、人間の魂に残った悪意を吹き飛ばすために使う形態なのだが、今、リザンカは相当に酔っている。

そのため、


「うにゃ、結構にとんだにゃ♪」

「や、やばい!? みんな逃げろ!! リザンカさん、ゴルフ気分で鎌振ってるぅぅぅ!!」


ぎゃあああ!! と、逃げ惑う人間たち。

出来るだけ遠く、と全速力で逃げている。



だが、彼女は地獄の番人。

その力に人間は逃げることはできない。




「ウップ、あーもくひょうー………………閻魔のバカマヌケー」


リザンカは鎌の柄をガッシリと両手で握る。

そして、大きく勢いよく振りかぶらせ、


「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


突風が尾に吹き飛ばされた。

勿論、人間も纏めてだ。


「うぅぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」



地獄に小規模なハリケーンが巻き起こる。










閻魔の居間。

巨大なソファに座り、閻魔はパイプを加え休息していた。


「………はぁ、まったくケルベロス・リザンカには困ったものだ」


数時間前の彼女。

確かに騒ぎは起こしたが、少しやり過ぎたか。

後で仕事を減らしてやろう、と閻魔は溜め息吐いた。

その時。


「……ゃ……ぁぁ」


微かな、小さな悲鳴が聞こえる。

閻魔は眉を潜め、顔を上に向けた。



瞬間。



ズボッ!!

ズボッ!!

ズボッズボッズボボボボ!!


「ッ!! グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」



目、鼻、パイプ穴、耳。

穴がある穴に人間が突き刺さり、閻魔の悲鳴が天界十に響き渡ることとなる。





そして、後日。

ケルベロス・リザンカに大量の仕事が舞い込み、リザンカは泣きまくったとか。






リザンカ:始末書、確認書、履歴書、報告書、………………ぅっ、うぅええええええええええええええええええええん!!!




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