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体力測定

状臥上体そらしの片思い

作者: ロミ
掲載日:2026/10/07

前作『踏み台昇降の片思い』を先に読んだ方がわかりやすいです。


 



 ※状臥上体そらしとは、うつ伏せに寝た状態で両足を別の人に押さえてもらって、両手を後ろで組んで、上体を限界までグイッとそらす動き。

 上半身の反り返りでいかに顎の部分が上に上がるか、床から顎までの距離をメジャーで測定する。







「また、反復横跳びで、前のクラスがふざけやがって、時間がかかったじゃないか」

「時間おしてるよな。他のクラス終わってる奴らもいるのに、俺ら上体反らしも、立位体前屈もやってないぞ」

「ふざけるなよ、前のクラス」


 後残り2種目。

 体育館の壇上で行われる、上体反らしも、立位体前屈も長蛇の列。


「おい、お前達、体力測定が終わった奴に手伝ってもらって、もう一台ずつ、上体反らしと、立位体前屈の測定器具を設置したぞ、そっちにも並べ」

 顧問の先生から、指示が飛ぶ。


 俺達のクラスは、新しく設置した上体反らしの方に並んだ。




 新たに設置した上体反らしは、体力測定が早く終わった男子達が手伝って、測定者の足を押さえたり、メジャーで測ったりしていたが、手伝っていた男子達が、片付けに呼ばれた離れた。


 代わりに手伝いに入ったのが咲のクラスの女子達。



ザワザワザワ。

「・・・おい、女子だぞ」

「マジで、女子が俺の足を押さえるのか」


「足臭くないか」

「ジューズを鼻に近づけるな、やめろ、臭い」


「ヤバい、俺のシューズめっちゃ汚い」

「茶色じゃん、洗濯しろよ~」


 同じクラスの男子が、ざわついている。



「・・・・・。」

「おい、足を押さえてるの咲ちゃんじゃね」

 友達が俺の脇腹をつつくが、俺はそれどころじゃない。


 咲が他の男の足を押さえるのは腹立たしいし、心配だが・・・。

 それより、咲に俺の足を押さえてもらえるのか!という喜びが強い。


 俺は自分の足元を見た。→シューズは汚くはない。

 シューズを嗅いでみた。→臭くはない。

 自分の足首を見た。  →毛もくじゃらじゃない。

 全身をチャックした。 →よし、汚れもないし不快では無いはず。


 俺はドキドキしながら順番を待った。


 とうとう俺の番。


 咲は、俺に軽く会釈すると、足を押さえる係のもう一人の女子とこそこそ話。


 俺は、上体反らし測定器の前にうつぶせに伏せた。


 咲の小さくて少し冷たい手が、俺の足首を掴んだ。


「先生が、”はい始め"って言ったら、上体反らしを開始するように」

 記録の先生から説明があったが、俺は、俺の足を握る咲の手に集中。


 手小さいな~、柔らかいな~。

 握っているのか握ってないのかわからないほど、非力だよな~。やっぱ女の子だよな~。

 足首に触られた時は、少し冷たかった手が、熱を持ったように温かくなっていく。

 咲の体温だ~。



「はい始め」

 記録の先生から声がかかった。咲の手に集中していた俺は、聞いてなかった。


「おーい、おーい、前田くん。聞いてるか。始めて良いぞ」

 記録の先生から肩を叩かれ我に返った。


 急いで上体反らし。

 決して足首に力を入れないように、咲の手を跳ね飛ばさないように細心の注意をはらって。



 無事に測定終了し、咲が怪我してないか、嫌がられてないか気になって、咲の方を振り返った。


 咲は、頬を少し赤く染めて、俺を見て、はにかんだ。

 何ともなさそう、よかった。可愛い。






 ◇◇◇






 私のクラスは、先生に呼ばれて、上体反らしの測定の手伝いには入った。


 順番を誘導する係が2人。

 測定者の両足を押さえる係が2人。

 メシャーで床から顎までの距離を測る係が2人。


 私は、足を押さえる係になった。


 隣のクラスの男子達は、順番が来ると「おう」とか「はい」しか言わない。

 皆、黙々と測定していく。


 前田君が並んでいるのは知ってた。

 前田君に触れれる事に、ドキドキ期待している自分がいる。


 前田君の番。

 前田君と目があった。

 軽く会釈。

 私はなんだか後ろめたくて、一緒に足を押さえる女子に用事もないのに話しかけた。


 前田君は無言で、うつ伏せになり測定準備。


 自分の手の汗を体操服で拭いて、前田君の足首を押さえる。


 思ったより細くて、硬い。

 足首からスッと長い脚が伸び、小さいお尻、広い背中、後頭部を見る。

 思ったより長いし大きいんだ。


 先生の説明の後、「はい始め」の号令がかかったが、前田君は動かない。


 どうしたんだろ?


 しびれを切らした先生から「おーい、おーい、前田くん。聞いてるか。始めて良いぞ」と肩を叩かれている。


 次の瞬間、前田くんの大腿と小さなお尻にキュッと力が入り、勢いよく上体反らし。

 測定されるまで、少しそのまま上体キープ。


 私の目は、キュッと力が入っているお尻にくぎ付け。

 もともと小さいお尻が、もっとコンパクトになり、ちょっとプルプルしている。

 なんだか、かわいい。


 測定が終わり、前田君が勢いよく私の方を振り返った。


 なんだか、恥ずかしくて、いたたまれない私は、曖昧に微笑んだ。







 おしまい




これにて、体力測定シリーズは終了です。

お付き合い下さりありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
初々しい、かわいらしいお話でした。なんか両想いじゃないですか?! 羨ましいですね(笑)。マニアックかもしれませんが、筋肉の緊張する描写がよかったです。 不安定な天候が続きますが、どうぞご自愛くださいま…
 ロミさん、こんにちは。 「状臥上体そらしの片思い」拝読致しました。  ふざけたヤツラのせいで、時間が押してるじゃねえか。  測定が終わった連中も駆り出して、測定機器をもう一台、設置。  じょ、…
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