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第3話 見られている日常

三話。

「…あ、ある…」

「え?」

「円居さんが…手作りのキーホルダー?ぬいぐるみみたいなの、いっぱい、渡して来て…鞄に付けてないと煩くて、つけられたままに…」

やばい、鳥肌が…!


「仕込まれてたら証拠になる。捨てるなよ」

アキラさんの言葉に頷く。


「明日、昼間に咲真の家行って家探しするか…?ソイツがちゃんと学校行きゃ良いが…見張ってたらバレるか…。」

「…じゃ、じゃあ!今夜、一緒に俺ん家行ってくれない?俺、頑張って…朝、学校行くから。その間に調べて欲しい!それで…こっちに、来て良い?」

「でも、大丈夫か?今日行方が分からなかったせいでソイツ執着ヤバいと思うぞ?」

「怖いし、ヤだけど!…アキラさんが、味方が居てくれるって思えるから、頑張れると思う。」

「…いつでも連絡しろ、必要なら迎えに行ってやる。」

「うん!…ありがとう…」


夜中に車に乗ってマンションに戻る。

流石に円居さんは居なかった。

静かにエントランスを抜け、息を潜めて家の中へ。


父親は不在。


静まり返った部屋には二人だけ。



念の為にSMSで、明日の授業の愚痴を書いて置いた。

「明日英語小テストか、勉強しなきゃ」って。

すぐに「がんばろうね!」って円居さんからコメントがついた。

何人かのクラスメイトも「だるいな」「お前は余裕だろ?」なんてきた。



アキラさんがいろんな機械を出して調べていく。

「…盗聴器は無いが、コレに位置情報知らせる発信機が仕込まれてるな。」

そう示されたのは…鞄につけられた黄色のマスコットお守り。

可愛いらしい花の形のソレが禍々しく見えて鳥肌が止まらない。


「…アキラさん?…コレはまだ、そのままにしといた方が良いの?」

出来れば今すぐ捨ててしまいたいよ。


「そうだな…。コレはここにおいていけ。代わりにこっちを付けとけ。こっちはなんも入ってねぇ。プレゼント付けてりゃ文句は言えないだろ。」

アキラさんがサッと外して違うのを付けてくれた。

「さて、予定通り監視カメラつけさせてもらうぞ?」

「うん!」


俺の部屋を見る円居さんを、俺の部屋から見れるのは当然なので窓にカメラを仕込むらしい。

「コンセント抜かない限り映像飛ばすやつだから記録できる」そうだ。



朝。いつも起きる時間。

カーテンをそっとズラす。

円居さんは…居た。

カメラはちゃんと起動してる。

俺の部屋を見上げる彼女がちゃんと写ってる。


「いいか?無理だけはするな。辛かったら、いつでも呼べ!いいな?」

頬を両手で包み、視線を合わせて強く言い聞かされた。

俺は頷いてアキラさんにギュッと抱きつく。

アキラさんもギュー!と励ますように抱きしめて背を叩いてくれた。

いつも出る時間になる。

アキラさんが、円居さんがエントランスに向かうのを教えてくれた。



「おはよう!ショウくん!

ねぇ、昨日どこ行ってたの!?

心配したんだよ!」

一人で喋り続ける円居さんを俺は無視して足を早めた。


学校に着いてもクラスが同じだからずっと横にいる。

いつも通り無視して勉強するか…


「…ショウくん?なんでコレなの?黄色いのは?」

円居さんが悲しそうな声色で聞かせるように言うのを聞いてイラッとした。

「…は?君がうるさいから付けてあげてるのに文句あるの?」

「!ううん!ごめんなさい!」

何その態度。

俺が悪いみたいじゃん。

ああ、もうほんと嫌になる。

アキラさんにメッセージで愚痴って、宥めてもらえて少し落ち着く。

「ショウくん、ダレとメールしてるの?」


「君に関係ないだろ」

目を向けずに突き離せば、周りがモラハラ旦那!とか煩く茶化して円居さんを慰め、円居さんは悲しそうな顔して「でも、ショウくんが好きだから」なんて答える。

ソレがもう日常になってて、気持ち悪い。

あ…そんな風に考えられるなんて…だいぶ心に余裕ある。

味方になってくれる人が居るって凄いなぁ。


言われた内容や行動や時間もメモしていく。

気をそらせる物があると時間の経過が早い。


昼は適当に買ってきたモノを腹に詰め込む。

…アキラさんの作ってくれるあったかいご飯が食べたい。

ハアとため息を吐くと円居さんの視線が刺さる。

トイレに逃げて気分を変えよう…。


トイレから出たら円居さんが待ち構えていて「ちゃんと手洗った?使う?」とハンカチを出してくる。

無視して教室に戻った。

彼女の評価が、甲斐甲斐しいやら大和撫子なんて言われるのが解せない。

不気味なだけじゃないか!

少し後ろに着いて、ずっと一人で話つづけるなんて…。


学校が、終わった。

一日が酷く長い。

勝手に着いてくる円居さんを無視して家に帰る。

部屋に入り、いつも通りにカーテンを大きく開けて窓を覗く。

下にいる円居さんがこっちを見て…ニタリと笑った…


「ヒッ!」

窓から離れて深呼吸。

「大丈夫。平日はコレで居なくなる。」

そう言い聞かせてカーテンを整える。


彼女に諦めてもらいたくて「バカは嫌い」「身だしなみのないヤツは無理」とか言っていたからか、彼女はそれなりに身を整える時間がいるし、早起きするため夜は早いと言ってた筈だ。


(あ。そうだ、もう少し、彼女の話を覚えといた方がいいのか…アキラさん、動きが読みやすくなるって言ってたから)


アキラさんから彼女が完全に居なくなったとメールが来たので荷物を抱えて駐車場に降りる。

車の横に立っているアキラさんに駆け寄って飛びついた。

「ぅわぁーん!アキラさん〜!俺頑張ったよ?!」

「おう!頑張ったなー!話は車で聞いてやるから乗れ」



アキラさん家に着いてシャワーを浴びて部屋着に着替えてご飯を食べる。

しっかり食えよと自分のより多い方のおかずが置かれる。

(…俺のためだけのご飯だ!)

続いて置かれた白ごはんも山盛り…

「…お茶碗」

「ん?ああ、お前用な。良い色だろ?箸とコップも似た色の見つけてさぁ?」

「…ふ、ぐっ…ありがとっ…」

「えっ、ちょ、どした?」

「嬉しぃ、だけ…。食べていい?」

「おう、飯はおかわりもあるからな!」

「いただきます!」










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