第2話 増えつづける、未読通知
二話
朝。
リビングに出ると、咲真はまだ眠っていた。
テーブルの上に置かれたスマホが震え、
しばらくして、また震える。
(…さっきから、やけに多いな)
ロック画面に表示された未読通知。
昨夜、眠る前に見た時は132だった。
今は、151…。
一つ増え、また一つ増える。
画面を触らなくても、数字だけが静かに更新されていく。
(夜中も、送り続けてんのか…)
俺はそっとスマホから視線を外し、眠る咲真の顔を見た。
少しだけ眉が寄っていて、それでも、昨夜よりは穏やかな寝顔だった。
――起こすのは、もう少し待つか。
今日の朝飯はフレンチトーストにするか!
バターでカリッと焼くのが好みなんだよなぁ。
咲真はどうだろ?
「初めて食べた!美味しいです!」
咲真はフレンチトーストを夢中で食べてる。
うん…飯は食えるな。
ミルクティーも淹れてやり落ち着いた所で相談だ。
「咲真。付き纏いしてる奴についてや、いつからどんなことがあったか。記録してたりするか?」
「…日記に少しだけ」
「よし。最悪警察沙汰だからな。記録は必須だ。後は客観的な証拠が欲しいな。」
「…アキラさんは、なんで、助けてくれたの?」
「俺の妹は、ストーカー野朗に殺された」
「っ!」
「だからほっとけなかった」
「そう、なんだ…」
「あとは、お前が好みだったから」
「…冗談でしたーとか、言います?」
「嘘は言ってないよ?」
「…」
「まあ、そんな訳で。手助けしたいと思ってる。どう?」
「…よろしく、お願いします」
「んじゃ、改めて情報をまとめようか」
(咲真視点)
毎日毎日…
なんなんだよ!もう!いい加減にしてくれ!限界を迎えて走って逃げた先で、俺は運命に出会った。
久しぶりの安全な空間、安心できる場所。
円居さんについて聞かれて話す。
始まりは、一月前のクラス替え。
クラスメイトになった円居さんが個人的なメッセージを送ってくるようになった。
おはよう、から、おやすみまで。
一方的なメッセージが何十通も。
無視しても構わずに来る。
翌日には帰りに一緒に帰ろうと着いて来られるようになり
「おはよう!ショウくん!」
朝、待ち伏せされた。
流石に怖くなってやめてくれと言ったけど恥ずかしがらなくてもいいじゃない!と聞く耳を持たない。
なんとか避けようとしても捕まる。
休日、出かけようと家を出たら円居さんがいた。
貼り付けたような笑顔で親しげに話しかけてくる。
良い加減にしろ!と怒鳴ったら感情が抜け落ちた。
真っ黒な目が怖くて体が震える。
彼女は「恥ずかしいからって怒鳴らなくてもいいじゃない」とまた笑顔になった。
その瞬間――怒らせたら、ヤバいっ!と悟って「嫌だ」と言えなくなった。
そして、付き合ってるって噂がたった。
俺は全力で否定した。
周りからは「恥ずかしがるなよ」なんて茶化されて…
なんでみんな話し聞いてくれないんだよ!
ずっと鳴り続けるメッセージに頭がおかしくなりそうだった。
ブロックしたらしたで怖いからしてなかったけど
アキラさんには
「動きが読めなくなるからな、しなくて正解だよ。」と頭を撫でられた。
現に今は
「ショウくんドコにいるの?」
「なんでお家に居ないの?」
「ねぇ?ドコ?」
「ドコにいるの?」
とひっきりなしに来てる。
「コレ見るに、発信機とかは仕込まれてないみたいだな。俺の妹は貰ったキーホルダーに仕込まれてた。」
その言葉にハッとする。
何個も何個もプレゼントされた
【手作りのお守りマスコット】
無理やり通学鞄につけられた【ソレ】を
俺はちゃんと見た事が無かった。




