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第1話 笑っただけで、恋人にされた—助けを求めた夜


※本作には

・ストーカー被害

・執着、歪んだ好意

・精神的追い詰め

・刃物を用いた暴力表現

が含まれます。


また、被害者が男性であることによる軽視や、周囲の無理解といった描写もあります。

苦手な方はご注意ください。



「アキラさんがいなかったら、俺、死んでたかも」




そう言って泣いていた高校生は


今は俺の膝の上で眠っている。




街でぶつかっただけの、名前も知らなかった他人だ。


それを家に匿っているなんて普通じゃない。


それでも、あの時声をかけていなければーー


咲真は今ここにいなかっただろう。






街を歩いていたら、突然背後からぶつかられた。


「痛っ!」




振り向くと、そこには真っ青な顔で震える高校生くらいの少年。


彼の視線は周囲を警戒するようにキョロキョロ動く。


嫌な予感がして「君、大丈夫か?」


と声をかけるが「すみません」と言いながら背後を気にしている。




「…おいで」

肩を抱いて路地裏に連れ込み、壁に囲い込む。


少しして「しょうくん!どこ?」と女の声が聞こえて腕の中の少年が、息を止めた。


「大丈夫、ゆっくり息して…そう…。もう行った…」 

「ッ…はぁ…すみません…ありがとう、ございました。」

「…付き纏いか?」

「どう、なんでしょうか…勝手に彼女だって言いふらしたり、待ち伏せされたりしてて…」

「は?家、バレてるの?」

「はい…」

「家族は?」

「…父しかいなくて…ほとんど帰ってきません」

「なら、ウチに来る?」

「え?」

「初対面の野朗の家でいいなら、匿ったげるよ?」

こんな怪しい誘いに泣きそうな顔で「…お願いします」と言うくらいに追い込まれてんのか、この子。


「俺のことはアキラって呼んで。君は?」

「…咲真です」

「ん、なら行くぞ」

歩き回るのも怖いのでタクシーを拾った。



我が家は守衛もいるセキュリティばっちりなマンションで、ソレを見た咲真の肩からまた少し力が抜けたのが分かった。

「咲真。飯、食えそ?」

「…アキラさんが作るの?」

「簡単なもんしか無理だがな、いやなら」

「イヤじゃない!…逆…でっ」

「ン。なら適当に作るわ」

父親だけで家に居ないってたし、手料理に飢えてんのかな?

「何が出来るかなぁ?」

冷蔵庫の在庫を確認

「…胃も弱ってそうだし優しそうなもんがいいか?でも若いしなぁ」



チャーハンを口いっぱい頬張る咲真は幼く見えた。

もやしのナムル、ワカメスープ、冷凍のシュウマイ。

しっかりめの量にしてやったが食べ切った。

…食えるだけの余裕は出たな。

「お腹いっぱいです」と笑うのに、まだ間に合うと思った。



洗い物を終えてソファに戻ればウトウトしてる。

「眠いならベッド行けよ?」と肩を揺すれば抱きつかれた。

「何?甘えん坊?」

「…グスッ…アキラざぁん…」

「うんうん、ヨシヨシ」

「怖いし…わけわかんないし…心細いしっ」

「うん。そうだな」

「アキラさん、いなかったら、俺っ」

「うん、辛かったな」

「うわぁぁん!」


泣き疲れて寝てしまった咲真をソファに寝かして布団をかけてやる。


具体的な被害がなければ警察は動かない。

しかも男性は女性より軽くみられがちなんだよなぁ。


(とりあえず情報収集。

少しメンタルケア出来たら、証拠固めかな?)


テーブルに置かれた彼のスマホの画面を見る。

ロック画面に浮くメッセージアプリの未読を知らせる数字は…132。



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