追込み
白蘭は、すぐに動いてくれた。
話を面白くしたかったが、肝心な鬼丸がリオン電機が白蘭を殺してもこの話を進める気だと言われてしまった。
確かに…中目黒の駅前に禍々しい黒雲が掛かっていた。あれは、沢山の犠牲者が出る前兆だ。
その中に白蘭も入ってるのかもしれない。
それも一興だが、潤が犠牲になるのは嫌だ。姉と同じように死んだら…白蘭は生きてられない。
しかし…かなり難しい課題だ。
「まさか、今更やめるとか言いませんよね?」リオン電機の社長が呼ばれて早々来たが、かなり余裕が無くなってる。
「変な事をしょうとしてませんか?
犯罪とかに絶対加担したくありませんよ、ウチは。」白蘭が迷惑そうに言う。
「だから書類も作っていませんし。ウチに絶対迷惑を掛けないと約束していただけないと…」白蘭がワザとリオン電機の2代目を追い込む。
「各ビルオーナーがもし亡くなるような事があれば…相続人ともめて
更地にして返して貰えず手つかずの廃墟化も起こります。そういう事をちゃんと分かってますか?」旧法借地権をちゃんと理解してるか?この2代目は怪しい。
今日は部下も連れてきていない。
「そうでしたっけ?勝手に引き倒せば良くないですか?」やはりこのボンボンは良く分かってないようだ。
「ビルオーナーがいなくなれば、引き継ぐ人間と新たに交渉しなくてはいけません。老朽の基準が人によって違うからです。3軒共別々ですから、その手間と相続人がいない…赤いバーのマダムとかややこしくなります。彼らが亡くなるような事はしませんよね?」白蘭がワザと困ったフリをする。
「だ、大丈夫ですよ!何ならビルオーナーをこちらへ避難させませんか?招いて下の店で接待しても…」2代目はハチャメチャだ。ツッコミどころが満載すぎる。
「避難って…何ですか?何を企んでるんです?
困りますよ!ウチを巻き添えにしないでいただきたい!」白蘭が逆ギレされないギリギリを攻める。
「わっかりました!2月18日です。平日の水曜日に皆が仕事に出掛けてる時間に居酒屋も開店準備前の午前中に決行します。なので、ビルオーナーで住んでる人だけ何とかこっちへでも来てもらえませんか?」2代目が青ざめた顔で左頬をけいれんさせながらヘラヘラと話す。
これ以上追い込むと暴れる…限界だろう。
「じゃあ、その時間に住んでる…最上階が住居の夫婦の方が居ますので、こちらへお呼びして何とかします。
ビルオーナーが1人でも亡くなったら、売却話は1年延びると覚悟して下さいね。
ハア〜ッ、警察沙汰になっても絶対うちの名前は出さないで下さいよ。困りますから!」白蘭がビルオーナーの連絡先をパソコンで探すフリをする。
リオン電機の社長はホッとしたようだ。




