計略
「エッ、ガス爆発事故を演出する気なの?」鬼丸の話に潤も驚く。
「日立さん、会社で偶然聞いてしまったんだって。
会社の偉い人達が、あの卓球バーでビルの給湯配管にガス漏れがあって、それに調理の火が引火した事にしてガス漏れの爆発事故を起こして、あの3番地区画を整地してタワマン用地としてデベロッパーに売りたいらしいんだ。」鬼丸がパソコンで地図を拡大する。
「3番地区画はすでに2/1あの巨大な月極駐車場と独身寮のビルが電機会社で占めてる。そして、ママの赤いバーのビルも他3軒のビルも土地はワールドダイニングのものでビルの所有権だけ各オーナーのものなんだって!」鬼丸が話す。
「旧法借地権ね!」潤が呟く。
「それ!日立さんも言ってたよ。そうか!潤は中目黒でマンション買いたいから知ってるんだ!それ。」鬼丸がうなづく。
「土地代だけ毎月大家に払って、ビルは自分で建てることが出来るの。特に1992年の新法が出来るまでの借地は旧法借地権として地主に返却を求められても半永久的に拒絶出来るのよ。」潤が鬼丸に分かるか心配しつつ話す。
「それ、いいね。じゃ、安心して自分のビルとして住めるんだね?」鬼丸が理解してくれた。
「でも、それはビルが破損したら…無効になるの。
1度壊れてしまったら、整地して土地を返却しなくてはいけないのよ、地主に。」潤が言う。
「エッ、じゃあママは事故でビルが破損したら、あそこから出ていかなきゃいけないの!?」鬼丸が驚く。
「そう!ビルは最低30年くらい保証されるけど、今壊れたら、もう多分無理なの。」潤の説明に鬼丸はなぜ白蘭の魔法に要が加担したか分かってきた。
「憎い恋敵を殺しても良かった。でも、そうするとワールドダイニングは唯一の相続人を失って解体する。そして、駅前の土地を何とか返してもらおうと圧を掛けてくる。
白蘭には穏便にママから離れて貰うには、魔法使いだと誤解させる事が必要だったのか?」鬼丸がやっと要の思惑が見えた。
「地震とか想定した法律なんだけど…事故も同じなのよ。卓球バーと隣のビルだけ各オーナーの土地なのよ。あの区画で。
でも事故の責任あるから賠償金払うために土地を手放すでしょう?
そして隣のビルも内見した時に共用部の傷みが激しいのに手直しされてないし部屋も全然リフォームされてなくて、大家さんが株で失敗して建て替える力が無いのよ。だから多分売るわ、そうなったら!」潤が心配そうに地図の各ビルを色分けする。
「ア〜ッ、電機会社とワールドダイニングだけになる!3番地が!」鬼丸がその色分けが2色だけになって驚く。
「川向いの駅前タワマンは、今一部屋2億以上なのよ、中古でも。それが500戸あるの。
ここに新築タワマン建ったら…どうなると思う?中目黒だよ、ココは?」潤の言葉に鬼丸は背筋が寒くなる。
「1千億以上の利益を生むタワマンが建つのか…デベロッパーもそれなりの額を電機会社とワールドダイニングに払うな…怖っ!」鬼丸が自分の両肩を抱く。




