中堅企業
「へ〜っ、目黒の電機会社だね。中目黒に社宅あるんだ。」企業名から調べて本社の場所が分かった。
「昔からの会社みたいだよ。町工場からコツコツやってきた会社だよ。今は大きな社屋になってるけど。
そこの社員なんだね、日立さんは。」潤がパソコンからソファでふんぞり返ってる鬼丸を見る。
「もう自宅の場所まで分かったしね。」自慢げだ。
「でも、それは負けたオーナーと梅さんやダイキリ選んで飲ませた長谷部くんと希美ちゃんの手柄じゃ…」と潤が苦笑する。
「エーッ、それもあるけど、やっぱ俺じゃない?」鬼丸が褒めてほしそうだ。
警察のこの犬体質が、潤と合わないのだ。
社内で何度も賞貰ったが、なんでこんなに連発するのか謎だった。確かに給料に反映する歩合制公務会社なんだが、それ以外にやはり褒められたがりが多い気がする。
黒猫も副署長も上を目指してたよなあ〜と思い出す。
潤はヲタなので、そこがちょっと分からない。
潤などケガしないで欠勤しないでコンスタントに勤務して、無遅刻無欠勤で何ならケガや病欠の人の穴埋めしてただけだ。
賞連発しなくて良いから代休をちゃんとくれ!と思ったが。
なので人に評価される事になんら価値は無いと知ってるが…
まあ、明日への活力になるなら。
「頑張りましたね〜良い子良い子」とハグした。
鬼丸が俄然元気になる。
「あの人は、メモ見せて追い詰めたらダメな気がするんだ。なぜ、あんな事をしたのか?自分から話してもらえるまで付き合うよ。」急にやる気出す。
「その日立さんが、メモ書いて置いた人だと思ってるのね?」潤が聞く。
「うん、指紋残さない所とか、ずっとあんな近くに居たのに来なかったりとか、メモにプリンターやら使わない慎重さとかね…繊細で几帳面な感じがね。
だけに、あのメモの内容が解せない。」鬼丸が座り直して考えてる。
「あの…関係ないけど、私のパンツは…」ジャージが昨日のままなのに潤が気がつく。
「ヘヘッ…風呂入ってくるよ…歯も磨いてきます…」と鬼丸がコソコソっと風呂場に行く。
昨夜帰ってそのまま寝たのだ!
「洗濯機に全部放り込んで回して下さい!
いや、シーツと枕カバーも洗うんで待って!」と潤が寝室に飛び込んだ。
夜に飲む機会が増えると汚部屋への近道になる!
盲点だった!ヤバい!
潤は不覚を反省した。
「ハア〜ッ、なんかストレス溜まるなぁ〜」白蘭は不調に悩まされていた。
自分に人を操れるのでは?と思っていた日々はエキセントリックだった!
恋人の自殺から母の運転手、ママの店に来た人が次々と自殺した。
いつも自分の周りには死霊が徘徊してる。
それが心の平穏だった。
今は…ただの若手経営者に成り下がってしまった。
姉の夢の構想もアッと言う間に軌道に乗った。
車椅子やベビーカーでも快適なフードコートのような居酒屋もフードロス対策も順調だ。
最初こそスロープの上がり下がりで介助者の文句が出たが、上がり下がりを手伝うと3回で飲み放題が半額になるので、セッセと飲む前に手伝う人が増えた。
車椅子やベビーカーの人のケータリングを自分の分と一緒に運ぶと1回100円ポイントつくので3回運べばポテトか枝豆代が浮く。積極的に子供達がお手伝いをする。
取材申し込みがわんさか来るが、うやむやに済ますのも成功してる。
表沙汰になると絶対足引っ張る奴が現れるのだ。
やりたい事や成功したい事は、絶対隠密でやるのが良い。
「ダメだ!良いことしかしてない!メンタルのバランスが悪い。」
母のように反社と繋がりたくもない!
が、人の笑顔ばっかり提供してる自分も許せない!
何より良くない気が快適なのだ。
死霊に取り憑かれてるくらいが快適なのだ。
ビシネスチャンスは、その禍々しい気配の中にこそあるのだ。
赤いバーの辺りに黒雲のように禍々しい気配があるのが、このビルからでも見える。
が、近付けないのだ。
「あそこら辺で死人が出るんだ!
ア〜ッ!関わりたい!」とその時ふと良いアイディアが浮かんだ。




