ボディーガード
「エッ、私が死んで得する人?」鬼丸の質問にオーナーが驚く。
「エーッ、いや〜ッ!守ってよ〜」と鬼丸に抱きつく。鬼丸も180あるしデカいが、多分オーナーの方がデカい。
「いやいや、オーナーなら大丈夫ですよ!コラッ!離して!」鬼丸は好き嫌い少ないと潤は思ってたが、さすがに男はダメなようだ。
「オーナーはプロレス同好会もやってるんですから!
自分の身くらい守れるでしょ?
もう、本当に怖がりなんだから!」慣れてるようで長谷部くんがオーナーを引っ剥がす。
「確か妹さん居ましたよね?」と鬼丸が聞く。
「でも、あの子沖縄なのよね〜沖縄で居酒屋繁盛してるみたいで忙しいのよ。子供も5人も居るし。」
妹さんも沖縄で手広く居酒屋経営してるそうだ。
なので、東京の不動産には興味が無いらしい。
「まあ、私が死んだら1人くらい東京で店やりたい子が居てくれたら助かるけど…」オーナーは悩む。
「そうかあ〜甥っ子姪っ子が5人も居て、実家が居酒屋なら安心ですよね。
じゃあ、やっぱりオーナーに恨みがあるのか?」鬼丸が首をかしげる。
「でもオーナーはこの人柄だし、誰ともトラブったの見たことないですね〜」おつまみの準備やビールサーバーのメンテしながら調理の希美ちゃんが弁明する。
ママもだが、包容力ある人がリーダーだと安定した経営ができるんだなあ〜と潤は思う。
「そうねえ〜昔からケンカきらいだし。
特に口で言い争うのは苦手。なら、拳と拳で決める方が好き。」ガッテムボーズを決める。
絶対こんな人狙われないと思うが…
メモの文書をもう一度携帯で確認する。
「恨みと言うかあ〜この店が邪魔みたいな文言だよね。」鬼丸は悩む。
「あっ、前に消防署の人には注意されたわ。ちゃんと消防法は守ってるのよ、換気もしてるし。
でもね〜火の取り扱い自体が危ないからって!
だから、うちは居酒屋じゃなくてバーにしてるのよ。
本格的な料理はしないで、希美ちゃんが家で作ったのを出してるし。ねえ〜?」希美ちゃんもうなづく。
「基本、火は使わないでお酒とツマミを出すだけにしてます。温め直すくらいで。」
「僕らワールドダイニングのオペレーションがイヤで卓球バーの空気感が好きで働いてるので、
ココを畳め!って言われるのは本当に困るんです!」長谷部くんがカクテル作りながらゴチる。
「ワールドダイニングで働いてたの?」潤が聞く。
「はい、調理師学校出てすぐに正社員で入って系列店を転々としてました。
給料も良かったし。でも作り手とお客さんのコミュニケーションを極限まで減らすやり方だから、
だんだん見失うんですよね。なんで店やりたかったのか?とか…」長谷部くんと希美ちゃんは目を合わす。
確かに!卓球バーもママのバーも客と提供する側の距離が近い!
何なら客は、ママやオーナーと話したくて来てる!
ママなんか料理嫌いだから、要さんにオツマミ作らせてる!
酒だって原価考えたら、家で飲んだ方が良い!
ココは家とは違う空間を提供してるのだ!
「そうかあ〜そういうのも大事ですよね〜」鬼丸が頭をかく。




