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町中華

その店は有名らしくオープンの6時にもう並んでた。

閉まるのが9時なのだ。昼の1時間と夜の3時間しか営業してない。

中目黒でもオシャレな店がもっと深夜まで営業してるのに!

「おばちゃん、ビール貰うよ!」鬼丸が店の人に一声かけて自ら出してきた。

コップも持ってきた自分で。

「ココはなんでもセルフなんだよ。会計も自分で計算しないと。お釣り出すと叱られるからね〜」鬼丸が笑う。

確かに美味しいけど…別に有りそうな味だ。

「潤さん、ココら辺詳しいのに店はあんまり知らないよね。」鬼丸がチャーハン食べながらビール飲んでる。

「夕方出るのが面倒なんですよね〜だったらテイクアウトで何か買ってくるか自炊でいいやあ〜ってタイプなんで。」鬼丸にはヲタ女の出不精は理解出来ないかと思うが一応説明する。

夜になると余計石碑は見えなくなる。周りの飲食店や照明にかき消されて。

反対にマンションは煌々(こうこう)と輝きだす。

「昼間拝んでないから、もう一回行きませんか?」鬼丸に頼まれて食後もう一度石碑へ。

鬼丸も拝んでから、ちょうど向かいのマンションを見る。

次々と人が帰宅してる。中に吸い込まれていく。

「なんで管理人だけなんでしょうね?普通は寝泊まりしてる住人の方がなりそうなもんなのに。」鬼丸が不思議がる。

「私に質問されても〜分かりませんよ。霊の方は専門外です。」結局寒空に2人でずっとマンションを見てただけだった。

「写真数枚をお願いします。それで帰りましょう。」鬼丸に言われて何枚かフラッシュで撮影して、その日は終わった。

「これで良かったんですか?」カメラを渡しながら鬼丸に聞く。

「う〜ん、相手が人間じゃなくても意志や意図持つものなら、アプローチしてくると思うんですよ。しばらくマンションを張りましょう。」鬼丸がまたカメラの写真を確認しながら話す。何とも言えず遅々とした仕事っぷりだ。

黒猫みたいな直感力や敏捷さもない。

副署長も鬼丸も愛すべき愛らしさはあるが、ヲタ魂を揺さぶる圧倒的な能力者ではない。マンガ脳なので無敵な圧倒的パワーとか憧れるのだ。

あそこまで部屋が汚いと客とどう話すのか心配だったが、今はネットで証拠写真やデーター送れるし頼む人間も滅多に会いたがらないらしい。

送金もネットバンクで済むし。

今回はもうオーナーが入金済ませてくれたらしい。

「潤さんの話で今回の連続自殺、腑に落ちたそうですよ。買う前のリサーチが足りなかったと反省されてました。

後は僕ら元警察が納得できる何かを探しましょう。」と鬼丸はニヤニヤしてる。

「どうしたんですか?」目黒川沿いの並んだビル同士なので先にマンションに入ろうとする潤は気になって聞く。

「潤さんは見える人なんだなと思って。」鬼丸がニヤついてる。

「違いますよ!中目黒が今好きだから色々調べてしまうんです。歴史や謂れ、各マンションの用途に間取りに構造築年数とか。」ヲタ的には当たり前な気がするが。

人間もそうだ。黒猫の事なら多分上司より知ってる。母親が仙台で有名な結婚詐欺師で彼がそれに反発して警官になったのを。

ヘリコプター、大型免許、船舶、潜水と陸海空のあらゆる乗り物を乗りこなせる事。

歩く時はモデル歩きだと気付かず一直線上を歩く癖とか。必ず後ろの足先とカカトが一直線なのだ。

そうまるで猫のように。

奥さんとの馴れ初めも知ってる。彼女が捜一に引き抜かれそうになって食ったのだ。日頃は悪食なのだが彼女には結婚まで持ち込まれた。

ありとあらゆる手段で調べ上げた。

「いやいや、霊媒師より怖いですよ。その何でも知ろうとする貪欲さと見せてくるビジョンが恐怖です。」鬼丸がまたニヤッ笑う。

鬼丸は全く調べたくならないが、この変な笑い方は気になる。本部食堂でもいつも見られてた気がしたが。

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