霊現象
「いや〜もうね!そっちは平気なのよ!どっちかと言うと好きなんだよね〜霊体験!」卓球バーのオーナーはちょっとほろ酔いながら話す。
「今までも、この締めの時間に明かり消した卓球台で勝手に玉がハネたりね。ずっと端の席で帰らないカップルに声掛けしたら、そんな2人は元々居なかったとか…そんなのはいっぱいあったのよ!」
潤はこの心霊通路の奥の卓球バーが心配だったが、霊と楽しむオーナーさんみたいだ。
「本当に怖いのは人間なのよ!これは、人間が生きた人間が書いてわざわざ置いていったから怖いのよ!」とクシャクシャのメモを広げて見せた。
「警察は客の悪ふざけだろうと相手してくれないのよ〜言っちゃ何だが、ウチはそんなレベル低い客居ないのよ!」悔しそうにテーブルを叩いた。
「この紙は、ノートの切れ端破いてますね。
う〜ん、特徴ない紙だなあ〜ペンも黒のボールペンだし。そして字は定規で引いてる。クセが分からないようにしてる。嫌な予告だ。
今まで何人触りましたか?」鬼丸は手袋をして袋詰めしてファイリングする。
「最初に気付いた店員の長谷部くん、調理の希美ちゃんと僕と後は警官だね、交番の。」潤はメモして顔写真を断って撮らせて貰った。
「閉店だから卓球台のライト消そうとして気付いたんです。最初はゴミかなと思って捨てようとしたんですが、余りにキチッと折られてて大事なメモかも?と広げたら、オーナーを名指しで店畳まないと殺すぞ!って」長谷部くんが話す。
「結構入れ替わり激しい中目黒で、このお店は長いんですよ〜ビリヤード台置いたプールバーじゃなくて卓球台ってのが面白いと。」希美ちゃんもうなづく。
2人は同棲してて、いずれは自分達の店を持ちたいとここで働いている20代カップルだ。
オーナーはこの店以外に数軒こういうコンセプトバーをやってる。
若い時はママのバーで修行もしてたらしい。
その縁で探偵事務所へ依頼してきたのだ。
「わざわざメモ預かって鑑識いないじゃないですか?
どうするんですか?」潤が聞く。
「あれ?知らない?指紋採取キットのプロ用売ってますよ、普通に。
それにうちには専門家居るじゃないですか?」鬼丸がニタッとする。
「じゃ、よろしくね♪」翌日ランチで要さんに指紋キットとメモを渡す。
「…仕方ない。協力するよ。でも、このキットは要らない。俺がちゃんと揃えるから。市販で材料揃えるから。」とメモだけ受け取る。
ママが舐めてたニコチン飴が1玉50円で山積みされてる。
「バーのお客さんが禁煙対策で欲しい人多くてね。販売する事にしたよ。」要がメガネをクイッとして口の端で笑う。
「煙が出ないから、周りに迷惑掛けないでニコチンだけ摂取できるのが良いのかもなあ〜」鬼丸が苦笑する。




