心変わり
「いらっしゃ〜い。あれ?今日は遅いね?」要がもう店を閉めようとした午後3時に鬼丸と潤が来た。
「ゴメンね〜もう客居ないのに。」と2人で遠慮しながら座る。寒いし人が居ないので、潤が勝手に扉も窓も閉めた。鬼丸に目配せすると、要に向かって話し出す。
「せっかくサンシャイン水族館行ったのに災難だったね。」と鬼丸が話し掛ける。
「そうなんだよ〜サンシャインの中、大混乱なってママとはぐれちゃうしさあ〜」と言いながらカレーを運んでくれた。
「俺がここ通いだして〜長いじゃん。3年前にバーだけの時から知ってるし。
で要さんがバーのママに気に入られてハマって〜会社辞めたのも知ってるし。」と一気に話す。
「…そだね」要が口少なくうなづく。
「昼カレーがメジャーになって、他にも夜の飲み屋が次々要さんのカレー仲間の店になって、ここらがメッカになったんだね。」とその歴史を話す。
「で突然2年前にアイツが現れた。」鬼丸が探るように話す。
「でも最初は何か嬉しそうだったよね?」鬼丸がニヤッと聞く。潤は意味が分からずポカンとしてる。
「どうせ行きずりだと思ったんだ。だからネトラレって感じで興奮したかな…」なんか…スゴい癖な話しを2人でしてる…潤が居るのに!
「だが、長過ぎた!いつまで経っても出ていかない!」とドン!とカウンターを要が叩いた。
「ママもどっちがメインか分からないくらい帰ってこなくなってさあ〜」と言いながら要が爪を噛む。
「だから出て行ってくれて万々歳だったんだよね?」鬼丸がまたニヤッと要に微笑む。
「そうそう!やっと出て行ってくれて清々したよ!」要が腕を組んでうなづく。
「…なのに、なんでママをわざと白蘭に会わせたの?
」鬼丸が無表情に要を見る。
「…」要が目を見開いて鬼丸を見る。
「それと、どうやって白蘭の動向を探れたの?
俺だって掴めなかったのに?」鬼丸がひたっと要の顔を見る。
これは刑事の習性だ。
この時、目を離す人間は偽証してる可能性が高くなる。要は目を閉じた。観念したのだろう。
「シェフだよ。ボランティア参加するシェフがウチでランチしてる時に話してるの聞いたんだよ。」要が白状した。
「て事は、白蘭がワールドダイニングの社長だと前から知ってたの?」鬼丸が畳み掛ける。
「住んで1年目に後をつけた。アイツがたまにふらっと出掛けるから。」要が観念する。
目黒川沿い歩いて10分くらいだ。そりゃ…バレるか。
「夜中なのに警備員に話しかけて顔パスで入っていってた。そんなのできるの社長だけだろ?」要から聞けば、そりゃバレるわって話しだった。
「また朝になったら戻って来たりしてた。ママはそんなの目くじら立てないし、自由になんでもさせてくれる人だし。」要が話す。
そうママは器が海みたいに広い。要が会社辞めて入り浸ろうが、白蘭がフラフラしてても何にも聞かないし探らない人なのだ。
「分かったよ。ゴメン、話したくない事話させて。」鬼丸が頭を下げる。
「ママさあ〜白蘭が居なくなったのは僕のせいみたいに言うから、直接アイツからもうママは必要ないんだと言わせないとね。
白蘭から、ハッキリ今狙ってる女が他に居るって言われてショック受けてたけど…僕的には良かったよ。」となぜか潤の顔を一瞥した。




