サイコパス
少し寝て目が覚めたら、もう夜だった。
「1日中寝てたのかあ〜」とビックリする。何だか池袋の事件が夢の中みたいな気持ちになるのでテレビをつけたが、やはり現実だった。
西郷山みたいに未然に防げなかった事で、罪悪感が起こる。
薬を飲んで寝たので悪寒は何とか越えた。が、まだフラフラする。
「とにかく少し食べてまた薬飲んで寝よう!」とキッチンに行くと、インターホンがなる。
『鬼丸かな?』深く考えずに「はい」と返事して開けてしまった。
白蘭だった。
ヤバいと思って閉めようとしてが、足で扉が閉めれないようにされてた。
「寝てました?」ボサボサ髪の潤を見て白蘭が無表情に聞く。
「なんで、ココが分かったんですか?」潤がにらむと白蘭が苦笑する。
「とっくに知ってますよ。そう、アナタが引っ越してきて探偵事務所に勤めだしてマンション管理人の連続自殺に顔ツッコんだ時からね。」かなり前から知られていたようだ。
「で、何ですか?始末しに来たんですか?」白蘭の手元にそれらしいモノは無いが警戒する。
「フン!今日、何もしないで寝てたようなボンクラ探偵なんか恐るに足りませんよ。
何してたんですか!」なぜか犯人に叱られる。
「体調悪いんですよ!仕方ないでしょ!」と開き直るしかない。
「人が亡くなってるんですよ!ちゃんと仕事しなさい!」なぜか白蘭に叱られる。
「刺された人達、助からなかったんですね…」寝てたので詳しく知らなかった。
「私に何の用ですか?本当に体調悪いんで寝かせて下さい!」突き飛ばして扉を閉めようとしたが腕を掴まれた。
「今日、ママが現れたんですよ。あんた達の差し金じゃないんですか?」白蘭に掴まれた手を振りほどけない。意外に優男なのに腕に力がある。
「ママが?ああ〜確か水族館行くとか話してましたね。要さんが。」カレーを食べた時はそんな話しをしていた。今日だったとは知らなかった。
「要さん?彼には会ってないな…炊き出ししてたら急にママに声を掛けられて驚きました。
絶対アンタ達がチクッたんだと思ったのに…」白蘭が思い悩む。
「知りませんよ!悪党にチクッたとか咎められる筋合いは無いです!このサイコパス!」と言って白蘭を突き飛ばそうとしたが、両手を掴まれてしまった。
本当に腕っぷしが思った以上に強い。
「サイコパスとはひどいなあ〜
これでもフードロスや慈善団体へサポートとか熱心にやってるんですよ?」白蘭が潤に罵られて嬉しそうだ。
部屋の奥をチラッと見る。
「彼は来てないんですね。思ったより可愛い部屋ですね。大人の女性の部屋にしては?」しげしげと潤の部屋を眺めている。
「あっ、やっぱりホラー漫画大全置いてますね〜
姉も持ってましたよ、それ!」と言いながら潤の部屋に勝手に入る。
「ちょっと!勝手に入んないで!」身体が本調子じゃないのでダルい。
「姉も見かけに寄らずにファンシーな部屋でね〜
実用重視なクセにぬいぐるみがベットまで溢れてました。」と言いながら漫画本片手に勝手にベッドに腰掛けてる。
「もう!本当にいい加減にして!出て行ってよ!」身体がダルいが玄関の大事なアリスの時計ウサギを投げた。軽々と避けて楽しそうに漫画本を漁ってる。
「楳図さんはあるのに伊藤潤二さんの本は無いんですね〜好きそうなのに?」と笑う。
「妹が同期の漫画家だったのよ!ホラー誌で!
だから私が読むと機嫌が悪くなるの!」しんどくなってキッチンの椅子に座る。
「エッ、そうだったんですか?今はどうされてるんですか?」白蘭が面白そうに聞く。
「とっくに関西の田舎で結婚して子育てしてるわ。
漫画家って大変なのよ。特にホラーは描き込み命だから!」と話しながら、薬が切れたのかまた悪寒が戻ってきた。
「潤さんと話してるの楽しいなあ〜本当に具合悪そうなんで帰りますね〜じゃあ、また〜」とやっと出て行ってくれた。
「クソーッ!本当にサイコパス!」潤はまたベッドに倒れた。




