強制撤去
鬼丸の寝室に入った運送屋さん2人はしばし絶句したが、観念して扉横に新しいベッドを組み立てセットしてくれた。
「引き取り希望でしたね…」と書類を見直す。
申し訳ないのでマスクを差し出す。
マスクをしてゴミに埋まったベッドを引っ張り出して
担いで持って帰ってくれた。
ベッドの4本の足が変色してる…
後はベランダ前にゴミの残骸が残った。
「アレが無くなれば、やっと窓が開けられますよ。
換気できないと結局貼り直した壁紙がまたカビだらけになるし!」空気の入れ替えに仕方なく居間への扉を開け放ってるが、何かへんな白い胞子みたいなのがデスクやソファに積もるのだ。
潤としては、それを水拭きしながらダスターをセッセと捨てる生活を早く辞めたい。
ベッド奥のゴミは多分5年前のゴミなので異臭を放ってる。が約束は約束だ。
居間の扉は開けっ放しでベッドまで専用スリッパで行きリネン類と掛け布団も運んだ。
後ろから付いてきてた鬼丸がドドッと覆いかぶさってくる。
「居間の窓あいてるんで声出しませんよ。枕 咥えます!」と先に言う。
「どうせ川ですよ?」と鬼丸が言うが、川向うの会社に今日も明かりが点ってる。まだ働いてる人が居るのだ。
舌が入ってきて忙しなく舌を吸われる。
「声が出そうになったら口でふさぐんで大丈夫です!」鬼丸がポイポイと脱いだ物を床に落とす。
「私の服は、こっちに下さい!全部枕の下に入れますから〜っ!」と言うので精一杯だった。
川の流れる音と1階の隠れ家レストランのニンニク臭と川向うの1階の焼き鳥屋のざわめきとその隣のジンギスカンの臭いと…真冬の冷気の中で抱き合った。
翌日、鬼丸の精神はすこぶる安定した。
昔は親同士が決めて祝言まで出来なくても、必ず抱ける保証があった。
しかし現代では、その保証はない。なので男性は、致すまで長年付き合った彼女でも油断できないのだ。
彼女に嫌われたくないので強要もできない。
その期間が長くなると目に見えて男性の精神は危うくなる。
とは言っても、女性も妊娠と言うリスクを背負う性なので申し訳ないが、彼の愛情の深さや責任感など査定しなくてはいけない項目は2年は最低掛けたいくらい有る!
結構アッサリ寝て、うまく行った試しは無い!
大博打は宝くじ並みに当たらない!
更年期障害間際まで結婚しなかったからこそ、もう良いかぁ〜と解脱できたのだと思う。
若くでこの荒波に揉まれて生きた女性達は、それは一言で表せないほど辛いことがあったのだ。
身体やメンタルに。
白蘭の秘書は程なく辞表を出し退職した。
田舎で見合いをするのだと言い残して。




