ラブホ街
「渋谷だと思ってましたよ〜なんでわざわざ池袋なの?」夜に出歩くのが嫌いなヲタクなのでぶつくさ言う潤。
「仕方ないでしょ!付き合ってる子がコンカフェ狂いでおじさんいや、旦那さんは貢ぎに来てと呼ばれたらしいよ。」ツインテールのゴシック風だが厚底ブーツでミニの子が執事スタイルの若い男にまとわりついてる。
と言っても、ココは酒も出す普通にホストクラブみたいなもんだ。まあ、届け出と違う違法店だ。
2025年の風営法改正逃れ店だ。
「ドンペリ後で入れるから!待っててね〜」とツインテールが店を後にする。
繁華街のサンシャイン通りに出てまた路地を曲がっていく。
「パパありがとう〜ミサミサが呼んだらすぐ来てくれるから大好き〜」とハゲたオヤジに抱きつく。
上げ底だから女の子の方がデカい!
いかにも真面目そうなおじさんが鼻の下を伸ばしてる。
鬼丸の友人の離婚専門弁護士は、このおじさんの奥様からの依頼だ。もうすぐ定年退職なので退職金をゴソッと取るため探偵を奮発したようだ。
「家のローンが40代で終わってるらしいから、退職金は丸々入るらしい。浮気がハッキリすれば退職金の差し押さえが可能なんだよ。」鬼丸が説明する。「この旦那さんはとにかく若い子好きらしくて、そういう倶楽部の会員なんだ。
でもこの子は野良らしいから、不倫認定できる。
その倶楽部も未成年使ってるようで怪しいし、上手くいけば7割取れる。年金分割も50%の交渉が成立する。」鬼丸が慣れてるらしく激しくシャッターを切る。
「潤さんも連写慣れといてね。
数撮らないとベストショットは撮れないよ!
慣れたら1人で撮影とか任すし。」カメラを持たされるのは良いのだが…後ろからハグされる形なのは…おかしくないか?
2人がラブホに入ってしまうと背中を押される。
「さっ、俺らも入るよ。横の部屋を押さえたいから。」と言われたが入り口の前で踏ん張る。
「ダメですよ。相手に顔バレはいけませんよ。
それより、ここで待ち伏せしましょう。
横の部屋で盗聴だと法廷で証拠として提出できません!」潤を口先で撹乱しょうなどと鬼丸には10年早かった。
探偵のイロハは分からないが、ホテル入る必要は絶対ない!
ラブホの明かりの中で格闘が始まる。
「念には念ですよ。気持ち悪くなって横になりに入ったなんて言う言い訳は、男は皆しますからね!
法廷に出せなくても自白を取るためです!」
鬼丸もグイグイ押す。
そう、部屋は片付かないがラブホなら大丈夫だ。
身体は潤が納得するまで洗浄してもらおうと目論んでるのだ。
潤としては、気持ちの問題だ。
部屋を片付けると言う簡単な事すら守ってくれない奴にイヤだ!
昔はダメンズにニコニコと何でも許してたが、それが1度も良い結果に繋がった事がない!
鬼丸は可愛いが、可愛いからこそ!猫の飼育でもおトイレのしつけと引っ掻く噛むは☓だけは始めにちゃんと仕込まないとダメだ!
「変な場所でなんでモンゴル相撲やってるんですか?」意外な声がした。
スーツを着た白蘭だ。他にもスーツのおじさん数人と一緒だ。
「社長、お知り合いですか?」年配のリーマンが白蘭に伺う。
「う〜ん、まあ、そうだよ。探偵さんなんだよ。
でも、なんでココで取り組みしてるの?」白蘭が悪ガキみたいな顔で近付いてくる。
「ジャマばっかりするんだよね〜でも、僕は止められないよ。」周りに聞こえない小さな声で2人に呟く。
「お姉さんが知ったら、絶対悲しむわ!やめて!」潤が思わず叫ぶ。
瞬間、白蘭の顔が少し歪む。
「残念。姉はもう亡くなってるよ。殺されたんだ。」と手を振って去っていった。




