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中目黒ゴースト  作者: たま


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24/94

心中

「残念でしたね〜シェフ」白蘭は広瀬シェフをなぐさめる。

「代々木の店で食べた時は感動したんですよ。」と訴えるが白蘭は書類を渡す。

「あそこは、電車が止まっても店を開けれるように若手スタッフのための寮ですから。

店に出てこない人は出て行って貰うしか無いんですよ。すみません。」広瀬シェフは紙を見つめる。

「我々みたいな飲食業では、奥様は馬車の両輪の片方みたいな物です。けっして蔑ろにしてはいけまけん。

貴方レベルになれば…関係ないでしょうが。

そこがいい加減な人は、仕事でもいつかポカします。

独身若輩者の私が言うのも何ですが。

父も前の奥様と一緒にこの会社を大きくしました。

後妻の母の時代は株価も下がるばかり反社との関係も噂になってました。

良妻あっての我々なんですよ。」白蘭は、言い含めるように広瀬シェフの肩を叩いた。

「今日の午前中に出て行って貰って下さい。」


「なんで、このアパート撮影したんですか?」鬼丸が潤に聞く。

「ああ、菅刈公園の上の西郷山公園まで周辺の撮影してたんですよ。そしたら、そのアパートから夕陽をボーッと見てたアラフォー男性がいて、何か気になったので。」と説明する。

鬼丸はアパートの入り口の小さな表札を拡大する。

「ワールドダイニング独身寮と書かれてますね〜

確か飲食店を多数やってる会社ですよね?」鬼丸が首をひねる。

「あれ?どこかでその社名見たなあ〜最近ですよ。

どこだっけ?」腕を組んで鬼丸が悩む。

「そうなんだ〜撮影してて気づきませんでした。

て事は、あの人シェフなのかな?

って、夕方なんて飲食店が1番忙しい時間じゃないですか!」潤が気づく。

「そうですね。きっと、その人サボってたんでしょ。

何か理由あって、もう店行きたくないんですよ。」と言ってから鬼丸はハッと目を見開く。時計を見た。

「菅刈公園行きましょう。11時は赤ちゃんや子供が公園にあふれます。日光浴の時間なんです。」サッと玄関に走る。走れば10分でいける。

「私はチャリで追います!先に行って下さい!」潤は一旦自分のマンションへ走る。

桜並木を走る鬼丸にチャリの潤が追いつく。

「なんで走らなきゃいけないんですか?」潤がやっと聞く。

「取り越し苦労であって欲しいんですが、白蘭が菅刈公園を観察出来るようにしてたのは、公園の人の動きを見たかったからだと思います。

どの時間にどんな人間が来るのか?」息がだんだん上がってる。

「そこで最も簡単に殺せるのが、子供達と女性なんですよ。普通は女性も逃げるんですが、子供がいると身動きが取れない。

町中でワザとベビーカーの女性に因縁つけるおじさんは分かっててやってるです。本能的に。」潤がチャリから降りて鬼丸に渡す。

鬼丸がハンドルを握ると後ろに飛び乗った。

「料理人は日頃はさすがに包丁持ってませんが、引っ越しとかの時は必ずマイ包丁セットを携帯してます。

独身寮にアラフォーは変ですよ。

普通に働けてれば、とっくに寮出てます!」鬼丸の話を聞いてるとヤバい気配しかない!

「ハズレててくれればラッキーです!とにかく子供達が多い時間だけ張りましょう!」2人は菅刈公園へ走る。


「はあ〜俺はどうしたら良いんだ?」鈴木宗雄は独身寮を追い出されて大きめショルダーバッグを抱えて西郷山公園のベンチでため息をつく。

10代から可愛い彼女がいて楽しい人生だった。

料理が得意で調理師学校でも先生に良く褒められた。

彼女は生粋の東京娘で垢抜けて都会的なのに古風で俺を立ててくれる娘だった。

皆に祝福されて結婚式は、この代官山のチャペルだった!

ふと遠くに見える教会の尖塔が涙でボヤける。

俺の夢を知ってた彼女が父親に頼んで出資してくれたのだ。食べて貰ったら舌の肥えたあちらの家族も満足してくれた。

「俺の人生のピークだったよな…」公園には誰もいない。

男泣きに泣く。

「いい大人が声出して泣くのは奥さんか子供が亡くなった時だけですよ、許されるのは。」声がした。ベールをかぶった怪しい男だ。

「なんだよ〜お前!気色悪い格好だな〜」涙を大急ぎで拭いて声を荒げて虚勢を張る。

「代官山の占い師ですよ。良ければ、タダで占いますよ?」と男の手を取った。

「いいよ〜どうせ俺なんて!」手を引っ込めようとしたが、怪しい占い師に止められる。

「寂しいんでしょ?奥さんと子供に会いに行きませんか?一緒に遠い世界へ行くんですよ。そこで家族みんなで幸せになるんです。」と言いながら男の手をカバンの上に置いた。

「家族と一緒に…妻と子供と…幸せに…」と言いながら男は大きめショルダーバッグの中を探る。

大きめの絵巻物みたいな革製の物を取り出す。

そこには牛刀から菜切り包丁に飾り包丁まで並んでいた。そこから肉切り包丁を取り出す。

「家族で…一緒に…幸せになるんだ。」そう言いながら公園を出て人気のない道を下って行った。

実は西郷山公園から菅刈公園の裏口へすぐ行ける。木が鬱蒼として人気ないこの森を抜けると保育園児や親子連れが遊ぶ芝生広場だ。

午前11時過ぎ、子供達が元気よく走り回りベビーカーを押す母親達が談笑している。

保育士が子供達に声掛けしてる。

鈴木宗雄は、ブツブツと言いながら進む。

急にひらけると子供が、我が子が沢山いる!

奥さんも垢抜けた東京娘な奥さんがいっぱい居る!

「なんだあ〜こんな近くにお前ら居たのか。

俺が迎えに来るの待ってたんだな。

ゴメンよ、遅れて…」




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