信仰
「ひどいなあ〜人に毒とか」鬼丸が苦笑する。
だが、潤は言われて気付いた。
鬼丸が変になったのは白蘭に占われた後だ。
何か変なものが入ってくる感じがした。潤はヲタなので拒絶してしまったが。
ヲタは中身が充実して人生に満足してる。
誰かにそれを侵される方が不愉快なのだ。
つまり宗教をすでに持っている人間なのだ。確固たる信仰の世界で生きてるので異分子に厳しい。
占われたい人は、今に満足してない。
新しい何かを期待してる人だ。出会いであり物事であり。
だから、あの入り込もうとする物を受け入れてしまうのだ。結果、潜在してた願望が行動に出てしまった。
「いえ…もしかしたら、自殺した人達はあのバーで占って貰ったのかもしれませんよ。
願望を実行してしまっただけかも?」潤が足を止めて鬼丸の顔を見る。
鬼丸が携帯で管理人の退勤時間を確認する。9時だ。
「バーは夜7時から深夜2時くらいまでだから、駅前出るのに毎晩通るね。カレーで昼間寄ってる店だし、たまには1杯飲むか!
特にあのガキ共とゴミ出しで揉めたりしたら…」鬼丸は話が聞けたがゴミ出しの注意でうるさかったらしい。管理人なんか要らないと住人は言ってた。賃貸契約の時に24時間サポート契約をする事が今は多い。
不動産屋が付けるのだ。
それで室内のトラブルは対応してもらうので管理人要らないらしい。
「人生重ねて得たと思ってた物が、何の役にも立たないんだもんね〜若者相手だと。
そりゃ占いにも頼りたくなるか?」潤もうなづく。
鬼丸は思い出したのか?赤面する。
「占いで相性良いとか言われたら、潤さんの気持ちも傾くかな?
今夜イケるかも…って確かに思ってた…です。」目線を逸らして鬼丸が吐く。
「う〜ん、まず鬼丸さんの寝室は無理です。
ゴキブリが扉の下から出てくるの私見ました!あの部屋では無理です!」潤がキッパリと言う。
鬼丸がポカーンとしてる。
『なんだ?何か、変なこと言ったか?』潤は自問する。
「えーと、それは部屋が綺麗であれば良いと言う事ですか?」鬼丸がたずねる。
「ハッ、そう取れますね!わあ~、ヤバい!
あ〜でも、あのコインランドリーの中で1時間くらい洗浄できたら大丈夫です!可能です!」潤と鬼丸の会話が噛み合ってないが、2人なりに成立した。
「俺はこの世で1番衛生的な男になりますよ!見てて下さい!」鬼丸が胸を張る。
「その前に寝室からゴキブリを追い出して下さい。
デスクやソファやキッチンにも絶対来るから!」会話が平行線のまま終わった。




