異変
「えっ、帰りにマンションまた様子見しょうと言ってませんでしたか?」鬼丸がなぜか地下トンネル横の階段を登らず、まっすぐ自宅への道を進む。
「良いんだよ。」とぶっきらぼうに言ってドンドン前を歩く。ちょうど路地に入り目黒川の方へ出ようとした瞬間、腕を掴まれ抱き寄せられた。
「エッ?なんで?」潤は驚く。
鬼丸とは雇わてる従業員の間柄だ。
けっして、そんな関係じゃない!
「どうしたんですか?大丈夫ですか?」と口では心配しながらも足の裏で思いっきり太もも辺りを押し返す。両腕で肩をホールドされて顔が近い!
この人、キスする気じゃ…悪い予感が本当になりそうで両手で顔を覆った。
「鬼丸さん!しっかりしてください!酔いすぎですよ!鬼丸さん!」ととにかく名前を大声で連呼する。
それでも構わず手をはがしてキスしょうとするので、仕方がない!
股間を思いっきり蹴り上げた。
ギャアッッッ!!!
思わず鬼丸がしゃがんだ。そして股間を抑えながら倒れた。
しばらく声も出せないみたいでグッタリと倒れたままだった。
仕方がなかった。もし将来子供が出来にくくて奥さんが困ってたら謝ろう…土下座しょう。
「…今、俺なんか失礼な事しましたよね?」鬼丸がやっと声を振り絞る。聞いた話だが、痛すぎて呼吸しづらいとか聞いたような…
「はい、キスしょうとしました。」潤が済まなそうに言う。
「あ〜俺のバカ〜ッテイテテテ…なんで?」股間を抑えたままもんどりを打つ。
「言い訳だけど、そんなつもり無かったんです。
でも、何だか急にイケるはず!って確信が湧いてきて
止まらなくなってしまって…」とメンタルのダメージのせいか道に寝転がったまま凹んでた。
やっといつもの鬼丸だ。
「いいんですよ。私も腰に手を回した所でキチッとお断りしなかったのがイケなかったと思います。
2万も払ってるからビビっちゃって。
鬼丸さんの事、好きですよ。
だから、ちゃんと歩み寄りたいです。」と手を引いて起こした。
いつまでも道端に寝てたら変な人になるし。
「マンションは明日日曜日なんで昼間誰か話聞けないか張りませんか?学生や社会人の独り身の人が多いから会えるかもしれませんし。
それと管理人さんのタイムスケジュールをオーナーさんから送って貰って下さい。
住人と動きが違うかもしれません。」本当に仕事は公務員時代と変わらない。
でも自由に動けるだけ楽しいかもしれない。
ヲタ活のためにも仕事は楽しくやりたい!
そう思うと鼻歌が出てきた。
「あの…もう大丈夫なんで手を離して貰えますか?」と鬼丸に言われてずっと手を繋いで歩いてた事に気付く。
「ワアアア〜ッ!いやだ!セクハラ女みたい!
すみません!!」と大急ぎで手を離した。




