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過程

 フードコートのたこ焼き屋の前に、紳士が立っていた。

 紳士は両手で自らの目を隠している。

 私は心配になり声を掛けた。

「大丈夫ですか?」

「ええ、紳士たるもの、たこ焼きになる過程を見てはならぬのです」


 たこ焼き屋は、ガラスの向こう側で手際よく生地を敷いたり、ひっくり返したりしている。


「どういう事でしょう?」

「あなたも床屋の窓際の席で、髪が短くなる過程を通行人に見られたら、どうでしょう?」

「…少し恥ずかしいですね」

「そうでしょう。何事も過程は恥なのです。そして、それはたこ焼きとて同じ事。だから、過程を見てはならぬのです」


 その時、後ろから楽しげな学生の声が聞こえた。

「思春期を見てはなりませぬ」

「はい?」

「あれは子どもから大人になる過程なのです。あなたの思春期は、どうだったでしょう?」

「…確かに、思春期の頃は何かにつけて恥ずかしかったですね」


 紳士は私の返事を聞きもせず、指の隙間からじっと思春期を見ていた。

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