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地蔵
郵政土着化の一環として、全国の郵便ポストの上に地蔵が設置された。
それは都市化に伴い居場所を失った地蔵の再配置だった。
地蔵はポストの上から地域を見守り、お年寄りはミカンや牡丹餅を供えた。
私は家内安全を願い、通勤ルートにあるポスト地蔵に手を合わせるのが日課になっていた。
都市は土着信仰を取り戻していた。
ある夜、テレビでポスト地蔵の特集が放送された。
トゲ抜きポスト地蔵、イボ取りポスト地蔵と続いた後、私の見慣れた景色が映った。
「こちらは、恋愛成就ポスト地蔵です」
画面には、真剣な顔で手を合わせる私が映っていた。
後頭部に妻の視線を感じた。
私はあのポスト地蔵のご利益など知らなかった。
しかし、今は何を言っても言い訳に聞こえるだろう。
私はそっと目を閉じ、イビキをかいてみた。




