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びょっじぇけ
「びょっじぇけ、びょっじぇけ」
神輿が近付いて来る。
出張で来た片田舎で祭りに出くわすとは、運が良いと私は思った。
「びょっじぇけ、びょっじぇけ」
神輿を担いでいるのは、素朴な顔の男達だった。
その神輿の上では、村の花形であろう目鼻立ちのくっきりとした男が、誰よりも大きな声で「びょっじぇけ」と叫び、祭りを盛り上げていた。
「びょっじぇけ、びょっじぇけ」
私は村人と一緒に声を合わせながら、懐かしい日本の情景に魅了され、そして伝統に感動していた。
出張の帰り、駅であの祭りのチラシを見つけ、手に取った。
そこには「びょっじぇけ」の語源は「美容整形」であり、2年前に始まった祭りだと書かれていた。
私は静かにチラシを戻した。




