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床屋

 行きつけの床屋の椅子に座りケープを着けると、床屋の親父が鏡越しに言った。

「今日はどんな感じにしましょう」

「いつも通りでお願いします」

「じゃあ、悔しそうな感じでいいですね」

 そう言って、親父は得意気にハサミを動かした。

『シャカシャカシャカシャカ…』

 自分の事は自分では分からないものだ。

『シャカシャカシャカシャカ…』

 鏡には下唇を噛んでいる私が映っている。

『シャカシャカシャカシャカ…』

 明日からどんな顔をして出社すれば良いのだろうか。

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