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役所にて
仕事の申請で役所にいると、紙の焦げる匂いがした。
火事かと思い見回すと、女性職員がホットプレートで住民票の写しを焼いていた。
それはチリチリと音を立て、ゆっくりと色づいていく。
香ばしい匂いにつられた人達に、彼女は爪楊枝を刺した焼き住民票の写しの切れ端を配った。
いつしか、役所に来たついでにと、一枚取得していく人が静かに列を作っていた。
今や住民票の写しは、コンビニでも手に入る。
それでも、一生懸命な彼女を見ている内に、私も役所の住民票の写しが欲しくなっていた。
「一枚、いただこうかな」
「ありがとうございます」
「あなたは、利便性よりも役所という文化を守ろうとしてるんですよね」
そう言うと、彼女はツーッと涙を流した。
「すみません…煙がしみちゃって」
私はそっとハンカチを差し出した。
そして私は腰を掛け、たらい回しにされ続ける仕事の申請に、ゆっくりと思いを馳せた。




