電話の音が
電話の音がした。
「はい、もしもし?」
男の声が聞こえた。
『あっ、お姉さん。今、暇ですか?』
なんだろう。
暇だと答えたら、何が始まるんだろうか。ぱんつの色とか聞かれるんだろうか。
そう思いながら私が黙っていると、電話のむこうのひとは、用件を切り出してきた。
『只今ですね、博士が新発明した電波のモニターをですね、募集しているんですよ。電話越しにその電波を送ると、貴女は不老不死となります』
「結構です」
私はすぐに電話を切った。なんの詐欺だろうかと胡散臭く思ったのだ。
するとまた電話の音がした。
『先ほどは失礼しました。不老不死に興味がおありでないのなら、絶世の美女になれる電波もございます。よろしければ……』
「結構です」
プチッと電話を切った。
そんなうまい話があるものか。騙すならもっと、私よりさらに心が弱ってて、正常な判断のできなくなってるカモでも探せ。
そう思っていると、また電話の音がした。
私は電話を受けると、相手が喋るよりも先に怒鳴りつけた。
「いい加減にしてください! 警察に通報しますよ!」
電話は繋がってなかった。
足元で愛猫のマオくんが、ニャー、ニャーと鳴いていた。
着信音を猫の鳴き声にしていると、紛らわしい。