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化物  作者: 七星北斗
1/1

1.普通

 流れ星はただ通りすぎ、その瞬きは死を運ぶことになるだろう。


 この世界には、化物が住む。


 そう、私は化物だ。


 日奈都加藍(ひなとからん)は、十五歳の高校生だ。花の女子高生?ではない。陰気な性格で、クラスに馴染めず、教室の片隅の豆粒です(はい)。


 祖父の形見の日本刀を、肌身離さず持ってるヤバイ奴?大事な人の大切なものって、失くしちゃ駄目ですよね?だから持ってます。


「日奈都さん、今日のレポート出し忘れてますよ」


「ヒィッ」


「ヒィッって何!ふざけてます?」


 突然だったので、ついおかしな声が出てしまった。クラス委員長の田中冴子だ。委員長って付くだけで、陽キャみたいで怖い。

「でも、レポートなら期限まだ大丈夫だった気が」


「とっくに過ぎてますけど、それって貴女の感想ですよね?」


「ごめんなさい、明日出しますから」


「私が怒られるんです。今日中です」


 何でこんなことで、こんなに怒れるんだろ。人間って不思議だな。


「聞いてます?」


「はいっ」


 教室に残り、レポートを進める。どのくらい時間が経っただろうか?外を見ると夕日が差していた。


 静かな校舎にキュッキュッと、上履きの擦れる音が響く。だんだん音は近づき、教室の前でピタリと止まった。


 教室のドアが開き、現れたのは田中さんだった。


「まだ終わらないんですか?」


「はい、すいません」


 そういって、一歩一歩近寄ってくる。彼女から血の匂いがした。


「貴女、私のために死んでくださる?」


 彼女が背後で握っていたのは、大きなハンマーだった。


 ハンマーを振りかざし、大きな動作で下ろす。それだけ時間に余裕ができる。後ろに一歩下がって避ける。ハンマーは、教室の机をバラバラに破壊した。


「どんな力してるんだよ、メスゴリラ。」


「避けるなよ」


「痛っ」


「骨がごりっと逝っちゃいましたね♥️」


 横脇腹に痛みが走る。大きなハンマーを捨て、小さなハンマーで横から殴られたのだ。


「殺す」


「おお怖っ、殺すって。貴女に何ができるんですか?無能は死んでくださる?私って役立たずな人、どんくさい人、頭が悪い人見ると殺したくなるんです~♥️」


 竹刀袋から刀を抜く、見惚れるほど美しい刀身は、田中の驚く表情を映した。


 刀を一振り、斬られたことも気づかぬほどの切れ味。


「斬れてませんよ?」


 田中は、ハンマーを手に…そこで首がずるりと落ちた。


「ツマラナイ」


「流石でしたね」


 手を叩き、白衣の男性が教室に入ってくる。


「またあなたですか」


「私の名前は、白猫です」


「その白猫さんが、何の用ですか?」


「ちょっとしたお茶会にご招待したいなと、思いましてね。それと死体の方は、私の方で処理しときますので、ご心配なく」


「それは助かりますが、何故お茶会?」


「そこのファミレス、期間限定パフェがとても美味しそうで」


「はっ?」


 とりあえず、ついてくことにした。着いたのは、本当にファミレスだった。


 …帰ろうかな。

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