表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あいのかたち  作者: 鎚谷ひろみ
1/1

おなか減ってませんか?

すいません……また、別のお話を投稿してしまいました。 一応、短編のつもりの作品です。下ネタ多めかもです。


もしよろしければお願いいたしますm(。_。)m


『ジョー! 五歳のお誕生日おめでとう! 私たちからおもちゃのプレゼントだ……』


ギシギシッ


「なんか気持ち悪い……」


『えぇ……カブトムシ型のオモチャなんだが……だめか……名前はギィちゃん……』




『ジョー、10歳の誕生日おめでとう。お前も成長してるし、今回はオモチャなんかじゃないぞ……ロボットだ』


ガシャガシャ!


「僕……そんなんより、お金がいい」




『ジョー、15歳の誕生日おめでとう。今年は腕時計だ。高いぞ』


カチッカチッカチッ……


「いや、子供に高級時計は荷が思いよ……」




『ジョー、20歳のお誕生日おめでとう。もうお前も大人だし、スーツをプレゼントだ。あっ、あえてロボットの方がいいか……それか大人なオモチャの方がいいか……なっがーいの!』


「あの、ロボットも大人のオモチャも結構です。それと普通の親は子供に、下ネタは言わないですよ」


『いや大人のオモチャって、アダルトな考えに走る方が下ネタを意識してんだぞ。それに俺が言っているのは大人なオモチャだ』


「いや屁理屈を……それに、世間一般の考えだと普通はそれに繋がるから……」


『そんなんだから彼女できないんだ。こうなったら彼女でもプレゼントするか……』


「どんなプレゼントですか!?」




そして毎度決まって、次にお母さんがこう言うんだ……


『ご飯食べるわよ! 定番の母さん特性、山盛り唐揚げ』



20歳の誕生日……両親の最後の笑顔だった……


そう言えば、五歳の時に貰ったカブトムシの『ギィちゃん』はどこいったけ……?




朝起きて何台かの両親のスマホに残っていた……今までの私の誕生日の動画を観ている。



今日は25回目の私の誕生日。

だが、親はもういない。私の就職のタイミングで両親は海外でのテロに巻き込まれて亡くなった。


現在、特に予定という予定はない。さっき言った就職していた会社も辞めてしまったから……仕事を辞めて半年近く。

仕事は証券会社の営業だった。順風満帆だったし、周りから信頼され慕われていたと思う……

俺は『人間性』を大切にしたいと思っていた。


だが、うちの部署に入ってきた新人に仕事を教えていたらパワハラ、モラハラと訴えられたのだ。そこからそいつ自身の立場を利用し逆パワハラにあい、退職届けを出していた。


あの時……早く楽になりたいと思って、何も考えず辞める事を選択したんだ。



仕事を辞めて、このままじゃダメだと思いコンビニのバイトを始めた。だが心が壊れた私は、人への関わり方がわからなくなっていた。

だから、ひたすら黙々とマニュアルだけを守って……人と話す雑談も煩わしく黙って黙々と。


そんな私をみんな……気持ち悪がっていた。『ロボット』みたいな奴……それで居場所がなくコンビニのバイトも辞めて、他のバイトを転々としていった。



今では週2回ほどのオフィスビルの掃除が私の仕事だ。

だれにも話しかけられない、人と関わらない自分のペースでできる仕事だ。



今まで貯金し、ちょっと仕事をしてぼーっと暮らす。親が残してくれた遺産はあるが手をつけたくない……着けたら、本当に堕落が始まる気がしたから。



付き合っていた彼女は一年前まではいたが……別れてから都市部から離れた、家賃 4.5万の1DKアパートに住んでいる。

友人も今はいない。連絡はとっていないし、気がつくと全てバラバラだ。



東京で一人寂しく、いきをして死んでいく。

だれも、訪ねては来ない……孤独としか仲良くはなれないのだ。



っと考えていた。現在進行形だ……



ピンポーン!



お昼過ぎ、その音が鳴り響くまでは。


どうせ、某放送局の集金だろう。俺は出る気はない。

何時も着たら、居留守を使うのだ。



ピンポーン! ピンポーン!



また二度鳴る。もしかしたらお巡りさんの可能性もある。

お巡りさんの場合、年に一回ほどその家や部屋に人が住んでるか確認する可能性もある……だがその場合、あの方々はちゃんと警察と名乗る……なら、いたずらか……




ピピピピピピポーン! ピンポーンピンポーン!……




いや、もうこれは本当に悪戯だ。

インターホンを鳴らすだけでも電気代かかるし、うるさいし迷惑行為なんですけど。


普段怒らない俺でも腹が立ち玄関へ向かった。




だが、ドアは開けない。他人の顔など見たく無いからだ。


「すいませーん。あまり鳴らすと警察呼びますよ」


シーンッ……


さっきと打って変わって何も聞こえない。


飽きて帰ったのだろう。そう思い玄関から去ろうとした。



「あの……」



ドア越しに、若い女性の声が聞こえる。


「すいませんでした。『いつも』住んでる気配を感じなかったので」


うん? 『いつも』……えっ、いつも着てるのか……


「あの! 加藤条治さんのお宅であってますか?」


待て……確かに名字は表札でわかるとして、下の名前がわかるのはどう言うことだ……とにかく警察……


そんな事が過り、スマホから電話を掛けようとし。そんな矢先……



「私! ……あなたのご両親に……加藤ご夫妻の知り合いです!」



そんな言葉を聞き、手が止まった。

呼吸が止まり、玄関の除き穴にゆっくりと覗いた。



そこには若い女性が立っている……


濃い小豆色のシンプルなデザインでしっかりした生地感のケープ。カントリー調の白いワンピース。デニム生地のエプロンを着付けて、茶色の大きめのボストンバックを両手に持った赤毛のおさげの女性だ。



えっ、『赤ずきん? 』……そんな馬鹿げた状況に驚く。いや細かく言えば小豆ずきん?


キーチェーンをつけたまま、扉を開いた。



本当に赤ずきんの様な女の子が立っている。肌は白く幼さない感じが残っていた。



コスプレ……? 今日、ハロウィンだっけ……いや違う違う…………あっ、なるほど……さっき言ってたことは……そういうお店のプレイで、たぶん部屋を間違えたんだろう……



「すいません、私そういうお店の……そういうサービス頼んでないんで、部屋間違えてますよ」

「そういうお店のそういうサービスって、どんなお店ですか?」


彼女は純粋無垢のぱっちりした赤い眼差しで、こちらを見る。


えっ、違うの……



そんな風に悩んでいると、彼女が笑顔を向ける。


「はじめまして!」


彼女は礼儀正しく頭を下げる。その素振りにつられこちらも軽く会釈した。


「わたし、先程もお伝えしましたが加藤ご夫妻が生前の時に、お世話になってました。早乙女 あい っと申します!」

「あっ、ああ……」


理解が出来ず母音が漏れた……


待てよ、これは調べに調べ尽くして救われない俺に対して、宗教勧誘とかかもしれない……ちゃんと断らなければズルズルと引き込まれるかもしれん……

「すいません、宗教の勧誘とかならお引き取りください……」

「私、無宗教というなの宗教なのでとくに勧誘とかじゃないですよ!」



んじゃ本当になんだ、この状況……

「あの、両親からは『早乙女 あい』さんと言う方のお話を聞いてないですし……」

そう言うと、目の前の女の子は両手人差し指でこめかみを押さえ目を瞑り考える。


「えっと……ですね……んんん……」


彼女は唸る。そして数秒がたち閉じていた目と口を大きく開いた。



「『誕生日』! 今日、誕生日ですよね!! 」


その誕生日というワードに、気持ちが曇る。誰も祝ってくれないし孤独がより身に沁みる。それと伴い私の誕生日を当てられた事に恐怖すらも感じた。

ストーカー……かもしれない……いったい何が狙いだ。



「加藤夫妻から、ジョーさんの25回目の誕生日を祝うようにお願いされてたんです! ジョーさんは聡明でさりげなく『人の気持ち』を大切にする方だってお伺いしてたので…………」



彼女は嬉しそうに調子のいい言葉を並べる。

『人の気持ち』……ふざけるな……『誕生日』やら『人の気持ち』とか今の俺の癇に触る事ばかり言いやがって……


ふと、以前就職してた会社での事が過る……



『人間性? はぁ! それモラハラですからね』



バン!!



俺は咄嗟にドアを左手で殴った。

そんな様子に彼女は目を丸くする。


「うるさいんだよ! 『誕生日』とか『人の気持ち』とか!! 急にうちに着て、私はあなたの事は知らないんだ! 帰ってくれ!! 」



バン!! ガチャ!!



勢いよく扉を閉めて、鍵をかける。


外はゴロゴロと雲が鳴き始めていた。





腹が立って、ベッドで布団にを纏い自身の久々の苛立ちに情けなさを募らせる。

だが、いきなり着た上に腹が立つことばかり言い連ねられた。

でも確かに、端からみたら女性に怒鳴るのは俺の方が悪く見える……いや絶対に悪いのはあちらだ……知らない人だし……ほっとこ……


俺は感情の高ぶりを押さえる為、ヒーリング音楽をかけ目を閉じた。




目を開き、スマホを見ると二時間ほど立ちどしゃ降りの雨だ。


雨音の中、何か歌声が聴こえ……まさかなと、玄関の穴から覗く。



先程の女の子は腕を後ろで組、口ずさんでいる。



スゴく上手な歌声にふと聞き入ってしまう。


彼女は濡れない様に屋根の下に収まっていたが、それでも風に煽られ所々濡れてしまっていた。


明らかに、自身が悪者な気がして鍵を外し、ドアを開けた。

「どうぞ、中に入ってください……」

彼女との我慢くらべは俺の敗けだ。






この家に移ってからは人を入れたことがない。最低限は病気や虫が怖いから綺麗にしている。だが部屋はメンタルの影響がでて、多少モノがとっ散らかっている。



リビングには低い机の上にノートパソコン。それと何枚かのクッションを重ねた座椅子。

最近見ることにはない、姿見には布を被せている。


意味もなく回したガシャポンの残骸と読みかけの小説が散らばる。




「散らかってますが……」

「そんな事ないと思いますよ」


彼女はニコニコと微笑み、俺は座椅子の方を促す。


「いいえ、私は地べたで大丈夫です!」


そう言われたが一応、座椅子に敷いている一番良い低反発のクッションを彼女の座る様に渡した。



そして、彼女はちょこんと座る。


とりあえず、ガラスのコップ二つに麦茶を入れだす。




「わざわざ、お気遣いありがとうございます!」

「いえ、うちの家に洒落ものは無いのでこれくらいしかないですが……」

「いえ! 私、麦茶大好きです!!」



彼女は微笑み少し口に含む。

「あの……うちの両親とはどういうご関係だったんですか?」

「実は、私……ご夫妻の隠し子なんです……」


彼女は顔を赤らめ私にそう告げた。

「えっ」

口に運ぼうとした麦茶の手を止め、凍りついた。

そんな俺の様子に彼女は、両手を振る。


「ごめんなさい! 冗談です!……ジョーさんが緊張してるので、何か心を和らげるジョークをと……ごめんなさい」


いきなりそんな冗談言われたら普通に焦る。


「本当はご夫妻がシンガポールにいらっしゃる時に、面倒を見て頂いていたんです。まるで実の子供の様に……その時にご夫妻からジョーさんのお話を聞かせて頂いていたんです。元々私は孤児だったので……」


確かに父も母も一緒に海外に出張へ行くことが多かった。


「それでご夫妻が亡くなったのは最近聞かされて、それに伴いお手紙を頂いていたんです」


彼女から1通の手紙を差し出され確かに文面から、父と母の字がそれぞれ書かれている。

そこに気になる文がある。




『…………ジョーが25歳の誕生日に、会いに行ってくれないか。もしかしたら彼女も居なく、一人淋しく生きている可能性があるから。そして、誕生日を祝ってやってくれ。あいつに25歳の誕生日、彼女をプレゼントだ……まぁ、冗談だけどね。もちろん冗談だよ。あいの気持ちが大切だから……まぁ、お姉ちゃんくらいの感覚で関わって欲しい……まぁ、お姉ちゃんプレイだな。うらやましい……まぁ、あいつの女性のタイプはたぶん明るい女の子で、一緒にいると落ち着くタイプだと思う。胸のサイズは大きくなく小さくなくたぶん、形にこだわりありそう……そして、味かな……』




そういう風にツラツラと連ねてある。



待て……マジであの父親、誕生日プレゼントに彼女をプレゼントしようとしてんのか……怖すぎるんだが……それにこの手紙を女の子に向けて書いてるんだよな酷いほどのセクハラ文なのだが……

「すいません。うちの父がこんな文章を送ってしまって」

「いえ、慣れていましたので……それにあの方は、奥様の事を愛してましたから冗談だってわかってますし」


慣れてるの……あの父親よ……女の子に、なんて手紙を……それとあの父の普段の女性に対しての振るまいが心配になる。




そう悩んでいると、彼女は周りを見回しガシャポンの景品の虫のフィギュアを手にとって見とれている。



「はぁー! すごいですね!! リアルな虫みたい」

「気持ち悪くないんですか?」

「いや、気持ち悪いといっちゃ気持ち悪いですけど……以外に目がつぶらでかわいいですね! 集めてるんですか?!」



彼女が虫のフィギュアを持ちながらこちらに見せ、優しい眼差しを向けた。

「えっと……なんか……虫とか魚って無機質ぽいじゃないですか……ただ本能だけで動いてて何も考えてなくて、羨ましいんですよ。愛想とかないし……そうなりたいなって楽そうだから……」


ふと初対面な彼女に、いきなりネガティブ発言をして自身の痛々しさに苦笑してしまう。



「あの、ジョーさん! おなか減ってませんか?」

「へっ……まぁ朝から何も食べてないので……」



彼女は両頬を自身でパンッ! と叩いて、両腕を思い切り腰まで引いた。



「よし! 任せてください!! 何か作ります」


急な提案に驚いて、あんぐりと口を開いてしまった。

「でも……冷蔵庫は何も入ってないんですが……」

「大丈夫です! 材料はある程度持ってきてます! ちなみに何か食べたいものありますか?」



ふと過る……『ご飯食べるわよ! 定番の母さん特性、山盛り唐揚げ』その言葉がただただ辛い。



「いえ、とくに食べたいのはないです……」


ただ、くだらない意地を張りたかった。知らない人に何かをお願いするのが自身の情けなさを表す様で嫌だった。

私は不貞腐れた様に下を向き唇を噛む。


「それじゃ、私の得意料理作ります! お恥ずかしながら、ほとんどそれの材料メインだったので」


そう言うと、彼女は立ち上がる。


「では、キッチン借りますね! できるまで待っててくださいね」


彼女はキッチンへ向かった。





彼女が料理を作るなか、懐かしい様な調理の音が聞こえる。


そして一時間ほど過ぎ、彼女が料理を載せたお盆を机の上に出した。



「はい、お待たせしました! 唐揚げ定食です!! 」



ツヤツヤとしたお米に、お揚げとネギが入った赤味噌の味噌汁。色とりどりの野菜サラダ。メインの唐揚げからは美味しいそうな香りが漂う。白い衣も纏い美しさが際立った。



箸を持ち、一目散に唐揚げに手が向かった。口に入れる。


「あつっ! 」

「すいません、できたてだったので!」

「ひへ、はいほうへふ!!」


口に頬張りながら肉汁が口の中いっぱいに広がる。


飲み込み終わると、ふと左目から涙が滴る。

その味を僕は忘れていた。母さんが作ってくれた唐揚げの味。

手は止まらず、ご飯をかけ込み唐揚げと交互に口に入れる。


涙がますますこみ上げ、呼吸が止まったみたいで……気がつくとまるで子供のような泣き入りひきつけを起こしてしまっている。



「どうかしました! やっぱり熱すぎました? 美味しくなかったですか?」

「ひっく……ちっ、違うんです……美味し過ぎて……美味しくて……ひっく……」



大の大人が声をあげて泣いてるのが情けなく両腕で隠しながら涙を拭く。


ふと、頭に優しい感触がし顔を上げた。


早乙女あい、彼女が何かを悟ったらしく私の頭を撫で笑顔を向けた。


「ジョーさんはえらいですね」


その言葉の意味がわからず、ついつい顔を傾けた。


「だって、こんなに涙が出るのはずっと頑張ってきた証拠なんですよ。我慢して我慢して一人で戦ってきた証なんです!」


彼女の撫でる手は止まらず、何度も何度も撫でる。


「でも、今日は二人です! 楽しい事も悲しい事も半分こ。そうすれば私たちは友人にも『家族』にもなれます。お互いの形が合わさり、それが大きな何かになるんだと私は思います!! そうですね……それに名前をつけるなら……」

「名前ですか?」

彼女は立ち上がり、自身の腰に手をつけた。


「はんぶんこ怪人!!」


そのセンスのない名前で、ふっと吹き出し大笑いした。

そんな笑う俺に、彼女は楽しそうにも困惑をした。




「あっ、そういえば……旦那様からもう一つ、ジョーさんにプレゼントを渡すように言われてたんです!」

「えっ、お父さんから?」

「はい! ちょっと待っててくださいね!」


彼女は自身の持ってきたボストンバッグから、明らかに大きめの誕生日の包みを取り出した。


「さぁ、開けてください!」

「中身は……?」

「ジョーさんのプレゼントなので知らされてないですし、開けてもないので。とりあえずどうぞ!」



私は促されるまま、そのプレゼントをほどいていった。

箱の上にはバースデーカードが添えられこう書かれてある。


『ジョー 25歳の誕生日おめでとう! 大人なオモチャをプレゼントだ!! なっがーいのが入ってるぞ!!』


お父さん……これ積めてる時も……本当に何も変わらない……

そう呆れながら箱を開けた。


ギシッ!


開けた袋から、微かに動いた。

「えっ……ギィちゃん?」

「ギィちゃん?」


俺はそれを両手で掴み、天高く上げた。ギィちゃんは電光に照らされ後光がさしているようだ。

「かっ、カブトムシのギィちゃんが帰ってきた! やっぱり気持ち悪い!!」

「なんか、コントローラーがついてますよ! 動かしてみたらどうですか?!」


そう言われ、コントローラを握る。

適当にボタンを押すとギィちゃんは仁王立ちをした。


「立った……ギィちゃんが立った!」


そんなくだらない事で嬉しくなり、色々操作に熱中する。


「ふふっ」


彼女はたぶん子供みたいに盛り上がる、私が可笑しいのだろう。


「ごめんない。笑っちゃて」

「いえっ」


少し不貞腐すると、彼女はまたも息を漏らす。


「なんか、ジョーさん思ったより子供なんですもん! その様子が可愛くて!」

「いや、実質はあなたより私の方が年上ですよ。そんな子供みたいなんて」

「えっ、違いますよ! 私、26歳なので私の方が一個お姉さんです!」

「うそ!!!」

「ホントです!」


そして、彼女は鼻から息を大きく吸い口から息を漏らした。


「でも、いいですね! 家族って」

「いや、カブトムシのラジコン送られてきて、何がいいんですか?」

「だって、あんなに辛そうだったジョーさんがこんな楽しそうにしてるのって……やっぱり親子って偉大なんだって……これが『あいのかたち』なんですね!」


いや、それは違う……確かにお父さんからのプレゼントをもらって今は喜んでいる。でもきっと普通に送られてきたら鼻で笑って、怒っていただろ。俺がこんなに嬉しく思えてるのは彼女のお陰、早乙女あいのお陰なんだ。


横目で彼女を見る。そうすると彼女は微笑み返した。




うっかりボタンを押すと、ギィちゃんは宙に浮かび意気揚々と空を駆け回る。その姿が狭い世界で自由を手入れたようだった。



この先も特に案がない作品なんです。どちらかと言うと今の私の気持ちが反映された作品です。


楽しめたかどうかはわからないですが、読んで頂きありがとうございますm(。_。)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ