属性
翌日の朝、CJは風邪をひいていた。顔が赤く汗もかいていてとても苦しそうだ。初日の出席は不可能だろう。
「ゴホッゴホッ。ごめんアイリス、私がいなくてもちゃんと教室にたどり着いてね。それと、今日の授業内容も後で教えてくれると助かる…。」
「ちょっと、バカにしてない!?昨日行ったから大丈夫だよ。授業の報告も任せといて!帰ってきたら教えるね!」
それからアイリスは身支度を済ませ校舎へ向かった。
周りには昨日はほとんど見かけなかった生徒たちが沢山いる。自分たちの他に入学する者がこんなにもいたのかと、改めてアイリスは驚いた。
校舎に着き広く長い廊下を10分程歩き回り、道に迷ったことに気がついた。
周りに人は1人もおらず、道を聞こうにも聞けない。
授業が始まるまではまだ少し時間があるため、焦らず教室への道を探す。
「まっまく…。地図が欲しいなぁ。でもこれだけ広いと地図があっても私の方向音痴じゃあんまり意味無いか……。」
さらに歩き続けると反対側から男が1人歩いてきた。
アイリスは道を尋ねようとその人に駆け寄った。
「あの、すいません!カータルの教室にはどうやって行けばいいでしょうか?」
「あぁそれなら、今あなたが来た道を戻って左に曲がり、3つ目の十字路を右へ曲がるとテルシアの教室があります。その向かいにある階段を上がると変転研究室があります。そこを右へまっすぐに進むと見えてきますよ。」
「分かりました、ありがとうございます!」
アイリスは男に礼をし、急いで教室へ向かった。
授業開始時間ギリギリに教室に着き、窓に近い後ろの方の席に座った。
しばらくして30代くらいの女性教師が入ってきた。
「おはようみんな!私はエレンだ。これから1年間、このカータルの教室を担当する。よろしくな!」
エレンは自己紹介を終えるとペンを手に取り板書し始めた。
「今日君達に学んでもらうことは属性についてだ。これは誰もが生まれながらに持ち、定められているものだ。そして属性ごとに得意な魔法も変わってくる。
今日はこのレポートを作成し提出してほしい。
まず4人1組になってもらう。この班は基本1年間面子を変えないので各々留意するように。
詳しいことは教科書の11ページから書かれている。図書室に行ってもいい。この授業が終わるまでに各班提出するようにな。」
先生からの説明が終わり、皆周りの人と班を組み始めた。
アイリスも近くにいた生徒に声をかけ、まず自己紹介から始めた。
「私はアイリスって言います。小さな村で育って昨日初めて王都に来たの。今はまだ魔法が全然使えないけど、ここで学んで色んな魔法を使えるようになるのが目標です。よろしくね!」
「僕はダイジー。ここから少し離れた町の出身なんだ。僕もまだまだ未熟者だから一緒に頑張ろうね!」
「私はフィイです。ウィルミナル出身だけど、家は端っこの方です。私も魔法を沢山使えるようになって人の役に立ちたいと思っています。仲良くしてくれたら嬉しいです。」
ダイジーは眼鏡をかけた爽やかな青年って感じで、フィイは長髪で前髪が目にかかっていて大人しい感じだ。2人ともいい人そうでアイリスは安心した。
「あっそれと、私のルームメイトでCJって子がいるんだけど今日は風邪でお休みなの。風邪が治ったらこの班で一緒に学んでもいいかな…?」
「僕はいいよ!フィイは?」
「私も異存ないです。」
この班で1年間勉強できるのかと思うと、アイリスはワクワクしてついニヤけてしまった。
その後3人は問題なくレポートを提出した。
それからもう2つ授業を受け今日の授業は全て終わった。
アイリスは自室に戻り、今日の出来事をCJに報告した。
「ありがとうアイリス。属性については後で教科書に目を通しておくよ。それにしても、やっぱり道に迷ったんだね…。」
「いやぁ面目ない……。あの人がいなかったら授業に遅れてたよ。またどこかで会ったら感謝しないとっ!」
「校長にも謝らないとだしねぇ。」
「そうなんだよねぇ〜。あと今思い出したんだけど、その道を教えてくれた人さ剣を腰に下げてたんだよね。あれは何の魔法に使うんだろう……?」
「あぁたぶんその人、騎士学校の人なんじゃないかな?騎士学校の生徒は4年生になると魔法も習うらしいから、きっと授業を受けに来てたんじゃないかな?」
「そうなんだぁ。じゃああんまり会う機会もないんだね。」
アイリスは残念そうに項垂れながら歩き出し、今日の宿題をするために椅子に座った。
窓を開けると涼しい風が頬を撫で過ぎていく。
「ここの夜はこんなにも明るいだね。村だと真っ暗で足元も見えないのに。」
懐かしさで目が潤むのを首を振り堪え、机に向かい宿題を始めた。