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リバース  作者: √k
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毒と少女②

アーデリス城陥落から2ヶ月後。

気温が上がり半袖の生徒が増えてきたウィルミナル魔法魔術学校は新学期を迎え、新たに数百名の1年生が入学してきた。

アイリスは2年生となり日々勉学に勤しんでいる。しかしそこにCJの姿は無い。CJは次期ウィルミナル国女王として国務に追われる毎日を過ごしている。

そんな忙しい日々でも、2人は時間を見つけてはどちらかの部屋で歓談したり、町に出て買い物や食事をしている。


ダイジーを含めたアーデリス城で捕らえた者達は取り調べで未だ何も話していない。敬意か畏怖か、頑なに情報を開示しようとしない。


「ネリアに近しい者達は皆戦闘の最中自害。捕らえた者達の中には操られていただけで、そもそも記憶が無い人もいる。ほんと……はぁぁ………。」


「ダイジーも爆破事件の事を含め何も喋ってないんだよね。精神魔法で情報を得ようにも本人の同意なしにはできないしね。時間かかるね……。」


部屋着姿のCJは頭を抱え溜め息をつく。

手元には冷めた紅茶と残り少ない茶菓子がある。その茶菓子に手を伸ばし口に含みながらアイリスはCJの愚痴に反応する。


「まったく……、他にも仕事が山積みだし、毎日頭痛に腹痛に体調不良続きだよぉ〜。」


「よしよし、頑張ってるんだねCJ。えらいえらい。」


「ありがとう。心が折れそうな時に頭撫でられるとやっぱり落ち着くなぁ。毎週ありがとうね、アイリス。」


「これくらいでCJの疲れが取れるならいくらでもやるよ!私こそ毎週ありがとうだよ。教室は広いのに人数は少ないから本当に寂しいんだよね……。」


「1年生が入って学校全体はまだ明るさを保てているけど、まぁ、そうだよね………。」


2人は目線を手元に落とし、一瞬の沈黙が訪れた。その無音をCJが席を立ち終わらす。


「紅茶冷めきっちゃったね。温かいの持ってくるよ!」


「ありがとう。よろしければお菓子のおかわりも頂けるかしら?」


「承知致しましたお嬢様。」


思わず2人は笑みを零し、室内に温かい空気が戻った。

部屋を出ようと扉に近づいた時、こちらへ向かい走ってくる足音が聞こえCJは足を止めた。

その直後、アイリスらがいる部屋の扉が叩かれCJが入るよう促し1人の衛兵が慌てた様子で扉を開けた。


「CJ様、失礼します!急ぎお伝えしたい事がございます!」


「なんだ。」


「城を中心として、城内外で突如多数の人々が倒れ昏睡状態となっております!倒れた者は全て病院に搬送中です!」


「分かった、すぐに病院に向かう。身に異変の無い者は城周辺を警戒するよう兵に伝えろ。」


「承知致しました!失礼します!」


その兵士は身を翻し駆けて遠のいていった。

アイリスは椅子から立ち上がりCJに近づく。


「ふぅ……騎士団が留守の時を狙ってきたのか……。悪いけどアイリスもついてきてくれない?私の予想が合っていればアイリスの力も借りることになるかもだから。」


「分かった。急いで病院に向かおう。」


その後急いで病院に駆けつけた2人は医者から人々の状態を聞いた。

どうやら倒れた人々は毒に犯されているらしい。それも未知の毒で今の技術ではどうにもできないとのことだ。


「やっぱり、そうだったんだ。これ、前の時と同じ犯人だと思う。あの毒事件の後、もしかしたら暴徒事件と毒事件は全く関係無いんじゃないかと思って個人的に調べてたの。犯人の目星は付いてるから、とりあえず人を集めて作戦会議をしよう。アイリスもお願い。」


それから議会の間には魔法科と騎士科の4年生と数人の教師が招集された。そこにはエレンとアイクの姿もあった。アイクは部屋の隅から動かず、目を泳がしていた。自分よりも立場が上の人達に囲まれ緊張しているのだろうかと心配したアイリスはアイクに声をかける。


「アイク大丈夫?緊張してる?」


「あ、アイリス。ちょっと緊張してるかな。どこを見ても今までの自分の世界とは違いすぎて、どう動けばいいか……。」


「大丈夫、いつも通りにしていればいいんだよ。私も慣れなくて少し緊張してるからアイクがいてくれてありがたいよ!でも、本当にいいの?結構危険な作戦になると思うよ……。」


「うん。今騎士団が遠征に出てて人手が足りないんでしょ?こう見えて俺強いから、できる限り手伝わせてもらうよ。そんなことよりアイリスの方こそ大丈夫なの?」


「私は1度戦闘経験あるし、アイクに剣の稽古もつけてもらってるから大丈夫────って言いたいけど、やっぱり怖いね。」


「残っててもいいんじゃないかな……。後ろを護るのも大事なことだよ。」


「ありがとう。でも、相手は手強いから1人でも戦力は欲しいでしょ?私だって今まで何もしてこなかった訳じゃない。戦えるよ。」


それからしばらくして人が集まり、各々席に座り作戦会議が始まった。アイリスとアイクは出入口に1番近い席に座った。

最後にCJが着席し概要を話し始めた。


「現在、我が国の主戦力の部隊が不在のため、ここにいる皆さんの力を借りられること、感謝します。

捕縛目標はウィルミナル神を信仰する宗教団体の長インクリプス。彼女は北の山脈中腹に拠点を構え、滅多に外に出てくることはないらしい。時間がないのでこのメンバーで一気に攻め込みます。」


その後足早に話し合いが進み、1時間程で作戦が立案された。

寄せ集めの部隊は会議終了後30分程で準備を整え北の山脈に向け出発した。

読んでくださりありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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