王都ウィルミナル
1週間後、アイリスは迷いに迷った末、ようやく答えを出した。
「私、魔術士団に入るよ。そして、国も村も全部護ってみせるよ。」
村長は大きく息を吸い静かに瞬きをした。
「そうか、本当に行くんだな。お前が時間をかけて考えて決めたことなら、私は反対しないよ。」
「ありがとう。ほんと言うと、ずっとここに居たかった。みんなと暮らしていたかった。
でも、そのみんなの笑顔を護るために私はもっと魔法を学びたい。
たまには帰ってくるから!元気でいてね!」
「あぁ、ずっと元気でいるよ。だからいつでも帰っておいで。お前の好きな物作って待ってるから。」
こうしてアイリスは魔術士団直轄のウィルミナル魔法魔術学校に向かった。
初めて訪れた王都は広大で建物が大きく、人も物も信じられないほど沢山あった。
見たことのない物が溢れていて、アイリスは目につく物全てに興味津々だ。
興味に任せ街を歩いていると、学校までの道が分からなくなってしまった。
人に聞いて進んでみても、こんな広くて人で賑わっている場所を歩いたことのないアイリスは思うように道に出られなかった。
「やってしまった…。気をつけてはいたけど、つい……。最悪人に聞けば大丈夫だと思っていた自分を殴りたい。」
ブツブツと自分への文句を呟き半べそをかきそうになりながら、真っ直ぐに道を進んでいく。
すると、薄暗く人気の少ない通りに出た。
周りには強面の半裸男たちがこちらを見ている。アイリスは警戒しながら前へ進んでいく。
「やばい……。」
本当に自分の方向音痴ぶりには腹が立つ。
この場所はやばい。
このような所に来たことのないアイリスでもそれは分かった。
「なにしてんの!!」
後ろから可愛らしい声で怒る声が聞こえ、次の瞬間左腕を強く引っ張られた。
アイリスは引かれるままその娘に着いていった。
人通りの多い場所まで走ってくると、その娘は立ち止まり息を整えた。
「あなたいったい何を考えているの、死にたいの!?
女の子が1人であんな所を歩くなんて危険すぎるでしょ!!
もしかして知らないの?
ウィルミナル来るの初めて?」
可愛くそして綺麗なその美しい少女に、アイリスは目を奪われた。
この世界にこんなに素敵な人がいるなんて、村にいたんじゃ出会えなかった。それだけでも村を出てきた甲斐がある。
「私の顔になんかついてる?
さっきの所で埃でも付いたかな。」
「あ、いや、とても綺麗な顔だったから見惚れてしまって。すみません。
私はアイリスって言います。今日初めて王都に来たの。だから道が分からなくて迷い込んじゃって…。」
「そういうこと。見た感じあなた対人戦強いって感じじゃないでしょ?だったらあそこには行かない方がいいよ。他人を貶めて自分が生きるって考えの奴らだから、何をしてくるか分かんないよ。」
「ありがとう!分かった、これからは気をつけるよ。ところでなんだけど、ウィルミナル魔法魔術学校ってどうやって行けばいいの?」
「あら、あなた新入生?私もなの、一緒に行こ?私CJ、よろしくね!」
アイリスはCJに着いていき、学校へ向かった。