雪の日、それぞれの道
その日も雪が降る寒い日だった。
フィイの墓前にはアイリスとCJの姿があった。
「遅くなってごめん、フィイ。久しぶり。」
アイリアは膝をつき、しばらく目を瞑り口を閉じていた。
その後ろではCJが寒そうに腕を組み立っている。
「さっむ……。アイリスぅ〜、なんか温かいもの飲みに行こう?」
「じゃあ、あのココアが美味しいお店に行こ?」
2人は街まで戻り店へ入った。
店内は程良く暖かく、冷えきった身体が生き返るようだ。
手前の席は全て埋まっていたため、人があまりいない奥の窓際の席へ座った。
「私ショコラも頼もうかな。アイリスは?」
「私はココアだけでいいや、夕飯が入らなくなっちゃう。」
「えぇ〜、ここのショコラ美味しいんだよ?後悔しない?ほんとに大丈夫?」
「大丈夫。ほら、頼むよ。」
笑顔で茶化すCJに対しアイリスも微笑み返す。
しばらくして2人の注文の品がテーブルの上に置かれた。
CJは1度飲み物で喉を潤し身体を暖めてからショコラに手をつけた。
アイリスはココアを1口流し込み、リラックスした温かい息を吐いた。
「やっぱりここのショコラは美味しいよ。また来よっと。その時はアイリスも食べようね!」
「そうだね。今度は食べようかな。」
2人が屋内で暖を取っている間も外は寒々とした空模様が続いている。雪は激しさを増し吹雪になりそうだ。
アイリスはその景色を眺めながらココアを飲み進める。
暖かい店内の居心地の良さにアイリスが眠気を催した頃、CJがショコラを食べ終えた。
「うん!美味しかった、満足。」
「良かったね。天気が崩れてきたからこれ飲んだら帰ろうか。」
「そうだね。吹雪の中帰るのはきついからね。」
「──────CJ、やっぱり私は、手伝えない……。」
「うん、分かった。まぁ仕方ないよ。アイリスはアイリスにできることをやればいいんだから。」
「うん…………。」
ココアを飲み終えた2人はその後アイリスは寮へ、CJは城へ向かった。
寒空の下、各々の足跡が別の方向へ続く。
「ニコライ博士、進捗はいかが?」
研究施設へ足を運んだCJはネリア女王捕縛作戦で使うための武器開発の様子を見ていた。
ニコライはクルストル国の技術者で、ちょび髭を生やした白髪の老爺だ。現在各国で使用されている科学技術はニコライが開発したものがほとんどだ。
「CJ様。術式の刻印とそれの発動は問題ないのですが、制御が未だ困難です。安全機構の装着まではいいですが、その後は使用者の力業になりますね。」
「なるほど、負担が大きいか…………。1度試験してみましょう。いつも通り準備を。」
そう言いCJは頑丈な防御魔術が幾重にも施された部屋に入り、開発途中の武器を装着した。
準備ができたことを窓越しのニコライに合図する。それに伴いニコライも室内の観測を開始した。
CJは武器に付与された刻印に魔力を込め始めた。
「魔力蓄積値30%……40%……50%…………。魔力蓄積値規定値を突破。最終安全装置解除。発砲準備完了。」
ニコライの声が室内に響き渡る。
そしてニコライの合図でCJは引き金を引いた。
勢いよく無数の弾丸が放たれ10秒程で止まった。
CJは脱力するように武器を置いた。
「さすがにこれを空中では無理だね…………。」
「でしょうね。ホーミー国の魔術師の方々とも話し合い試行錯誤していますがなんとも……。」
「焦らず急ごう。あなたならやってくれると信じてるよ、ニコライ。『科学はいつか魔法に追いつく』あなたの言葉でしょ?」
「何十年前の話ですか。でも、はい、今でもその気持ちは変わりません。ひと休みしたら再開しましょう。」
その日の晩は吹雪となり、近年稀に見る大豪雪となった。
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