合宿②
アイリスたちが湖に着いてから30分程で全班が到着し、次の指示を出された。
湖近くの広場に各班場所を取り、テントを張る2人と食材を採る2人に分かれ行動を開始した。
アイリスの班でもCJを中心に誰と誰が組むかを話し合っていた。
「私はテントの張り方分かるから残ろうと思うんだけど大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。じゃあ僕は食料調達に行こうかな。アイリス着いてきてくれない?山の植生に詳しそうだから、知っていたら教えてほしいんだけど。」
ダイジーがアイリスに同行の確認を取り、CJも確認の視線を送る。
「いいよ!知ってる植物があったら役に立てると思う。」
これによりフィイは自動的にテント組になったが嫌そうではなさそうだ。
アイリスたちも二手に分かれて動き出した。
アイリスとダイジーはまず食べられる野草を探した。人が全く入らない森というのもあり、意外とすぐに大量に採れた。
「アイリスと一緒で助かったよ。後で先生の確認も入るって言っても、集めたものが毒草ばかりだったら骨折り損だからね。」
「ありがとう。でもお肉の調達はダイジーに任せることになっちゃうからお互い様だね。お肉を求めてもう少し奥に行ってみよ!」
2人は野生動物を狩るためにさらに進んでいく。気づくと先程まで何組か見かけた他班の生徒が見当たらなくなっていた。
「少し森に入りすぎたかな?ここら辺は魔獣が少ないと言っても万が一ってこともあるかもしれないし、お肉は諦めて戻ろうか。」
そう言いながらアイリスは元来た方へ歩き始める。ダイジーもそれに続き方向を変えようとした時、後方から強い殺気と共に咆哮が放たれた。
2人は驚き、反射で振り返った。すると、50メートル程離れた場所からこちらを睨む猪のような巨大な魔獣が息を荒げていた。
「どうするダイジー?魔法で混乱させて、その隙に逃げる?」
「いや、ここからじゃ魔法が届かない。これ以上近づくのは危険だ。振り返らず、ゆっくりと後ずさるんだ。」
2人は魔獣から目を離さず注視したまま、じりじりと距離を取り続ける。
しばらく睨み合い、痺れを切らしたかのように魔獣は猛突進してきた。
生い茂った草や木の枝が顔面にぶつかろうがものともせず、50メートル先のアイリスとダイジーを殺すことしか頭にないようだ。
2人は瞬時に振り返り一目散に走りだした。
ダイジーは後ろを見ず腕だけを後ろに回し、攻撃魔法を放ちながら全力で前方に駆ける。
「アイリス、このままキャンプ地に戻るのはまずい!どこかで1度こいつを撒かないと。」
ダイジーは辺りを見回し、アイリスに合図をして右折した。草が茂っているがどうにか走れるような場所を2人は驀進する。
ダイジーの攻撃魔法のお陰で未だ追いつかれずにいるが、傷を負いながら魔獣は徐々に距離を詰めてきている。
後方から先程まではしていなかった大きな音が聞こた。確認しようと振り返ると、1本の大木が上から落ちてくるのが視界の端に見えた。
アイリスとダイジーはそれぞれ左右に避け、大木は2人の間に落下した。
アイリスは少しよろめいたがすぐに体勢を立直し進み続ける。
「くっ……。アイリス、そっちは───!」
ダイジーの声に反応しアイリスが右方を見ようとした瞬間、アイリスの両脚に力が入らなくなった。
コンマ数秒後、それは脚に力が入らなくなったのではなく地面が無くなったことにアイリスは気づいた。
魔獣の猛進する音やダイジーの声が遠のくのを感じながらアイリスは落ちていく。
アイリスはそこで気を失った。




