魔弾練習
騒動から2日が経ち、休日が終わっていつも通りの日常が戻ってきた。
住民たちが落ち着いてから医者が心身共に異常はないか検査をし、その後の混乱は最小限に抑えられた。
アイリスたち4人も異常がないことが確認され、残りの休日は自室で休養を取っていた。
そして、今回騒動に巻き込まれなかった生徒たちも今後十分に注意し、巻き込まれた時はすぐに逃げるようにと休日明けに校長から言い渡された。
「では気を取り直して、今日は攻撃魔法について学んでもらう。3週間後に行われる合宿地には多数の危険生物が出没する。当然襲われることもあるだろう。故に合宿までに猛獣どもに対処できる程の攻撃魔法を身につけてもらう。」
座学で基本の攻撃魔法を一通り学び、その後訓練棟に移動しその日の授業はずっと攻撃魔法の訓練だった。
「あぁ〜できない。むずっ。」
アイリスがため息混じりに呟いた。それが聞こえたフィイがアイリスの横に立った。
「アイリスは魔弾の練習をしているんですか?簡単そうに思えて難しいですよね。術式を通す魔法とは違って、自身の魔力を集中させて放たなければいけませんからね。」
「そうなんだよねぇ。指先に集中させるとこまではできるんだけど、放つとすぐ散っちゃって飛ばないんだよね。」
アイリスの言葉を遮り、近くで爆発音が響いた。隣で炎系攻撃魔法を練習中のダイジーが威力を上げようとした結果失敗したようだ。威力はそこまで高くなかったため人的影響は出なかった。
「いやぁ、なかなか上手くいかないな。急に魔力込めすぎたかな。」
眉根を寄せたダイジーに心配そうな顔をしたCJが歩み寄る。
「大丈夫だった?破片飛んだりとかしてない?」
「大丈夫だよ。擦り傷1つないよ。」
ダイジーが何ともないことを確認したアイリスは魔弾の練習を再開した。
数十分後、僅かに飛距離は伸びたもののアイリスは未だ魔弾をものにできないでいた。根詰めすぎないようにとアイリスはしばらく休憩することにし、近くのベンチに腰を下ろした。
するとそこへ同じく休憩しようとダイジーが隣に腰を掛けた。お互いにお疲れと声をかけ、ダイジーの疲れた顔色を窺いアイリスが口を開く。
「ダイジーはなんとなくコツを掴んできたんじゃない?だんだん上手くなってきてるよ。」
「そうかなぁ。まぁでも初めよりかはマシになったかな。お陰で少し疲れちゃったけど。アイリスは魔力切れ?」
「うん。術式通すのとは違って魔力消費が激しいんだよね。しばらく練習できないや。」
「そうか。おれも精神系魔法以外はからきしだからさ、他の魔法も上手く使いこなせるようにならないとって思ってはいるんだけど、なかなかな。」
「それでもいいと思うよ。私はまだ得意な魔法もないから。ダイジーはすごいと私は思うよ。」
ダイジーはアイリスに褒められ、困ったように微笑んだ。そして重い腰を上げるように立ち上がり、練習に戻った。
合宿まで残り3週間。小休止してアイリスも気を引き締め練習に戻った。




