第4.5話 あの夜
私の名はグレイス・シャングリラ。Sランク冒険者だ。私は騎士の家庭に生まれ、小さな頃から剣を教えられSランクまで辿り着いた。
Sランクにもなると金は余るぐらい貰えるし、最近は敵を倒すのに苦労しなくなった。努力し、高みを目指した結果、その先にあったのは虚無感だった。
敵を倒す喜び、苦況で感じる生への高ぶり、どれも感じなくなった。それだけ強くなったと思うと嬉しいが、何か大事なものを失ったような気がする。
ちなみに今はある要件で元ゴブリン村へと向かっている。ギルド職員のカエデからある冒険者が帰ってきてないとのことだった。
あんなカエデ久々見た気がする。すごい心配だったんだろうな。人思いで昔から良いやつだ。
だんだんとその場所に近づくにつれて音が大きくなる。どれだけ激しい戦いをしているのだろうか。
森を抜け村の端に着いたとき少年がアンデット化したゴブリンと戦っているのが見えた。
彼はすでに肋骨を折られている様子だった。だが彼は笑っていた。こんな希望もない状況で笑っていた。
私は興奮を隠せなかった。昔の自分と重ね合わせ、その戦いに見惚れていた。
少年がやられてしまったところで何を見惚れているのだと気がついた。
少年がやられるのを阻止できたのにと反省しながらエリートゴブリンに間合いを詰める。
私はシャングリラ家であり、この家系は代々、聖剣というものを扱うことができる。光属性を自由に扱える剣である。
その剣でエリートを斬り裂く。当然、跡形も残らない。
2人目のエリートも斬り裂き、キングも軽々と切り裂いていく。
雑魚達が残っているので一掃する。
「ホーリースラッシュ」
自身を一回転させながら放つことで半径10mの敵は大抵死ぬ。彼が地面に伏していたからできた技だ。
敵は全て排除できたので彼の元へと向かう。
彼を抱き抱える。まだ10歳くらいの子だ。こんな子がもうこんなに苦しい思いをしているか。私は今18だが、この子の頃はまだ家で訓練をさせられていた。
私が外に出た時には大抵の敵は倒せるくらいの実力は付いていたからこの子の苦労は私には理解できない。すごいなと心から思った。
「頑張ったな。」
頭を撫で、可愛げのある無垢な顔を見ながらそう呟いた。
その後、私はシャングリラ家の管轄下の教会でその子の意識が戻るのを待った。
彼が意識を取り戻した後、少しだけ会話を交わして、私は教会を出た。
私は家に帰りながら彼の戦いを思い出す。彼はもっと強くなれる。私は彼のことを見届けようと思う。訓練してあげるのもありだな笑。
私のやりたいことができた。断られるかもしれないが、明日聞いてみよう。
そんなこと考えながら私は家に帰った。
聖剣の名前を決めていなかったので書いていません。迷います。無難にエクスカリバーにでもしようかな笑。