第03話 恐怖
チュンチュン、、、
「ふあぁぁぁ、、」鳥の鳴き声と共に目が覚める。
洗面所で顔を洗って1階に降りると彼女がご飯を作って待っていた。1階には食事をするスペースがあり、そこに準備されていた。
「お待ちしてました。どうぞご自由に。」
あっそういえば名前聞いてないわ。
「すみません、お名前を伺っても?」自分の名前は契約書の時に書いたので知られているが向こうの名前を知らない。
「すみません!うっかりしてました。私の名前はマニュピレート・エリザベス、よろしくお願いしますね。」
「マニュピレートさん、よろしくです。」
「もぅ、かたいなぁ、エリとかでいいよ。」
「分かりました。それじゃあご飯いただきますね。」
そう言ってテーブルに置かれた食事に目を向ける。パンとスープそしてサラダが置かれていた。
食事を口に入れる。うん、うまい。
「エリさん、これすごく美味しいですよ。」
「ほんと?うれしい♪」
うまいなぁ、すぐに食べ終わった。食器は置いといてのことだった。そしたらギルドに向かうか。
「それじゃあエリさん、行ってきますね!」
「は〜い、気をつけてね!」
なんか、いいなこれ。ついニヤけてしまう。
そんなことを思いつつギルドへと辿り着く。
昨日の今日でまだ緊張するが、それを隠すかのように扉を堂々と開けてみる。変わらない光景だ。とりあえず依頼板にいこう。
朝早いからだろうか、昨日よりも依頼がある。まぁBとかCばかりで受けられないけどな笑
おっ!今日も面白そうなのを見つけた。
Fランク:ゴブリン村の跡地の調査
これにきーめた。
「すみません、これの発注お願いします。」とカエデさんにお願いする。
「はーい、以前にAランク冒険者のクリファーという方がゴブリンを殲滅したのですが、その後どうなっているかを調査してもらいます。アイテムなどは回収次第、ご自由にしてもらって大丈夫です。報酬は500Gですが、回収したアイテム次第で増えるかもです。」
「了解です。」
「それと、回復薬があるともしもの時便利ですよ!」
まぁ跡地に行くだけだし、いらないだろう。
「分かりました、じゃあ行ってきますっ!」
「はい!行ってらっしゃい!」
さてと、それじゃあその村へ急ぐか。
(縮地!)
そして30分も経たないうちにその村へとついた。
特になにも問題はなさそうだ。村の家の中を隅々まで調べてゆく。
おっ、宝箱があったぞ。開けてみるか。
その中には腕輪のような物が入っていた。はぁ、鑑定スキルがあれば分かるんだが、とりあえず着けてみるか。右腕につけてみる。金色だが、少し紫が入り混じっているような色だ。
特に違和感はないが、ステータスを見てみる。
アグマ・ライオレット
年齢:10歳
職業:魔剣士
冒険者ランクG
所持金:8300G
Lv.7
状態:呪い
HP:92/92
MP:76/76
ATK:80
MAT:75
DEF:70
MDF:74
INT:60
AGI:100
LUK:100
スキル
剣撃Lv.3、縮地Lv.3、付与魔法(火、水、風)Lv.2
耐性
毒耐性Lv.1、痛覚耐性Lv.1、火耐性Lv.1
固有スキル
ラストリベンジ(他人には表示されない)
まてまて、呪いがかかってるぞ。くっそ!腕輪が取れない!しかも何の呪いか分からない。とりあえず、帰るか。
(縮地!)
ドゴッ!!
「いった!!いてぇぇ。」何かに当たった。
目の前を触ると結界のようなものがあった。もしかしたら出れなくなったのかもしれない。
(剣撃!!)結界を剣で切ってみるがビクともしない。とりあえず落ち着くことに専念して、呪いを解く方法がないか、村を探索することにした。
1時間が経ち、全て探索し終えた。とりあえず見る限りでは呪いを解く鍵はなかった。でも、装備品やお金をいくつか見つけた。
へへ、これで儲かるぜ!
....じゃねぇよ!どうしよ!!死ぬ死ぬ、餓死してしまうぞ。
とりあえず見張り台の上に乗って周りを観察すること30分。あることに気づいた。この村のゴブリンは確かAランクの冒険者に殲滅されたと聞いた。だが骨などが一本もない。血もない。骨を燃やしたのかと考えたが焼かれた跡もない。
じゃあゴブリンの死体はどこへ行ったのか?
いや、虫に喰われたのかもしれない、うん、変なことは考えないようにしよう。
どうせ出られないんだし、待っていたら助けが来るだろうから少しだけ眠るか、そう言って目を瞑った。
ドドドドドドッッッ!
すごい地響きで目が覚めた。目が覚めたとき、すでに夜だったため周囲は暗く、視界が悪い。目に力を入れて暗闇になれようとすると突然、うっすらとだが見えるようになった。
多分暗視系のスキルを手に入れたのだろう。だがそんなことよりも今は考えなければいけない光景が広がっていた。
村にスケルトンゴブリンの群れがうじゃうじゃいる。奥にはキングスケルトンゴブリンに加え、2体のエリートスケルトンゴブリンもいる。
とりあえず黙っておく。音を立てないようにしなければ。
「ウォォォォォォォ!!!」キングが叫んだ。
「ひぃっ!」流石に声を出してしまった。産まれて10年、こんな怖い体験をしたのは初めてだ。
声でバレてしまったのか、見張り台に近づいてくる。ヤバい。
エリートが見張り台をぶん殴り、倒れ始める。
「くっそ!!」うまく着地を取れたが囲まれてしまった。戦うしかない。
(付与魔法・火、縮地!)間合いを詰める。
(剣撃!)ゴブリンを斬り裂く、次々に斬り裂く、、
しかしすぐに気づいた。先程切ったゴブリンの骨がくっついて復活していることに。こいつらはゴーストの類たのか、これじゃあキリがない。光属性がないと太刀打ちできない。
そういえば!魔法袋からあるものを取り出す。
スクロールだ。魔法を会得できるもう一つの方法。中身が何なのかは分からないが賭けるしかない。
縮地で間合いを取りながらスクロールを使用するとあるスキルを手に入れた。光魔法Lv.1。
神様ありがとうっ!これで勝機が見えてきた。Lv.1なので頭の中に思い浮かぶ魔法はライトボールのみだ。
あっもしかして。とあることを思いついたのでライトボールを自身の剣に放ち、纏わりつくイメージをすると、なんと成功した。ステータスを見ると付与魔法・光を会得している。これはいけるぞ。
(付与魔法・光、縮地!剣撃!)再び、ゴブリンを斬り裂いていく。今度は復活していない。
(ライトボール!)MPを使うため乱発はできないが危険な時には使う。
ゴブリンを数十匹倒したところでレベルも上がった。体が軽くなる。
「いける、いけるぞ!」僕は興奮していた。
斬って斬って斬りまくる!ゴブリンが次々に消滅していく。
「縮地!」稲妻のように戦場を駆け抜ける。
「剣撃!!」剣を振り下ろした次の瞬間。
視界が90度右に傾いていた。そして脇腹に強烈な痛みが伴う。
「ぐぅぅうあっっっ!」肋骨が何本か折れた。
「がはぁぁあっ!」血を口から吐き出してしまった。
痛い。痛い。視界が赤く染まる。調子に乗りすぎたと後悔したが遅かった。
とりあえず反撃するしかない。残った力を振り絞って立つ。体が不安定だ。
目の前を見るとエリートが立っていた。やつからやられたんだろう。やつの足元が血で濡れている。キングは後ろでケタケタと骨を鳴らして笑っている。
こんなところで死ねないと思ったが、正直この状況はまずい。回復薬などは要らないと思って買わなかった過去の自分を悔やんだ。
(付与魔法・光)剣が光り輝く。
(ライトボール!!)敵の正面に光魔法を放つ。
ライトボールに隠れるように後ろからエリートを狙う。
エリートがライトボールを避けた。いけるぞ!
(縮地!剣撃!)間合いを詰めて、斬り裂く!
はずだった。顔を上げるとエリートが片手で自分の剣を握っていた。
「パリィン!」エリートの手によって剣が砕かれた。その瞬間、全身が恐怖に染まった。体が動かない。
[怖い]
その感情だけが自分を支配した。
エリートがアグマの胸ぐらを掴み、キングのところへ放り投げる。
「お前は弱い、弱すぎる。」キングが低く恐ろしい声で言ってきた。
喋れることに驚く余裕など無かった。地面を這うようにして逃げようとするが、目の前にはゴブリンがいる。周りからケタケタを骨の音がする。
「だ、誰か助けてくれ。」と言ったつもりだったが恐怖であまり声が出ていない。
キングの方を見ると、剣を振り上げている。
あぁ、死ぬ。死を覚悟した。死にたくない。
剣が振り下ろされる。僕は恐怖のあまり、意識を失った。