第14話 神聖魔法
イナさんに付いて行き、聖女様の部屋に着いた。
中は綺麗にされており、さすが聖女と言わんばかりの部屋だった。
「いらっしゃい、そこにお掛けになって。」
準備されていた椅子に座る。イナさんは部屋から立ち去る。
「さて、貴方には神聖魔法となるものがどういうものかを知ってもらいます。」
「まずは、、、」
そう言って聖女様はテーブルに置いてあるナイフを手に取る。そしてそれで指を少し切った。
「この怪我をしている部分に。ヒール!」
ヒールと口にした途端、怪我をした場所が光り輝き、傷口が塞がっていく。
「これが神聖魔法の真髄ですね。ですが、これだけではここまでこの都市は発展していません。」
神聖魔法には他にも使い方があるのか。
「アグマさん、このナイフを私に向かって投げてください。」
「いや、そんなことできませんよ!」
急に何を言い出すのか。
「いいから、投げてみなさい。」
そこまで言われるなら投げるしかないか。手加減せず思いっきり投げてみる。
「うりゃっっ!!」
すると聖女様にナイフが当たらず、何か阻まれている。そしてナイフが落ちる。
「神聖魔法は身体に纏い、魔壁とは違う防御を張ることができます。更に、光属性ですので弱いアンデッドなどは触れるだけで消滅します。」
いや、こわっ、触れるだけで死ぬとかチートじゃん。
「強すぎませんか?」
「神聖魔法はそれだけ強力な代わりに会得し難いと言う難点があるの。とりあえずアグマさんにはヒールを会得してもらいます。」
「まずは光魔法を身体に纏わせるのを意識させて。」
魔壁のような感じか。だが光魔法を纏わせるとは?
「光魔法を纏わせるとはどういうことですか?」
「そうね、アグマさんは付与魔法は使えるかしら?」
「はい、使えます。」
「それを身体に付与したことはあるかしら?」
「いえ、ないです。」
「それならしてみてごらん。」
「付与魔法・光。」
すると身体が光り輝きだした。自分に付与だなんてそんな発想は今までなかった。
「他にも暑い場所で水魔法を付与すると、耐性になる。それではその付与の感覚をとりあえず掴みなさい。」
「はい!」
早速やってみるが、感覚がよく分からない。身体に纏わりついているのは分かるが、それを自分の物のように扱うことができない。
―3時間後―
何度もやってみたがどうしても掴めない。
「まぁ、最初からできる人はいないわよ。神聖魔法はそれだけ難しいってことよ。とりあえず今日は終わりにしましょうか。」
「は、はい。ありがとうございました。」
「うんっ!どういたしまして。ところでカエデは元気かしら?」
「あ、はい。いつもお世話になっています。ところで聖女様はカエデさんとご友人とかですか?」
「そうね、私とカエデは昔同じ冒険者だったの、一緒に戦っていた時は楽しかったわ。カエデはギルド職員になっちゃったけどね。」
「また冒険者に復帰しようとかは考えていないんですかね?」
「うーん、ないと思うなぁ。あの子も色々あったわけだしな。」
「そうなんですね。」
「さてと、それじゃあそろそろご飯を食べに行きましょうかね。」
ミシミシッッ....
え?なんかミシミシって。聖女様の顔が真っ青になる。
「ガタガタガシャーンッッッ!」
チェストの中から物がこぼれ落ちる。
「あぁっ、ちゃんと閉めていたのに..」
聖女様が顔を真っ赤にして手で顔を隠している。うーん、可愛いな。
「アグマさん、少し部屋を出て行ってもらえる?」
これは出た方がいいな、従おう。聖女様に言われるがまま部屋を出た。
扉の向こうから声がした。
「アルゼ!すぐに来なさい!!」
すると目の前から執事がすごい速さで聖女様の部屋に入って行った。
その後、イナさんが来て、とりあえず自室に案内された。今日は聖女様のお茶目な部分が見れてよかったな。とりあえず今日は自主練するか。
そうして、イナさんが夕食に呼ぶまで自主練した。
自室に戻った僕は早速、自主練を始めた。
「付与魔法・光っ!!」
身体全体が光に包まれる。何かがある感覚は分かるのだが、どうも掴めない。魔纏とはまた違う感覚だ。
「魔壁っ!!」
そういえば、この状態で魔壁を張ると、光属性の盾となることをついさっき知った。
「んー、魔壁とは異なるものなのは分かるんだけど、感覚が掴めないんだよなぁ。」
そんなこんなしている間に夕食の時間がやってきた。
コンコンッ、とドアをノックする音がした。
「アグマさん、夕食の準備が整いましたのでご案内します。」
「あぁ、ありがと!すぐ行くよ。」
とりあえず飯食ったらまた練習するか。
夕食では、聖女様がさっきのチェストの件を謝ってきた。別にそんなに気にすることでもないと思うのだが、聖女様的にはアウトなのだろう。
夕食が終わり風呂の時間になるのだが、ふと気になった。イナさんは神聖魔法を使えるのだろうか?そう思い、自室に戻るときに聞いてみた。
「あの、イナさんって神聖魔法は使えるんですか?」
「あ、はい。使えますけど....?」
「もし良かったらご教授をお願いしますっ!」
45℃傾いた素晴らしい礼を披露。
「別によろしいですけど、えっと、いつ教えればよろしいですかね?」
「えっと、今から風呂に入るので、出たら呼びます!」
「分かりました。ベルでお呼びされましたらすぐに来ますね!」
そうだった。ベルを鳴らせば来るのか。とりあえず風呂に入るか。
ちゃぷんっ。
「ふぅーーーあ、、。」
最近は本当に疲れた。神殿で天職を貰ってからまだ一年も経ってないのになぁ。ここまで色々あった気がする。これからも色々なことで困るだろうけど、何とかなる気がする。
「ウォーターボール。」
小さなウォーターボールを飛ばして遊ぶ。
ポンッ....バシャンッ!
「ウィンドランス」
上向きのウィンドランスで水を上向きに昇らせる。
「ウォーターランスッッ!」
バッシャアァァン!!
あ、勢い強すぎた。
「どうなさいましたか!?」
外からイナさんの声がする。やべぇ。
「いや、なんでもないです。すみません。」
「っと、分かりました。」
遊んでないで早く出るか。
そうしてそそくさと風呂から上がった。
ベルを鳴らすとすぐにイナさんが来てくれた。
「えっと、それでは!私による神聖魔法講座を始めます。」
「よろしくお願いします。」
「まずは神聖力を纏うのですが、体に魔力を通す感じと似ています。魔纏は使えるんですよね?」
「あ、はい。ほい。」
魔力を纏った。
「そうです。それでは付与魔法・光。」
イナさんが光を纏う。
「これに魔力を纏います。」
二重重ねだと?
「この状態で、指を切ります!」
「え、は!?」
急に何を言い出すんだこの人は。
「良いから見ててくださいね。」
イナさんは腰から抜いたナイフで左手の指を少し切ると、そこに右手をかざす。
「こんな感じで魔力を傷口に込めていきます。」
「おぉ、すげぇ!」
みるみると傷が治っていく。
「これは光を魔力で纏うので、強制的にヒールができるんです。しかしこれはヒールを学ぶ上での前座、これを使って感覚を掴んでみてくださいね!」
「まじでありがと!もうね、大好き!」
「はいはい、進歩したらまた教えてくださいね。」
「りょーかいした!」
イナさんのおかげで大分掴めた気がする。よっしゃ!これからもっと頑張るぞ!




