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53.エルフの引っ越し

ブクマありがとうございます!

まだの方もぜひお願いします!

 予定より少し早いが、エルフの男性陣を受け入れたいと思う。

 幸いにも冬の備蓄野菜は余っており、次の収穫までの蓄えくらいはあると判断したためだ。

 野菜以外にも肉や魚も少し残っているし、春になって動物たちが動き出したらまた獲れるだろうしね。

 ならば早めに来てもらい、労働力を増やしたほうが得策だと考えた。


「…………というわけで、エルフたちを受け入れたいと思うんだけど。」

「そうじゃな。新たな年も始まり、いろんなことが新たに動き出した。ちょうど人手がほしいと思っとったところじゃ。」

「新しい仲間、いいんじゃない?」

「エルフの研究は本当に素晴らしいものねぇ。私たちも助かるわぁ。」

「うむ。採掘の方でも人手があるに越したことはない。特に男手の方はな。まあ、エルフの腕力には期待できんが。」

「ですが、彼らには魔法がありますから、力仕事でも活躍してくれるはずですよ。」

「お心遣い、痛み入ります。」


 村民会議で提案した結果、みんなも賛成のようだ。

 とにかく今は労働力が欲しい!という意見で一致した。

 ちなみに、村民会議のメンバーはドワーフ代表兼技術部署からはジークが、エルフ代表兼研究部署からはサラが来ている。

 サラはオリバーが来るまでのつなぎのつもりらしいが、まあそこは当人に任せよう。


「じゃあ、早速オリバーに伝えてくれるか?」

「かしこまりました。」


 連絡はサラにお願いし、あとはエルフたちを待つだけだ。

 住居も大体できてきたし、あとは研究室かな。

 そこら辺は本人たちの希望もあるだろうから、引っ越しが完了してから相談しよう。







 二日後にはエルフ男性陣が到着した。

 早くないか?と思ったが、何でも冬の間に引越し準備を終えて、少しづつ近くに移動してきていたらしい。


「村長殿、お久しぶりです。冬の間の食糧支援、ありがとうございました。」

「久しぶり、オリバーさん。冬の間はなんともなかった?」

「はい、おかげさまでこの通りです。いやあ引っ越しのために研究を一時中断したせいか、今年は病気になるものも少なく健康に過ごせましたよ。まあ、研究したさに精神的に不安定な者は出てきましたが。」

「はは……まあ、無事で何よりだよ。」


 朗らかな笑顔で挨拶をするイケオジエルフことオリバーさん。後ろには美少年から美老年?まで勢揃いのまさにイケメンパラダイスだ。

 というか相変わらず重度のオタク集団、もとい、研究者集団だな。

 仕事休んで健康になるって、もはや常に過労状態ってことじゃん。しかも研究ができなくて精神不安定って、この人達大丈夫なんだろうか。


「言っておくけど、移住の約束は忘れないでよね。みんなの健康のためでもあるんだから。」

「もちろん、覚えておりますとも。冬の間に皆に真夜中までに寝る習慣をつけさせましたので、大丈夫です。いや、なかなか苦労しましたよ。」


 談笑をしながらも、エルフの女性陣と合流させる。

 久しぶりに会う同胞にみんな嬉しそうだ。美男美女が勢揃いでなんだかそこだけ別空間に見える。

 今はシンプルな旅人の格好だが、ちゃんとオシャレをしたらすごいことになるんじゃないか?

 姉貴が知ったら飛び上がって喜びそうなモデルたちだ。


「じゃあ、とりあえずそれぞれの家に案内するよ。基本は家族ごとに住んでもらうから、中の使い方なんかは女性陣に聞いて。」


 そう言って住居エリアに案内する。

 ノームたちが俺の(というか姉貴の)再開発案に沿って建ててくれたおかげで、かなりきれいな並びになっている。

 ヨーロッパのおしゃれな片田舎、というのがぴったりな雰囲気だ。俺もかなり気に入っている。


「こ、これは…………こんなところに本当に住んで良いのですか?」

「なんて美しい…………」

「長く生きているのにこんな村があるなんて全く知らなかった…………。」


 エルフたちが口々に漏らす。

 ふふん。これはまだまだ序の口だ。これからもっと整備していくんだからな。


「まだ開発途中なんで、みんなの力も頼りにしているよ。よろしくね。」

「はい!勿論です!」

「このような素晴らしい村の開発に携われるなんて光栄です。」

「私にできることであれば何でもいたしますよ!」


 うん、みんないい人そうだな。

 ちょっと癖は強いけれど、ドワーフのようにずる賢くて厄介というわけでもなさそうだ。

 家族や仲間に案内され、各々荷物を運び込んでいく。女性陣が来たときも思ったけれど、かなりの大荷物だ。

 きっと彼らの研究用の道具やなんかが入っているのだろう。

 あとのことはサラに頼み、俺はとりあえず退散する。

 引っ越しが落ち着いたら今後の役割なんかを決めないとな。






 エルフたちには、女性陣に引き続き研究分野を担ってもらうことになった。

 特に製薬、発酵はチームが揃ったことでより研究が進むと言われたので、一刻も早い調味料や酒の開発、世界樹を使わない各種薬の量産に取り組んでもらう。


 この世界で一般的に流通しているのは、ゲームや漫画でもおなじみの「ポーション」、所謂キズ薬である。切り傷や擦り傷、打撲、骨折など、外傷であれば全てに効果があるというなんともすぐれものだ。

 これについては地球よりもかなり進んでいると思う。効果の程度によって「下級ポーション」「中級ポーション」「上級ポーション」「フルポーション」があり、一般に出回っているのは「中級ポーション」まで。

 上級ポーションはギルドや軍など所謂「企業向け」であり、「フルポーション」に至っては存在が伝説と言われている。

 「ポーション」に「ギルド」。なんか一気にファンタジー感が増したな。

 その他にも、病気に効く「ヒールポーション」や毒消し薬があるらしい。

 それらは材料さえあればすぐにでも作れるということで早速取り組んでもらう。といっても薬草畑はまだだけど。


 さらに、エルフを始め一部の者のみが作れる「身体強化薬」「魔力回復薬」「魔力強化薬」なんかもあるらしい。

 まさにファンタジーって感じだ。これも時間はかかるが作れるということなのでお願いする。

 うちは鬼人やエルフといった特殊な人材が多いからな。こういうのもあって困らないと思う。


 また、魔法研究というのも興味深い。

 雪合戦大会でチートな威力を発揮したベティの研究チームだ。

 今取り組んでいるのは転移魔法陣らしい。高い能力を必要とされる転移魔法を魔法陣に移すことで、誰でも移動ができるようにするのが目的ということだった。

 すばらしい。テレポーテーションなんてまさに夢のようじゃないか。……って、俺、普通に「転移」は使ってるんだよな。異世界間で。

 でも、自分で使っておきながら仕組みは全くわからないから力になれそうもないな。申し訳ない。


 あと注目は発明家集団。これは別にチームというわけでは無いらしいが、とにかく新しい道具や機械を考え実用化するのが目的。

 一見趣味みたいなものかとも思えるが、あのキャタピラ付き荷車や足踏み式糸車を設計したというのだから馬鹿にはできない。

 地球の便利な機械なんかを提案したらこっちの世界で通用するように設計してくれそうな気もする。ちょっと提案してみよう。


 その他様々な内容はあったが、それらは趣味でやってもらうとして、村の仕事としては今取り上げた四つをやってもらおうと思う。

 あ、もちろんその他にも役に立ちそうなアイディアは随時募集しているよ。

 エルフたちも気合十分。さっそく研究室を作るためにノームたちに掛け合っていた。


 これ、全部完成したらとんでもなくチートな村ができるんじゃないだろうか。



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