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158.作戦会議

 そうと決まれば早速作戦会議だ。

 会議室にメンバーを呼び寄せる。

 メンバーは俺、ヘイディスさん、『暁』のリーダー・ダンテさん、アヤナミ・シリウス・イリューシャの龍族三人組、魔族や魔物の研究をしているサラ、そして副村長のロベルトさんだ。

 

 まずはフレイムリザードについて詳細な情報を共有する。

 フレイムリザードは体長三、四メートルほどの大トカゲだ。灼熱のマグマの流れる火山の内部に生息するという。

 最大の特徴は口から吐き出す炎で、それをモロにくらうと途端に黒焦げになってしまうらしい。

 おっそろしいな。動く火炎放射器かよ。

 また、皮膚も厚く頑丈で、常に熱を発しているという。


「じゃあ、どうやって倒すんだ?」

「彼らは皮膚の熱が奪われると動きが鈍くなりますので、魔法で水をかけるなり冷やすなりして温度を下げてから一気に攻撃を畳みかける感じですね。大きな『水球(ウォーターボール)』の中に閉じ込めるという手もあります。」

「我々人間の冒険者は大人数で挑みますが、まず誰かが囮になりフレイムリザードをおびき寄せ、穴の中に落とします。そして大量の水を一気にかけ動きを鈍らせてから剣士たちが総攻撃を仕掛けます。」

「どちらにしても水攻めが基本なんだな。」

「はい。ただ、水をかける時は十分に距離をとらないと皮膚にかかった水が一気に蒸発して大変熱くなり危険です。」

「なるほどな。仮に倒したとして、全部持ち帰ればいいんですか?心核だけ?」

「できれば全部持ち帰っていただきたいですが、安全第一です。心核さえ持ち帰っていただければ十分ですので。というか、調査だけでも十分ですよ。」

「まあそれはどこまでできるかわからないけど、一応聞いてみただけです。あとは場所かな。」

「フレイムリザードは火山の内部に生息する、ということ以外は、我々人間はほとんどわかっていません。討伐隊が組まれるのも、たまたま地表近くに出てきたフレイムリザードと鉱山夫や冒険者がかち合って……というケースがほとんどです。」

「私の研究では火山内部のマグマの通り道に沿って穴を掘って暮らしているようです。地表から探すのでしたら火口かマグマの噴出口付近を探すと、フレイムリザードの掘った洞窟が見つかるかもしれません。」


 さすがはサラ、巣穴がわかれば遭遇率はグンと上がるだろう。

 ただ、さすがにデスマウンテンに直接行った者はいないので、ここからは行ってみないと何とも言えない。


「それじゃ、行くメンバーだけど……」

「失礼ながら、ケイ様……」


 突然アヤナミが発言する。


「ん?どうした?」

「正直に申し上げますと、デスマウンテンの内部へ行くのは反対です。あそこは火龍の管理地ですので……」


 火龍の管理地、つまり龍が住み着き、守っている。当然侵入者は全力で排除してくるだろう。


「龍の管理地って、人が行くとまずいのか?」

「その龍の方針にもよりますが、大抵は侵入者を歓迎しません。」

「火龍は縄張り意識が強いから、まぁ、怒るだろうねー。」


 アヤナミにの言葉にイリューシャも続く。

 まじか。でも、フレイムリザードの心核がないとヘイディスさんたちはいつまでも催促されてしまう。

 上からの圧力って思っている以上にストレスになるからな。できれば早いとこ解放してあげたい。


「……最深部に入るわけじゃなくて、フレイムリザードを見つけたらすぐ引き返すから。ダメかな?」

「ケイ様がお望みになるのであれば、私はお供します。」

「どうしてもというなら……私の水魔法が役に立つかもしれません。」

「ま、こっちには龍が三体もいるんだし、大丈夫でしょ。エアリス様に比べたらチョロそうだし。」


 シリウス、アヤナミ、イリューシャも覚悟を決めたようだ。イリューシャにいたっては楽しそうだけどな。

 メンバーは、俺、アヤナミ、シリウス、イリューシャ、サラに決まった。

 村のことはロベルトさんに任せる。何かあったときの守りは鬼人・コボルトの防衛チームとライアに。

 ヘイディスさんたちは俺たちが戻るまでこの村に滞在してもらうことになった。


 何日かかるかわからないし、危険もいっぱいだ。

 魔法鞄に食料や薬をたっぷり入れておく。山の夜は冷えるだろうから防寒用のマントや上着、シルクスパイダーの変異種・カーボンの吐き出した糸からできた耐火手袋とブーツ、手袋は薄くて丈夫な上、エンボス加工のようなグリップまでついて滑りにくくなっている。地球の知識とうちの服飾チームの努力の産物だ。

 そして、俺の武器、『水神の眠り(トライデント)』も忘れない。


「よし、じゃあ、行ってくるよ。」

「気を付けてな。」

「どうかお気を付けて!よろしくお願いします!」

「旦那ならきっと大丈夫だ。気を付けてな。」


 翌朝早く、俺たちは旅だった。

 

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