123.畑を広げよう
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そして、日刊ファンタジーベスト300の239位にランクインしました!
最近スランプ気味だったのでこれを励みに頑張ります!
畑を拡張する。
食料は余裕があったとはいえ、一気に百人増えたわけだからな。その分消費もグンと増える。
人を呼んだはいいけれど、食料が足りなくて飢えてます、なんて笑えないのでこれを機にしっかりと農地を確保する。
今、畑は村の入口から反対方向――東側にあるのだが、これを東に向かって拡張する。
一区画も大きくし、50m×50mくらいの大きさへ。実際に測ってみるとかなりデカいな。
邪魔な木は伐採して、木の根っこも取り払って。
区画を決めたら、早速耕していく。
エルフやケットシーの魔法でどんどん耕されていく。俺も参加しようと思ったら、ライア様のご登場で俺の出番は無くなった。
耕したら畝を作って種を巻いていく。
主食となる小麦や大麦は多く。大麦はビールの材料にもなるしね。
米もみんな好んでいるから多めに区画をとって水田にする。世界樹のおかげか種もみ直播きでも十分育つ。一区画分だけはもち米エリアにしよう。
果樹園の木も移し替えていく。
野菜や果樹は一区画ずつ。ワインに使うブドウだけは多めに。
オリーブや麻、綿花は一区画ずつ。ハーブ類は一区画内に数種類ずつ植える。
今回、地球から新しく持ってきたのは、唐辛子、ほうれん草、ブロッコリー、サツマイモ、スイカ、メロン、パイナップル、サトウキビ。
果樹の苗はブルーベリー、アボカド、ビワ、、和梨に洋梨。
特にサトウキビには期待している。ネットで植え付け用サトウキビが10本2500円で売っていたのでとりあえず40本分購入。姉貴に「重いわ!」って文句を言われたけれど気にしない。
甘味料と言えばはちみつしかなかったうちの村にも、ついに砂糖が誕生する。
砂糖ができれば料理の幅も広がるし、お菓子なんかも作ってみてもいいかもしれない。
サツマイモは俺の大好きな「紅はるか」を持って来た。ネットリ甘くて美味しいんだよな。
きっと子供たちも喜ぶと思う。
ふふふ、今から楽しみだ。
うちの畑も結構バラエティーに富んできたな。
苗木は二〜三本ずつしか買っていなかったので、とりあえずそれを植えて実ったらまたその実を植えて〜という形で増やしていく予定。
世界樹のおかげで成長も早いしたぶんたくさん実ってくれるだろうけど、一区画全部埋まるには時間がかかりそうだし、しばらくは貴重な食べ物になりそうだな。
すべてを終わらせるのに二週間かかった。これでもかなり早い方だと思う。
魔法を使わずにやってたらどれだけ時間がかかったんだろう。
そう考えると、地球の中世あたりの農家さんは大変だったんだな。
それにしても、エルフが魔法で色々できるのは知っていたが、ケットシーもかなりの魔法の使い手だ。
畑を耕したり畝を成形したりもそうだし、重たいものを浮かせて運んだり、『洗浄』の魔法を使っている者もいた。
本人たちいわく、得意不得意は個人差があるものの、みんなかなりの使い手だとか。
なんでもエルフ族には及ばないが、魔族の中では上の方。魔族の平均が分からない俺にはいまいちピンと来なかったが、一族として誇れるくらい魔法が得意ということはよく分かった。
さらに、元村の長であるババ様には特別な力があるらしい。
「ババ様は未来の空を予知できるニャン!」
ミケが自慢げに言う。
空を予知。つまりは天気予報だな。
農作業をするものにとって天気は重要な要素だ。もちろん農作業以外でも、毛皮や糸を干したりするのに天気は大いに関係してくる。
この村でも天気予報をやってもらおう。
こうして村に「お天気お姉さん」ならぬ「お天気お婆さん」が誕生した。
そうそう、人口が増えたが、増えたのは人間だけでは無い。
蜂小屋の蜂たちがいつの間にかめちゃめちゃ増えていたようだ。
一匹一匹が大きめのスズメバチくらいの大きさがあるもんで、小屋の中の大きな巣に群がっている姿は結構怖い。
いまだに畑や果樹園で「ヴーン」という低音の羽音と共に現れるとちょっとビビるもんな。
とはいえ、彼らも大事な仲間たちだ。増える分にはもちろん歓迎する。
そしてこの度めでたく新たな女王蜂が誕生したらしい。
一つの巣に女王蜂はただ一匹。古巣の女王蜂は働き蜂を連れて分蜂した。
新米が離れるのではなく古株が離れるのには驚いたが、これも母親としての優しさなのだろうか。
よくわからん。
それに古巣を離れると言っても、同じ小屋の中、今まであった巣のすぐ隣に新たに巣を作るだけだ。
畑を拡張したので花や果樹の木も大いに増えた。食料争いで喧嘩することもないだろう。
こちらとしても、はちみつの採取量が増えたのは喜ばしいことだ。
だんだん賑やかになるこの感じ、まさに新しい季節の到来って感じだな。




